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宇宙をてにいれて
ほっとして
ベランダでハンカチはかわいている
背のたかい鳥
ビル
扉
三角形にきりそろえられた意味
ピアノ
ほっとして
ベランダでハンカチはかわいている ....
しわをつけたたんぱく質
に管をとおして、
ビデオを返しにいくあいだに
血をすわせる
わたしでもなく、
だれかでもない、
しょざいない命にたちむかう
そんなことができるかどうか
....
空には
なみだが
すこしうつっていた
みぎ側が夜で
ひだり側が朝だった
きみに 僕がすこしうつっていた
ミニカーみたいな自動車のうごきが気色悪いので、思想をちぎってはなげふるえている。
これは、(こんな)くもり空いちめんのま下に、ビルを行き交うわたしの愚直としてどうぞ。
半とうめいに透き通ってい ....
手紙が送られてくる
まっ白い文面で
わたしはあなたの名を抱く
そうすると世界は痙攣しはじめる
ま夏の背中よろしくこぼれおちる曲線は
ぼくのよろこびにまっすぐに突きささり
それらはやっぱり放物線をえがいている
きみの曲線のおしまいにくちづけをする
そんな目でみたってだめだよ、もう ....
ことばはとめどなく産まれるけれど
ひとつもどこにもとどかない
やわらかい壁がゆれる
わたしがあなたのそばに落ちるとき
きっとひとつも言葉をもたないで
まばたきだけでやりあうような
....
ま昼にうす闇の絶望をえがいて
えがききれずに筆を折るのはおよし
空はまいにち傾いて
だんだんに染まる木々や青を
眺めている場所がちがうってだけだろう
筆を折るのはおよし
ま昼にはま ....
いったいこのうすきみわるい街道を
やつらはどうやってあるいている
死ぬだけの生をよこたえたらば
文句のひとつも言えようが
あまつさえ感情を行き交いし、
それでいてうつむいて泣いている
....
小鳥にパンを投げてやる
あるかなしかのわずかのくちばしのために
この子らはやすやすと川をこえるのに
わたしはまだその手前で積木をしている
あなたの庭はなんの匂いもしない
野球中継
祝日
汚れたスニーカー
擦り切れてゆく生活のなかで
煮える卵
砂壁
青空
だれがわたしたちを救えるだろう?
液晶モニ ....
あなたが眠るのを待って
部屋じゅうに花を飾ろう
あなたが起きるまでには全部捨ててしまおう
一瞬にからめとられるまえに
病室を出るのだ
花瓶を窓から投げて
割れる音の一瞬まえまで ....
すぐにあしたになってしまう今日 は黒くて、生えている星はぬるい。あしたになったら手に入らない、それとか、夜のたべものとか。背中にはえていたのは、よろよろした壁 ・ だれもいないから、黒を白にしても ....
一日におくれで降りそそいでくる
あなたの会話がばらばらになって
わたしはつめたくそれでいて
からだはこんなに熱いというのに
流れでる体液の生ぬるさ
いったいどういうことだろう
....
たびたびからだは貫通するが
すこしも風がとおらない
あの背中のうえではなんども裏がえった
裏がえりつづけて
すっかり風そのものになってしまった
あれは何百年まえだったかしら
うしろむきに種を食べていた
あのとき
あなたがわたしを好きだとしっていたら
あんなには幸福じゃなかったろう
鏡とするような接吻ばかりした
そのむこうに
だれかはちゃんといたのに
....
鳥は飛ばない
不在だらけの世界で
決めていた
啼けと言われたら
もう
飛ばないことにしようと
鳥は決めていた
鳥は飛ばない
つめとゆびは
20ずつあるので
ちょうどよくセットになる
わたしは
とりだせないしいくつあるかわからないので
だれともちょうどよくない
かなしい
テーブル、ほんの一秒まえの
カーテンの波を再現できない
難しいことを言わないで
泣いたり笑ったりして
わたしの手前で
息を吸って
そしてすぐ後ろで吐き出して
運動を繰り返して
....
だんだん死ぬひとを見ながら
それでもやめられなかった
もうおいしくも気持ちよくもなかったけど
あたしたちはきっと
ああいうふうには死ねないよね
やめられない道のとちゅうで
ささやき ....
まくらを抱えてすみっこへ
あざだらけの脳みそを抱きこんで
痛む歯を舌で舐めている
でもあたしは愛されている
覚えていないくらいむかし
あたしはだれかにキスされたから
歯が全部溶けて ....
あい色ごしに赤をみて、
まばたきごとに星が降った
あんなにとおい星どうしが
かちかちと鳴りあうのも聞こえたよ
草は草なりに濡れ
砂はひと粒ごとに熟れて
笑いあうのが世界だね
....
あのひとから
ラブレターが届いたので
くちづけをして
しまっておいた
死んでから読もうと思う
あなたが誰なのか
わからなくなってから
おいしいうそをついて
世界はおわらない
寝がえりをうったら
あの子が泣いてた
ゼリーみたいな涙してさ
いつまでも覚えている青さを縫って、
(勝手に)、
勝手に生きている、
終わらせない(終わらない)
自由を、(不自由を)
はしりまわって、はしりまわって手に入れて
おいで、と言ってく ....
みつめあって
死んで
いきかえって
みつめる
なんども
おんなじに
すりへって
どうしようもなく
さびしかった
それだけで
ひとを
好くことができた
あんなに
穴 ....
朝には朝が来て
朝日が昇るだろう
ミルクは泡立てられ
電車は回転する
三角の頂点で
わたしを放り出して
もう食べられないよ、
一生許さない
ドーナツを買いに行く
あけ方
うすあかるい部屋を出るまぎわ
シーツのうえに半透明のわたしを確認する
いつも
左がわを下にして抱きあうので
それは
右耳からだんだんとすけていく
あなたの言葉でできている ....
そして十九時
街は壊れた
あなたは
やっと
わたしを見つける
涙は乾くか 浸みこむか
空のみえない水無月を
二十の指で抱き込んで
いつか色づく紫陽花の
あわれな枝がしなしな切らる
寝がえりしなに打つ脈が
黒髪の海をゆらすとき
涙は乾くか 浸 ....
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