すべてのおすすめ
そこまで行きたいのなら
ボートを編んでおいで
おもいきり細く
しなるような枝で
祈りはきっと
どこへも届かないだろう
願いはきっと
どこへも結ばれないだろう
それでもそこまで行 ....
雨いくつか
ふりそそぐなかで
思いだしている
傘をさすのをあきらめて
抱きあった
抱きあえば
しんまで濡れて
雨ふるふる
あきらめる
いまごろどこかで
かわいて ....
みじかい夜がおわって
きょうがはじまると
君のてのひらがすこししめってくる
青いような赤いような
夜あけまえ
だんだんとあかるくなってくる
あれは
かきあつめた命が
燃えるから
....
鳥は
飛ばなかった
その日
手紙は届けられず
果実は実らない
ペンは握られず
扉は叩かれなかった
あれから
ずい分とながい時間が経ち
しかし
雲は流れず
船は揺られな ....
ねそべってみてたら
時間に夜がつっかえてしまった
きみの胸のすき間に
抱き合えば
世界が
しんと眠る
きみはちいさなものを
あたためて
あたためて
あたためて
殺す
言わなかった
できなかった
立ちすくむことで
伝えようとした
それすらも
奪われ
雨が乾くほど
時が過ぎ ....
くもりの日
あたらしい音楽を聴いて
約束だってやぶれそうだ
だれかのためにつくられた
あたらしい意味や理由が
不自然に黄色いかげをつくる
そうしよう
捨ててしまおう
君のこと愛して ....
さわられると
そこからかたちになってゆくような心持ちがしました
口をつけられると
そこから血がめぐるような
はげしさは
はるか向こうでゆれる波でした
ことばは
ばらばらに砕ける音 ....
はねが抜けたので
もうとべない
と
おもったけど
とんだことはなく
おちたこともない
なんとなく
みみずを
愛しいとおもって
飼いはじめた
太陽に透かしてみている罪と罰 重たいほうをぼくがもらうよ
海べには 夜の残骸、猫の死体、重なって沈む時間たち
きみのふちをなぞって辿りつく先が知らない男の肩甲骨だ
かわり目のいき ....
新宿でギターをひいている人の声が聞こえたらそれは生きていたくないっていう歌だったから早くそうすればいいと思う。雑踏がごくごく喉ならしながら意思を飲み込んでいくので喧噪が終わらないんだよ。データを集 ....
大通りで
ひかりがひかっている
右往左往して
ひかりがひかっている
ひかりがひかっている
ひかりがひかっている
右往左往して
空が裏返り
わたしたちは輪の中に身をしずめる
心がぜんぶの水を
吸いとってしまって
体は吹き飛んでいった
肥大して
びしょびしょのわたしたちは
輪を抱き
輪に抱かれながら
....
死にたい日に
いちばんすきな靴したを履いて
興味のないパーティーへでかける
足首に
ほそいロザリオをつけた男に抱かれたら
こころとからだがはぐれた
音が鳴っていて
とても静か ....
背を向けて眠る
あなたのかたちを
なぞるかたちで
空洞が訪れ
わたしのかわりに
あなたを奪っていく
シーツの重みを
じっ
とみていると
だんだんと
時間が失われていくのがわ ....
ラブホテルがいっぱいで
いちど
ビジネスホテルにとまった
あわただしい夜をして
半年たってから
かばんの底から
くしゃくしゃの
聖書のページがでてきて
英語がよめないあの子の
足 ....
猫 聞いて
きのう わたし
乗り越えた柵
おきたらまた
目の前に柵
猫 ねそべって
聞いてない
あした わたし
終わりをみに
いこうかな
猫 おまえ
やさしいひとに
拾 ....
愛と呼んでもさしつかえないくらいのきもちだったよ
朝おきて
顔をあらうまでのあいだに
147回おもい描いたり
季語のかわりに
きみの名前をいれたり
あんな
愛みたいな
ただの
鏡 ....
ノイズをもってこい
おれを食ってくれ
鳥が死んだんだ
だれにも知られずに
メロディーはいらない
ノイズをもってこい
思想はいらない
おれを食ってくれ
庭師は庭を焼いたんだ
....
それ以上どこにも行けない場所で
言葉をどれほどつみあげてもかたちにはならなかった
ささやいて
抱き合って
口づけあって
交わりあって
罵りあって
それ以上どこにも行けない場所 ....
さみだれは
あっという間に
食いつくされてしまった
季節の名のつくものは
だいたいひとがむらがって
食いつくしてしまった
けれども
初夏
涼しくわらう目元に
わずかに残さ ....
朝にそれは
にぶく光り
夜になると
横たわり眠る
昼まに
のぞいてみたときには
四年まえのわたしを
しずかに抱いて
泣いていた
あなたが息を吐くだけで
心は水びたしになった
そのまま寝そべると
目頭からあふれだし
それをみたあなたが
波のように笑った
愛しさをこじらせた朝
うらぎるように街は香り
なにも
知らないようなふりを
続けるほかになかった
押しだまる人びとのかげに
花水木がしらじらと開いている
ふせて
あきらめて
大事なことなどないと
みとめて
そして
とくに大事でも
必要でもないものとして
抱いて
胸のあたりに
なつかしいうたが溜まってしまい
病院へいったが
ておくれだった
それ以来
胸のあたりに
うたを一匹
飼っている
あの日とよく似た景色に
ぼくは取り残されている
すこしだけみじめで
信じられないくらい自由だ
長い髪をしていた
君がここにいない
「ゆうがたにも匂いがあるね
晴れた日と
雨の日 ....
ため池に立っていると
女たちがやってきて
きのうまで愛していた男を捨てていく
濡れた靴したをすっかり乾かしてやると
女たちは
ちがう男を釣り上げて
また
立ちこめる現実へ帰っていく
男たちに
愛していると言うと
とたんにやせ細ってしまい
女たちに
愛していると囁けば
とたんに膨れ上がる
鏡にむかって
愛しているとつぶやいて見たら
鏡は粉々にわれてしまっ ....
まちは固すぎるので
気をぬくとぶつかって死ぬ
あらゆるものが
手に入れやすくなり
あふれ出すようになると
昨日がどんどん遠ざかり死ぬ
やさしさが
一山いくらの値札をつけて
....
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