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かえるところがあるのならば、それでいい)
お葬式
カラスが黒く はばたいて
おひとりですか、と
月へ笑う
いいえ
あたしは迷子です、と
黒く燃える
火へ手紙を焼べた
....
授業中。昔の話をしていると
いい加減馬鹿馬鹿しくなってくる。
それでも、無地の黒板と、無地のノートから
何かしらの兆しを感じているけど
叶うなら授業中に片思いの時間をつくると
口にしてか ....
空から下がる紐の影が
円を描いて泳いでいる
姿かたちの失い生の声
幾度も土へ打ち寄せる
源を抑える手は緩く
光も水も渦巻いている
したたり落ちるもののなかに
灰と緑の ....
薔薇色の大理石の壁
ふりそそぐシャンデリアの光
ペルシャ絨毯の幾何学模様を踏んで
白いドレス姿の君が浮き立つ
言い知れぬ暗みと喧騒の中を
艶やかな笑みとともに君が通り過ぎる
氷を砕き、 ....
公園の砂場で
車のおもちゃが死んでいた
一度も生きたことがないのに
もう自ら動くこともないのだ
近所の庭に咲く
キンモクセイが香っている
今まで見たことのある死体と同じように
嫌な匂 ....
たかいとてもたかいところで
鐘が鳴って
響いてふるえ
始まったんだろ
どんどん共鳴して
音があたるから
どんな形かわかって
反響して
わかってきて
まだ目もひらいてないけど
柔らか ....
砂時計という名の{ルビ幽閉=ゆうへい}を描くべき色彩に迷い、
指先ひとつで幾度も幾度も
流れをもてあそんで
みる
(ここは、アトリエ・スロウ
(時の許しに並ぶ場所
....
散らさなくとも
散りゆくもののそのままだから
浜辺
知らせ
島を生んで
同じ高さが
同じ高さのままで違うから
猛り
迎え
....
冬の空は乾いている。遠くで鳥の鳴き声がしている。車のデジタル時計を見る。空腹で気持ちがわるく、くらみを覚える。午前9時。いや10時だったろうか。もう時間など意味はないかもしれない。昨夜、車の周りにい ....
すくわれた
一匹の蜜蜂の羽音
渇いた微風にそよいだ
草木の乱れ
鋭い鎌をたずさえた
物を乞う義足の少年
まちかまえる
一頭の蝶の不確実な飛翔
その美しい軌道
転々と巡礼を続ける修行僧 ....
こねこが じゃれついて
わたしのてを かじっていると
どこにもやれないものを
すこしずつ
かじりとってくれて
いるようで
にんげんのように
わたしたぶんだけ
おもたくなったり
し ....
遠いロンドンに宣戦布告してみたり
そばに立っててくれと頼んでみたり
それでも飽き足らないので
火星の蜘蛛と宇宙に飛び出してみたり
それでもどうしようもないから
私に火をつけてくれと懇願してみ ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という
人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ
と
解釈は準備してお ....
ぽちむは家を出ました
モスクワに行きました
それで売春婦に会いました
自分もなろうと思いました
その売春婦にいくらって言えばいいのって聞きました
売春婦ははっきりしたことは何 ....
+
石橋を叩いて割る
君の動きはハンマーで
その働きは引力だ
物体の俺だから
耳を澄ます必要がある/繋ぐ必要がある
手を、手を!
飛行機がブゥゥゥ・・・ん。
超低空でやって ....
一 風呂
陽の涼しい頃。
「お風呂からどうぞ
と彼女(?)は云った、
日本式の内庭に案内されると
葦簾張りの小屋に岩風呂があった
霞んだ白に残した青み、
空高く尾翼は全く見 ....
東の空が明けるころ
あなたはまだ
真綿の中で眠っている
朝の日のひとすじが
あなたの頬を
さくら色に染めて
はやく春がみたい
と言ったあなたよりも先に
春をみた
カミソリみたいな風が
叩きつけるみたいに吹いてて
シアン100%のウルトラブルーの空には
殴り書きみたいな雲が
でたらめな速さですっ飛んでいく
そんなわけで
寒くてどうしようもないので
....
いちばん古い棟へとつづく渡り廊下は
いつもひっそりとしている
ことに雨の日には
この渡り廊下だけが離れて
雨降る宙の中に 浮かんでいるような気になる
《ここで語り合ったこと
《ここ ....
まっすぐ伸びた茎に
まだ開ききらない
若いガーベラ
その素直に親しみ
その芯を持て余した
ガーベラ
まぶたの間に
顕れた苦しみ
黒目を大写しにする
苦い海水のような涙
喉に ....
行かないで、お願い
そう言って小さな女の子が俺の手を引いた
夕暮れ 海に落ちてゆく日は
どうしていつもあんなに決定的に
強烈に
美しいのか
海辺の教会から ....
ベランダの植木鉢を動かそうとして
シクラメンに手をかけると
蚊
あやふやなその飛び方は曖昧で
不確かな何かのようだ
冬に生きる蚊を哀れ蚊と呼ぶ
ならば
冬を過ぎ
春を生きるこの不確 ....
たとえば
水銀の
体温計の
危うさだよ
それは
けだるさの
端っこで
かすかに
午後の授業
先生
砂時計が
ぜんぶ
落ちたら
眠ります
少し
似ている
前髪 ....
風が死んで、
また一人、また一人倒れ
アジアでは奇形の動物達が生まれ
生まれては殺されて
蒸せるような夏
君が棄てた女
――は、ブラウス姿で
ごろり仰向けになり
天井を見つめたまま ....
世界に向かって
自ずとこうべが下がる
私を この世に 送り出してくれた
父 母に
今日の コーヒーを 飲めることに
行った事のない 南アメリカの大地
屈強なあるいはか細い
季節 ....
夜明けが待ち遠しいと思ったら
朝焼けが 綺麗だった
今朝
涙を拭った指が焼けるようで
それは
凍えた指先と
まだ眠たい頬の所為だと知る
高く抜けた空は
放射冷却
それ ....
箪笥の奥には
凪いだ海がしまわれている
微かに潮の匂いが漂っている
妻は夕暮れの淡い光に
静かなシルエットとなり
折り目正しく丁寧に
洗濯物を畳む
その姿は僕らの感傷を代弁する
何 ....
ちぢんだしじん
しにんがはち
しごうじゅう
いじんはしじん
めいじんはいしん
めいじいじん
いしんでんしん
めいしいじんで
いじんでええし
ええしはめいし
めいしにへんじ
....
食べ物をこぼすと
誰かが 食べたかったみたいねえ
子供のような声でいう
お母さん
あなたが
好き
なにかと鋭い恋人に
今日は特に死相が出ている
と言われたので
心配になって病院にいったら
思想だった
俺てっきり死ぬかと思った
良かった
とどのつまり
俺の頭ん中は
夢だとか希望だと ....
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