すべてのおすすめ
目覚めると真っ先に君の二の腕を求めた内側から蝶の刺青を浮かび上がらせるそれを僕はどうして失ってしまったのかほとんど無自覚のまま

本当に美しい言葉は永遠でも真実でも物語でもなくあなたの唇が開いたと ....
 敷地のすぐ南側に土蔵がある
 今や歴史はすっかり耄碌し
 殆ど零れ落ちた漆喰のそこを
 しかし私は依然として
 こよなく愛でる

 穏やかに晴れた日は
 土壁の体温が心地いい
 昼下 ....
 ゆで加減に失敗した海鮮パスタを食べていると玄関のチャイムが鳴って、ますます気分が滅入った。お届け物でーす。ドアを開けるなり、男性宅配員の間延びした声とともに――これはなんだろうか――賞状などをしまっ .... いつの日か漂着しなければならない比喩を
前もって鑑賞されていない博物館が生み出された由は
ある地層に転換して僕達の無知だと言える

いらないいらないそんなゴミより
確かに愛せる媒体を確保して ....
 父さんはニ層式洗濯機の中で
 ぐるぐる洗われている
 家族みんなに
 臭いって言われるから

 姉さんは乾燥機の中で
 父さんと同じように
 だけどひっそりと回っている
 好きな ....
 〇悲しい、天竺まで赴いて買い求めた冷蔵庫が以前使っていたものとまったく同じだったときみたいに悲しい。

 〇頭の上にある見えない天蓋が少しずつ落ちてきていることについて知らぬふりをつづけるの ....
魚の小骨のように胸腔にナイフが引っかかっております。
子どもの時分からずっと引っかかっているのです。

(おかしいですか?
 たいして悩みでもないのですが、
 やみつきだなんてとんでもない。 ....
 「泣き腫らした家」

 その家は号泣する
 時間を失った丘陵にたたずみ
 家主の帰りを待ちわびながら

 その家はときどき夢想する
 彼女が門扉を開き
 飛び石伝いにやって来るさ ....
 辞職願には「一身上の都合」とだけつつがなく書いたものの、本当の理由は「生きることによる倦怠感」であった。生きる、という本質的な目的がわたしの中で、ピントの合わない眼鏡をかけているように、急にぼやけて ....  「骨音」

 その森の中のまぶたは
 たいへんうつくしい

 背骨を失った世界よりずっと

 まぶたに広がる昼下がり
 湖のほとりで
 老人は 骨を拾う

 露の輝く草を分け
 ....
 母が私の靴をはいて出てしまった。
『せちがらい世の中です。どうか探さないでください』
 朝起きると母の書き置きがあった。あまりにも淡白なセンテンスだった。私は泣きながらトーストをかじり、泣きなが ....
(私はいつも仰向けで寝入り
 決まって仰向けで目を覚ます)

その日天井のしみは、妹のクラスメイトの顔だった
昼下がりに学校を早引けしたきり妹は姿をくらました

(私はいつも仰向けで寝入り ....
 ある科学者は、そこで対になる点などセカイの怠慢の極みだという。
 ある考古学者は、われわれが日常で行っていることはすべてその向き合う点のバランスだという。
 ある文芸評論家は、点は一つの空間に一 ....
(てらてら笑うニンゲンはたいがい……)

ずっとむかし叔父のいった
そのつづきを思い出そうとする

(てらてら笑うニンゲンは)

 (たいがい……)

  (たいがい……)

  ....
真に円いものなど
何一つとしてありえない
にもかかわらず
孤独を円く円く
よりやすらかなかたちへ
よりあたたかなかたちへと
僕はひどく愚かだった
とはいえ限りなく球体に近く
蹴っても投 ....
 会えてよかったですあなたが遠いところに行ったみたいで淋しかったから一つずつ小さな部屋の窓ガラスが静かに開け放たれていくようなお話かしらあなたがこれからも清潔な歌をうたいますように瑞々しい歌がうたえま ....  修辞に位置付けられるきざはしの出現はいみじくも重なり合う因果であるが、
 しかし私たちの生活を根底から揺るがすほどのナルシシズムを包含しているわけではなく、
 ただ、
 夕映えから派生する杞憂 ....
吉岡ペペロさんの豊島ケイトウさんおすすめリスト(17)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
蝶の刺青- 豊島ケイ ...自由詩12*10-11-23
土蔵の中の子供- 豊島ケイ ...自由詩11*10-11-16
そこらへんにいくらでもいる人- 豊島ケイ ...散文(批評 ...15+*10-11-11
田舎のスーパーマーケット- 豊島ケイ ...自由詩6*10-11-11
ちぐはぐな家庭- 豊島ケイ ...自由詩28+*10-11-6
諧謔集- 豊島ケイ ...自由詩8+*10-11-6
反映- 豊島ケイ ...自由詩17*10-11-1
泣き腫らした家/泣くまでの経緯- 豊島ケイ ...自由詩14*10-10-26
ゆるやかな生活- 豊島ケイ ...散文(批評 ...18+*10-10-18
骨音_他二篇- 豊島ケイ ...自由詩16*10-10-10
母の靴、私の靴- 豊島ケイ ...散文(批評 ...18*10-10-6
しみ- 豊島ケイ ...自由詩17*10-10-2
ボクが夢で見た楕円またはその中の二つの点について- 豊島ケイ ...自由詩5*10-9-23
てらてら笑う- 豊島ケイ ...自由詩10*10-9-12
- 豊島ケイ ...自由詩12*10-9-5
六月- 豊島ケイ ...自由詩17*10-8-3
散在しつづけるきざはし- 豊島ケイ ...自由詩7*10-7-10

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する