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梅雨が明けたそうで
なにより

街を歩く

至る所で
白い携帯電話を手にした人を見た

どれもこれも白一色で
夏空の雲みたいだ

白でなければ
つながらない話があるようで
 ....
青い月が遠くから見ている
私たちを
真昼間の
ふとした瞬間
あらゆる雲がなくなって
夏にはニッコウキスゲが咲く
あの稜線があらわになって
その雪肌を見下ろすように青い月が
遠くの空の上 ....
遥かの西方から雨は僕の世界にやってきて
もう三日も降り止む気配がない
大粒の
激しい雨に
僕は傍らにいるお前の二の腕をつかんだ
お前の二の腕は白く
とてもやわらかい
クニクニと何度もつか ....
小さな手は星を拾った
大気の熱に
輝きは奪われ
小さな
つやつやと光る
黒い
石になったその星は
小さな手に載せられて
女と一緒に街を歩いた

街は赤紫の夕景を傾かせて
女の歩み ....
もし
どうしても
どうやったとしても
このゆうやけが
おわらないとしたら
わたしは
あなたに
あなたは
わたしに
なにを
はなせば
いいのだろう

もし
どうしても
どう ....
さくらが満開になる
午後
雨になる
重力は終焉の暗喩として
天気は
午後
雨になる

君の湿った指が
きっと僕を選択して
僕に伝える文字
操作
メールとして僕の手元に来る

 ....
あなたの手はいつも潤っていて僕は戸惑ってしまう
涙みたいだ
そう思った

あなたが生きている時間の中には
行き場をなくした幼魚の群れが泳いでいる
おそらく何万という幼魚の群れであなたはでき ....
いつも見ない夕焼けを見た
空が朱色に
本当に久しぶりに染まった日に
昔は明るい笑い皺ばかりのおばあちゃんが住んでいた
もう荒れ果ててしまった家の壁にもたれた紅梅が
ポン
ポン
ププ
と ....
なくしてしまった
ちいさなものを
どうしてもあたためたくなったので
ぼくはふゆのひざしのなかをあるく

ぼくにながれてくる
このふゆのひのかぜは
かなしいおととむなしいたいおんで
ぼく ....
あったかいご飯に
かつお節をかけると踊る
ように踊りたい
と思うのだけれど
音楽がない
そういえば
動物園の温室では
数百もの蝶が飛んでいて
ダチョウは飛ばない
ゾウも飛ばない
ア ....
仕事に疲れたおまえが
こんなわたくしの部屋に帰り着くと
雨にぬれたおまえは
いつものように静かに服を脱いだ
行き場のない案山子のようなジャケットを
お前はハンガーにかける
遊んでもらえない ....
香気がどこからかぼくの指にしみこんできた
朝日はいつの間にか木陰を
ありありと作るくらいに大きく育って
父は病んだ体を褥に起こして
指先から瑞々しい桃の果汁を滴らせながら
桃の果肉を噛み砕い ....
静かすぎるよって
背泳ぎをしながら呟いてみると
空には立派な
夏らしい雲
陽に焼けた
男と女の睦み合う
そのすぐ横を泳ぎ去るとき
波立つ水から
微かではあるが
女の性愛の匂いがして
 ....
千波 一也さんの黒田康之さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
白い電話- 黒田康之自由詩807-8-1
新年詩二〇〇七- 黒田康之自由詩907-1-2
雨と二の腕- 黒田康之自由詩406-9-16
星を拾う- 黒田康之自由詩406-8-3
満開の藤の下にて- 黒田康之自由詩706-5-13
さくらのはなと指と雨と- 黒田康之自由詩306-4-10
さまよえる幼魚の骨- 黒田康之自由詩506-3-30
いつも見ない夕焼けを見た- 黒田康之自由詩2+06-2-16
ちいさなもの- 黒田康之自由詩2*06-1-17
ねこまんま- 黒田康之自由詩405-11-25
秋の乳房- 黒田康之自由詩505-10-6
初物の桃- 黒田康之自由詩705-7-23
背泳ぎにて見上げる- 黒田康之自由詩605-7-16

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