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うらぶれた母屋の近くで
朽ちていく頼りない樹木に
果物が二つも実って
どちらかは甘くなれない
かつて生活があった土地に
ヤクルトの容器が風に転がり
明るく後に暗い空を
椋鳥の群れはう ....
たくさんの鳩がいる中で
一羽が死んだと噂が流れて
ことの真偽を確かめるために
あらゆる鳩を捕らえてまわった
けれどここには様々な鳩が
無限にいるのだとわかってからは
ずっと一羽が見つからな ....
とても大きな水たまりを
陸の存在しない方へ
夢中になって泳いでいく
いつしか亀の姿をかりて
雲がほとんど透き通っていて
青いばかりの視力の中で
規則正しく諳んじられる
無限の ....
イチジクの実の組立てが壊れて
甘いものだけが畳の上にこぼれた
あえなく絶えた通信の最後に
とても明確なかたちでお別れを告げて
甘いものだけがどこまでも遠くへ転がり続けた
あたりいちめんの下り ....
いつのことか ハマヒルガオが 群生していた
ような気がして 彼が思わず 発語したのを
彼女の発語が 相殺したので はじめから何も
なかったのと 等しい時間が 末永く続いた
規則正しく 連なって ....