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母の筏に乗る子供を
クロールで追いかける
ときどき中州に立って
子供と手のひらを見せあう
中州を指差すと母は
あれはお父さんよとおしえている
また手のひらを見せあって二人笑う
筏が中州か ....
ばっぱ、こねえだ小川さんえのカッチャ飲んでら、ママはいってらお茶ッコけれ。
ママはいってらお茶ッコ?なえのごどだべ?
あれぇ、こねえだ小川さんえのカッチャ飲んでらっけしゃよ。
あやあ ....
幼稚園でぼくは人生ではじめての
本格的な人間関係を体験する
触れるだけで傷がついてしまいそうな
新芽みたいな人間関係は
なまきずが耐えない心の訓練
お母さんはいない
苦しくても悲しくても
....
アダルトビデオから男優が逃げた
かわりに僕が入れられた
男優はそのままビデオショップに返却し
自由の身となったようだった
ビデオがレンタルされた
借りたのは彼女だった
僕は女優をビデオの中 ....
愛されてアイスクリームは溶けるまで
生きるため乗りこむ船よ浮草よ
ふろしきに包まれしものの声を聞く
地図になき地を吹く風との対話あり
野に蒔いた手品の種の発芽待つ
アラー ....
桜散りすでに秋の風たちぬ
にせもののあなたと過ごした月見草
朝顔のつるに巻かれし夏の園
脱皮した蝉のぬけがら捨てられず
キセルしてまでも行きたい終着駅
靴底に見つけた春の ....
世界は
ビリジアンの森
流れる
コバルトの川底
私は
クリームのカゲロウ
立ちつくし
バーントシェンナの岩
見上げてばかりの
マーマレードの木漏れ日
どっかで聞いた名前だな
とだけ言って
すでにその名前を思い出している
どっかで聞いた名前だな
とだけ言って
相手の今の暮らしぶりを想像している
どっかで聞いた名前だな
....
泳ぐ空どこまで行っても泳ぐ空
水平線こえた世界が知りたくて
木漏れ日よそこに私はおりませぬ
麦藁帽編み目の数の夕まぐれ
思い出に暮らすが我が生きた証
いつの日か小さい緋鯉 ....
田んぼの お空に グライダー
さぞかし 気持ち よいだろな
田んぼの お空に グライダー
田んぼは どのよに 見えるかな
湖みたいに 見えるかな
小さく かがんで 田植えする ....
古家の壁かすかなためいき風と化しこの手触りに思い伝えし
今日あなたが
髪型を変えていたので
私の胸はときめいた
土星の輪っかみたいな髪型
こっけいでなつかしい髪型
無垢で可愛らしい髪型
愛していた髪型
最近惑星から除名された
冥王星 ....
あの日の雨は
小さな川になりました
ときどき私はその川へ行き
釣りをします
ときどき私はその川で
見たこともない美しい
小さな魚を釣ります
私は家の水槽で
その魚を飼います
しかしな ....
ものがあふれている
それらを所有しようとは思わない
ものがあふれている
それらは心を満たさない
田舎にひっこんで
つつましく暮らし
ものがあふれている都会に
ときどき遊びにくれば
....
なつかしい
あの日の朝を
少し色褪せた
あの日の朝を
キャンバスに
あざやかに
描いたような朝
鳥の声だけが
あの日のままの
朝