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ニュージーランドに旅立つという女に、
友人は読みかけの本を渡した。背表紙の裏に、
その日の日付を書き込んだ。そしてぼくらは
傘をさしていたっけ。雨があがった後は、
マンホールの蓋をつついて歩い ....
 空っぽの井戸にバケツをほうり込む少女。
背後の鉄塔は風見鶏さながら―目撃者でもある、
目医者の男が言う。
「どっちを向いていてもかまわないよ。
指をさしてくれればいい。」
その日、言われた ....
茨城県の片田舎の
高速道路建設工事現場の赤色灯を
福岡県八女市の
電飾菊のあるビニールハウスの入り口へと
導くことは
僕には容易い

高速道路開通―

それより先にできた
道がある ....
 広場の真中を陣取ったトースター。順番待ちの
争いをはじめる鳩たち。宙を舞う、羽毛とパン屑。
それも毎度のことと、寝そべっていたベンチの上で
塗りたて注意の張り紙、その裏面に書かれた
求人広告 ....
 紙屑に身を潜めるモルモット。君みたいだ―
種をかじるように活字にかじりついている。
消化不良で重たくなった身体は、輪の中で駆け巡らせて
(それで解消しようがしまいが)息をするのも
ままならな ....
 
「じかにふれてみればわかる」

 男は女の手を握り
 宮殿内を歩き回った
 久しぶりの休日だった
 彼女は大理石の花瓶の中で
 プリマのように くるくると
 まわってみせた
 も ....
汗にまみれた身体
―働いた後によくもまた

「やってられないよ」
誰かが言った

湧いてくる感傷の ツケを払うとでもいうのか
暮らしとともに流れる汗は

皆口々に言っているよ
身体 ....
授業の間、生徒がノートをとりつづけるだけの
つまらない教室の窓の向こうにS山があって
半世紀かけて、削りとったそこには
これまたつまらない工場と採掘現場の跡が残る

どんよりとした曇り空。ワ ....
 彫刻家であると同時に、優秀な墓石職人でもあったミロは
首だけの友人に言った。―墓の無い墓もあると。
一方で、友人は相方である胴体の到着を待ち続けていた…切り離された
胴体は雑踏の中をふらふらと ....
「それじゃ速すぎる。もっと
ゆっくり見なくちゃ分らないよ」

昨日、ぼくは結婚した友人とともに
見張り番をしていた。
肉体に閉じ込められた見えないドラマでもある
その愛を、
イメージ通り ....
 空き缶を引きずるアメ車と、
パールハーバーの軍艦が、
交差点で正面衝突した。
兵士達による復旧作業が終わるあいだ、
若い通信兵は解読不可能な暗号を―信号機を、
何度も点滅させた。
 今夜 ....
 近代芸術が誇る自由の象徴。最新式の
トーテムポール。通勤途中の誰もが目にする、
橋の上の街灯にとまる鳥たち。その多くは
国道50号の看板に生息する。
 昨日、鳥たちは君の家の屋根で眠ったとい ....
 かつての持ち主が言ったように―「長い旅になりそうだな。」と、
懐中時計が呟いた。そして歯車は相方を探しに出たっきり戻ってこなかった。
縫い物をする少女の手の中で秒針だけが動き続けた。
架空の鋲 雨に打たれる
錆びついた工場の手すりや階段
タンクローリに描かれた落書き
めくれ上がったその名残

あるいはまた
背中を丸め 雨に濡れるままに
オンボロの自転車に乗って
工場 ....
電線の仕組は分からない
とにかく君のことばかり考えてしまう
国道沿いの、看板のライトの下から見上げる
電線を。向こうの夜空も

僕は官舎にテレビを持ってきていない
新聞も、ラジオもない
 ....
沈黙とは磁石のように引き寄せるもの―

 マグリットは間一髪のところでサンドイッチを掴み取った。
パンの耳がついていたことを記述しておく。それから電話の
ベルが止んだ。向こうから、ぼそぼそと声 ....
風もなくて―
今日もぼくは、陽気にツバメをとばしていた
 夕方、雨が降っていた。遠くの空は
燃えるように赤かった。その時、僕は
失われつつある詩の中で、電話ボックスに
駆け込み雨宿りをしているか、永遠に続く
右折渋滞の車内にいると思った。
しかし ....
真夜中だというのにその旧工場には
明かりがついている。次々にプレスされていく文字。
ここからじゃよく見ない。僕は玄関をでて
実際に見に行かなくちゃならない。
亡霊を手に指揮棒を振るう老人の
ずれ落ちた眼鏡に映っていた。
風が鳥を離さないと同様に、鳥もまた
風から離れようとしなかった。
「魂のつがい」と題された音楽が聞こえた。
風の鳴らすシンバルと ....
授業中。昔の話をしていると
いい加減馬鹿馬鹿しくなってくる。
それでも、無地の黒板と、無地のノートから
何かしらの兆しを感じているけど

