シャンメリー
砧 和日

うらぶれた母屋の近くで
朽ちていく頼りない樹木に
果物が二つも実って
どちらかは甘くなれない

かつて生活があった土地に
ヤクルトの容器が風に転がり
明るく後に暗い空を
椋鳥の群れはうねったけれど
やがてそれも静かになった

誰もいない日々の中で
選び取られることのなかった
まず片方が地面に落ちて
もう片方も地面に落ちて
少しだけ時間差はあったけれど
ようやく二つ隣りに並んで
これからはゆっくりと変化していく


自由詩 シャンメリー Copyright 砧 和日 2015-09-23 13:55:49
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