強い南風だった
私は風になど飛ばされたくないから
作文を書いた
父は私が何をしても
優しい様子で褒めてくれたけれど
作文だけは
夜、眠る前に読んでいたようだった
下水道の早期敷設 ....
新入社員になったり、転勤したりすると
職場でアフターファイブの歓迎会があったりする
そこである種<独特の>語彙と文法を駆使した自己紹介ができることも
社会人の大事なスキ ....
雨のあと、僕らは廃園で見た
レインコートを着た怪人
手足が長くて、大きなシャベルを持っていた
まるで今しがた何かを埋めていたように
土に汚れたレインコートを


その色を その手触りを
 ....
空から何かが落ちて来る
そう思って心配して
夜も眠れない男がいた
周りの人々は男に対してそんなことはない
それは杞憂に過ぎないと言うのだが
男は相も変らず空から何かがと言って脅えるばかりだっ ....
タイムスリップしてる途中に、
私が落っことしたiPhoneが、
アダムとイブの元に降っていき、
そこから死ぬほど、変わりまくる歴史。

フィアンセの姿が自販機になったけど、
そのまま挙 ....
なんでもないような傷の数だけ
丁寧に大人になってあのひとは、
そういえばそんなこともあったかもといって笑っている、水色の蛇、そう、
あのひとは、蛇だったのかもしれないね
封鎖された洞窟の奥で、 ....
例えば

水たまりを越えようとして
かかとが派手に水しぶきをあげること
おれの脚は短かった、思ったよりもきっと水たまりは広かった
成長期はずいぶん昔のこと、これ以上脚が伸びることはなく
ど ....
10月15日(土)、
 少し遠くの図書館に行って、小説を借りてきた。陽だまりは懐かしく澄んでいた。小説からは、少しレモンの匂いがした。
(小雨の朝とは違う昼の光や、少し遠くに来たという身体の浮遊感 ....
「生き物は絶滅したこの島に 命令だけがこだまする」
 
 家族設置義務 第1条
“マンションには 家族仲良く住む義務がある”

 四角い窓にぶつかって跳ね返る
 約束のような
 声たち  ....
玄関に遺失された小さな靴はその都度捨てられては発見され、ありとあらゆる名前で命名されている。靴の平面はいつでも同じ体温と同じ表情を持っていて、豆粒みたいなまなざしで地面の消毒を繰り返す。混 .... あの草原へ、手と手がはじめてふれた場所へ、走ってる、仰向けになって雲に名前をつけあった、あれはジャムパン、メロンパン、やきそばパン、クリームパン、あんぱん、あげパン、パンばっかじゃん(笑)、フ .... 北原白秋・高村光太郎・三好達治は、私の好きな詩人だが、彼らはみな戦争協力詩を書いている(「戦争協力詩」という言葉は変だが、「愛国詩」「(反戦詩ならぬ)賛戦詩」「戦争昂揚詩」のどれも変ではある。この辺の .... まず、冒頭で今回の東北関東大地震で被災した方々に心よりお見舞い申し上げます。
現代詩フォーラムはメンバー数が大変大きいので、メンバーの方でこの地域にお住まいの
方がいらっしゃるのではと考え、今、色 ....
「荒地」を読むための諸前提 1

 「親愛なるX…」。こうした書き出しで始まる、荒地派のマニフェスト
とも申すべき「Xへの献辞」は、1951年版の「荒地詩集」の巻頭 ....
所沢航空公園で昼寝していた犬と目が合ったからにゃんと挨拶してミドリの窓口から森へムンクの森へ備えないから憂いもある改造屋からにげます

逃げるげるげるげるげる荷げるげるげるげるげる逃げるげるげるげるげ ....
 詩を書き始めてから四半世紀以上になるが、いまだにこうすれば詩が書けるという方法論を持たない。そのくせ、詩を書きたい、書かなければならないという、妙な切迫感のようなものにずっと追い立てられている。そし .... 諧謔の逆恨みが背ビレを落とした。松子は不審げな眼差しで次々と串刺し、にする。わたしはそんな中で胎児の如くひそやかに息づき、シダの如く教室に根を張る、わけだが、じゅりゅり、じゅりゅり、と泳ぐ松子にとって .... 口語の時代はさむいがその寒さの中に               ※2
自分の裸をさらすほかない時代
ひとつの恐ろしい美が生まれた                  ※3
三角さん、錯覚しなければ ....
時折天井から記号が滴る

灰色の水槽の中には青白い都市が浮遊している

祭壇めいた台の上で
少年はくる日もくる日も
華奢な実験をくりかえす
時々淡いひとりごとを呟きながら

ほのかに ....
最初に言っておかねばならない。私は経験を重要視するわけではないし、軽んじるわけでもない。私は経験について中途半端な考えを持っている。経験は重要な場合もあるし、そうじゃない場合もある。経験しなけりゃわか .... 川上未映子さんのブログ「純粋悲性批判」で紹介されていた映像です。
巨大なあやつり少女が公園の中を進んでいくのですが、
不思議な世界にホント惹きこまれてしまいます。
ぼくらにはもっと夢が必要なんだ ....
ハロー
いま、ぼくのそばにいる、コトバ、は
みどりいろをしています。
ハロー
もう、ハル、なんですから
きっとすべてがうまくいきます。
ぼくの、てのひらで、
コトバ、は、硝煙、の匂いに
 ....
バード!
その飛び立つ瞬間の
美しい記憶が頼り
二度とは同じ羽を広げず
同じ飛び方をしない
美しい記憶が頼り

そして僕らは
いつもこんな平原をさまよう時
とてもとても
ジェリービ ....
  校庭の桜並木花吹雪に見惚れる君に見惚れる僕


  若葉萌えて黒髪の乙女自転車ノーブレーキ危機一髪


  君が読んでた本の栞場所を変えた犯人僕ですごめんなさい


  雨の日の ....
                   ソンナコ ト アッタ?
                       −− 入沢康夫

きょう外へ出かけたら
道でばったり十数年ぶりで
なつかしい人に会 ....
 


  強い陽射しの
       岩
       の
       上で
         ちいさく
            固まっていた蜥蜴
                ....
 
 ゆれている
 ゆれている
 ぼくひとりだけの地震
 震度3のゆれなのだ
 バスのなかでゆれている
 フェスティバルの司会をやりながら
 マイクをもってゆれている
 歩きながらゆれ ....
   西海岸



  デビット・ホックニーのやさしい光
  斜めにさして きいろい陽だまり
         動かないカーテン
         と
         透明な窓 ....
   風 立ち ぬ
   いざ 生きめやも
   と 息をついたのは
   フランスの詩人
   ポール・バレリーだった
   それを 訳したのが 堀辰雄である
   ケー ....
夜更けに
タンタンとタイヤを鳴らし
鉄の階段を降りて
僕の自転車が
外へと出掛けて行きます
(ほんとうは僕の自転車ではない
 きみから借りたままのもの)

マウンテンバイクだから
 ....
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