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こんなにも世界は柔らかく
日差しが踊り髪を彩り
わたしは日傘をさして笑います
わたしは死にかけた花のよう
世界を眺めるだけのものなのです
摘まれるその日を待っていた
....
愛ってなんだろ
ぽつりと吐かれた言葉がフローリングの床に落ちて
それは真っ黒な染みになった
白いワンピース
春色の爪
茶色のフローリング
漆黒の染み
ピエ ....
雨の匂いは二人の瞳を湿らせる
閉じ込められたつもりのお遊びで
あなたは私を呼び寄せた
きっと些細な戯れで
シーツの波が
まるで逃げ惑ってるかのように見える午前五時 ....
ぱしゃり、と水音をたてて
あなたは私を抱きしめる
二人きりのぬるま湯に浸っていると
まるで双子のようだと思った
「交わることのなかった二人が
一瞬だけ出会 ....
優しい君は
別れを告げて少し泣いた
困った笑顔で頷く私に
強いはずの君は泣いた
蘇るのは
初めて手を繋いだ夏の終わりの秋の始まり
気付か ....
夢を見た
あなたはひどく優しい笑顔で笑ってた
明け方の月のような美しさで
私は少し笑っていたように思う
その柔らかい微笑みに
夢の中でも傷が疼いた
....
ヘミングウェイじゃないけれど
何を見ても何かを思う
この街は体に毒だ
記憶の濁流に押し流されて
立ち尽くしたまま泣きそうになる
冷たい風が刺す中で
涙だけが生温かった
....
あの頃顎下で切りそろえた黒髪は
いつの間にか胸下まで伸びていた
美しい茶色の髪を、あたしは毎日ゆるやかに巻いている
あの頃短かった不細工な爪は
桜貝色の花やきら ....
あの夏の日
あたしは石の階段を登ってた
小さな足で勇ましく。
ぎゅうっと詰まった石の間に
黄緑色の草が生えてて
踏まないように急いで登った
ひやりとした木の感触
あのときあたしは ....