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自分だけがまちがっていることを
信じてはいても
わたしには疑念などなかった
ただ父は
大抵開けぐちが分からなかったので
最後にはいつも口をつかっていた

色のぬけ落ちた昇降口で
晴れた ....
わたしたちの考えた春というのは
玄関すみでは
魚のかげがうごめく4時半のことだった
羽のあるもののように
わたしもそれの中に入ったり
あるいは
絵を描いている
ゼリー状の
青いこれがわ ....
 おんながいるみた
いだ ぼくは上着の
前をたぐり寄せる
無意識に かたく編
まれた足場を滑って
いた ここは工場で
なく夕焼けで いつ
も半透明の粒々がく
っついている 姉は
い ....
 うたっている 腫
れは四つあって 猿
には片目がない あ
の草はらはぼくの腕
の内側にはぜている
今も 白い土と赤い
石が落ちている 腫
れているので穴は塞
いでしまった 探し
 ....
わだかまった余暇を
黄色く塗りつぶすためには
簡単にふた月を越した
小さな穴が必要なんだ、
僕には
狭いくらいじゃなきゃ
頭がはみ出す瞬間が怖くて
この目には
光も風も証明にはならない ....
帰ったら
ご飯を食べようね
バス停前のあの本屋
きっとこの頃は
思い過ごしているのだろう

傘の下のせまい

湿った毛色がとろりと風邪をひく
濃いすみれのようなのは
浮ついた午 ....
去年の8月
私に弟は居なくて
見なれない背中の同じ制服と
小さなヒイラギに似ていた
温かな水面に脈動する夜のはじめを
昂る夏がその都度握り潰し
ていくような予行

あなたが代わるがわる ....
新しいドライヤーだけれど
白くてやわらかい
両輪がふたつに割れる

夢に見たんだよ
耳の後ろの痛さを

口ばしる
側に
置いておいてくれる人の大切さで
判ろうとするのは
恥ずかし ....
皮膚の下に
いつも消えない断絶がある
電気が切れて、30分は
花嫁の
夢に用意した砂の中で
炎症している水を「見つけて

逃げてゆく
赤いキャップ、海の貝がら
いま此処には無い
心 ....
大きな音楽のくぼみに
海洋の裸体は何故有るのだろう、
ぼくといる
光る種は、美しいとは以前に
何て億劫で
すかすかに目詰まりした頭髪が
金星の毛玉を噛み込む、
これを着ては
もう外を  ....
ビーカーのうわずみに春ではない
赤茶けた花のぬけがらが
私)洗浄したアセトンを吸わせてみる
結果は /遅いね、

光のみぞに

名札の傷をはがすと
一番多くあらわれた歌姫がかしいだ
 ....
ひとりで育ったホルトの花
透明な花粉にむせて
おとうさんは毎日
緩く息を止めた
時々家に来たトロバスに
一緒に旅立ちを(そっとして置く事を
決めた親友も、乗り続けている
ぼくはなぜ何人も ....
(祈望)


ひとみに焼け着いた君の故郷も
見知らぬぼくの
澄み渡る戦場も最早ひと巡りして
帰る場所はみな同じ
なのになぜ、こんなにも唇は乾き喉が
二度と会えないようにつかえるのだろう ....
あなたの肩越しには
そっと燃やされた虫のひとみ
氷点下のやさしい冬の陽
夕闇すきとおる薄紫も
青白いミルクにできた膜が
弟だと教えられたまるい小さな手足さえ
やがてすっかり被い隠してしまう ....
凄惨な夢と
自分を見ているしかなかったことを
もしまた、誰かが慰めるかもしれない
だからどうしても
掛け替えがない なんてものは
あなたには駄目だ、
今は笑ったのだから
幸せで、
幸せ ....
延々回帰線をなぞって
大丈夫なのに、のどが咬めない
知らないの そう聞こえる、
逃げてきたセクターを端から閉ざされる
私が歩みを進めるほどに
故郷の地面まで
焦げてゆくのだと気が付く
( ....
吉岡ペペロさんの梶谷あや子さんおすすめリスト(16)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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