叶うなら授業中に片思いの時間をつくると
口にしてか ....
仕事の合間や休憩室で言ったり、言わなかったり
体温をはかるようぢゃないか?
揺れ動いたのは水銀か、銀箔か?
言葉がなけりゃ分りはしないのだ。きっと―
「やるせない」と、僕が思っていることを。
 ....
          夕方、私達を驚かせたのは黒雲のような
         ムク鳥の群れだった。電線の下を歩く際には
       落ちてくる雷に気をつけなくちゃならない。
     鳥達を驚か ....
 工場群のライトが、夜霧に色を与えていた。
ぼくらを前に進ませたのは無意味な赤信号。
あるいは冬の固い道路の上で、軽自動車に
箱詰めで向かった、廃墟となった工場の屋上から
貯水タンクの上から見 ....
郵便受けを屑篭にする三文広告
枯れ葉だったらいいのにな
枯れ葉だったらいいのにな
虫の声といっしょに、
君の手紙があればいい。
 金曜の晩に、朝まで飲み明かすつもりだった僕らは
早々に店を閉め出され、地下室から抜け出し
たどり着いたのは、地上百階に位置する深夜営業のレストラン。
「僕らがテーブルを囲んでいるのか、テーブル ....
 今朝、手をつなぎながら 工場へと歩いていく
男女の姿を見た。顔はよく見なかった。
地下室工房へと向かう二人の足音は、
眠れぬ夜がまだつづいていることを報せた。
 しかし、ぼくは眠った。何世紀 ....
衛星カメラに映し出されたのは
列島を取り囲む工事現場の赤色灯。
そのせいあってか、今夜はとても静かです。
 それを描くためには、鉛筆では華奢すぎる。
骨はどうだろう?プラトンは幼少期、
クレヨンのかわりに指を、死んだ死刑囚の
指を与えられた。彼は作品を完成させるまで
幾度となく指と会話した。わたし ....
 燃料係の私は、シャベル一杯に盛った 
  古すぎた印鑑を釜の中に放り込み、
   列車は走り続けた。煙は花びら舞うように、
    かかる風景を山間を 町を 空を
   紅く染めた―そこから ....
あおばさんのプテラノドンさんおすすめリスト(141)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さっき出会ったばかりだというのに、でも、今日がその日- プテラノ ...自由詩2+*07-11-28
バケツ- プテラノ ...自由詩1*07-11-18
それより先に道がある- プテラノ ...自由詩2*07-11-3
争い- プテラノ ...自由詩2*07-11-3
[:sect- プテラノ ...自由詩2*07-10-28
[:Holiday- プテラノ ...自由詩1*07-10-7
サウナ- プテラノ ...自由詩3*07-9-18
マウンテン僕- プテラノ ...自由詩3*07-9-10
彫刻- プテラノ ...自由詩6*07-8-30
aug_2007_._8.25- プテラノ ...自由詩4*07-8-27
[:moon_そして結婚式のmoon- プテラノ ...自由詩2+*07-7-13
通勤- プテラノ ...自由詩3*07-6-18
僕の母親は縫い物と同じくらいに作り話が上手だった- プテラノ ...自由詩5*07-6-16
排気音- プテラノ ...自由詩4*07-6-9
声のない夜- プテラノ ...自由詩7*07-5-21
水のないバスタブにサンドイッチを手にした男が座り込む- プテラノ ...自由詩5*07-4-29
- プテラノ ...自由詩5*07-4-8
Apr.set- プテラノ ...自由詩7*07-4-7
[:spot- プテラノ ...自由詩6*07-4-6
「あちらこちらで」- プテラノ ...自由詩5*07-4-1
[talk]- プテラノ ...自由詩6*07-3-29
ある晴れた日の独り言- プテラノ ...自由詩2*07-3-27
ムクドリ- プテラノ ...自由詩10*07-3-4
バンドネオン- プテラノ ...自由詩7*07-2-25
「post」- プテラノ ...自由詩8*07-2-20
テーブルは最善の休日- プテラノ ...自由詩3*07-2-5
「Poluca」- プテラノ ...自由詩3*07-1-21
イリュミ・ネーション- プテラノ ...自由詩5*07-1-21
「real」- プテラノ ...自由詩5*07-1-21
「S・L」- プテラノ ...自由詩3*06-12-31

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