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夜になると
鳥は空を飛ぶことを諦め
自らの隙間を飛ぶ

高い建物の立ち並ぶ様子が
都会、と呼ばれるように
鳥は鳥の言葉で
空を埋めていってしまう

知らないことは罪ではな ....
亀を背負って
懐かしい人の苗字を呼びながら
塩を舐め続ける
水が飲みたい

+

かまきりの新しい
亡骸を
司書は黙って
見ている

+

カンガルーが直立したまま
波音 ....
公園の砂場で
車のおもちゃが死んでいた
一度も生きたことがないのに
もう自ら動くこともないのだ
近所の庭に咲く
キンモクセイが香っている
今まで見たことのある死体と同じように
嫌な匂 ....
危険です
右斜め前方から中学生らしき人たちが三人接近中です
ポストの中に珍しい爆弾が仕掛けられているので危険です
でもそれは本当はポストではなく冷蔵庫なので危険です
危険です 危険です
両開 ....
箪笥の奥には
凪いだ海がしまわれている
微かに潮の匂いが漂っている
妻は夕暮れの淡い光に
静かなシルエットとなり
折り目正しく丁寧に
洗濯物を畳む
その姿は僕らの感傷を代弁する
何 ....
日が暮れて今日も塩屋に
ナメクジたちが集まる
口々に死にたい死にたいと言いながら
塩を求めにやってくるのだ
けれど感情が昂りすぎて
みな自分の流した涙で溶けてしまう
翌朝塩屋の前は
粘液 ....
魚は
夜に鳴く
なくした
ラッパを思って

+

砂糖瓶を
よく洗って石段に
並べていくと橋を渡る
来客があった

+

探し物の
予定のない日
菜の花畑で一人
ラジ ....
町外れにある小さな海岸には
波が来るたびに
無数の椅子が打ち上げられる
町に住む子供たちにとって波音とは
木や金属のぶつかったり
こすれたりする音に他ならないので
海遊びをするときは
上 ....
針金を折りたたんでいく、と
先には僕らが息をしている家が見える
目を細めれば海のようなものがあって
僕らはそれを海と呼んだ
その前で君はセーターを編み続け
僕は隣でセーターを食べ続けてい ....
ホームで君が歌を口ずさむ
それはとても良い音なので
お墓のようなものと間違えてしまう
床に書かれた落書きが
羽をはやして飛び立とうとする
言葉はそんなことをしてはいけない
小さな子供が言い ....
僕らの虹が逝った
二人で棺に入れると
弓型に過不足なく納まった
最後まで色たちは
混じることも濁ることもなかった
一緒に入れた物がはみ出ていたので
係の人が少し押し込み
蓋は閉め ....
及川三貴さんのたもつさんおすすめリスト(11)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鳥の隙間- たもつ自由詩24*08-1-3
かなしみ- たもつ自由詩37*07-3-31
キンモクセイ- たもつ自由詩1607-3-27
勝訴- たもつ未詩・独白16*07-3-19
箪笥- たもつ自由詩1707-3-16
結晶- たもつ自由詩1507-3-15
さよなら- たもつ自由詩29*07-3-12
海の話- たもつ自由詩16*07-3-6
- たもつ自由詩1407-3-5
ホーム- たもつ自由詩907-3-2
- たもつ自由詩2206-12-22

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