瑞々しい嘘
因子

さくらんぼには
種がなかった
私の穴の空いた歯には
それでもとても痛かった


くだものの話をすると
こうやってなんでも
比喩みたくなってしまうね
痛かったのは本当だけれど


歯をたてると
つるりとした皮と
弾力と
こんな感触は
人間の躰のどこにもない





それでも痛かったのは本当だったんだ


自由詩 瑞々しい嘘 Copyright 因子 2009-03-11 21:26:36
notebook Home 戻る