さくらのはなと指と雨と
黒田康之

さくらが満開になる
午後
雨になる
重力は終焉の暗喩として
天気は
午後
雨になる

君の湿った指が
きっと僕を選択して
僕に伝える文字
操作
メールとして僕の手元に来る

しとしとと
雨だれ
言葉が滴って
僕の皮膚を散らしていく

午睡
まどろみは君の
少し離れてわかる
君の匂いだ

その雨だれのような指で
僕の眠りの首筋を
行きつ戻りつ
する君の
言葉
は高速で

さくらはもうすぐ全部が散ってしまうのだ
君の肌は二月のように
冷たく湿ったままなのに

落花
光速で落花
一瞬に分子となって
飛散する君の言葉よ
この午睡

分子となって
この僕の眠りとなって
僕となって
あれ!


自由詩 さくらのはなと指と雨と Copyright 黒田康之 2006-04-10 00:07:07
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