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深夜、ふと思い出し
夢の中でカレーライスの
分解を始める
専門の工具を使って
肉は脂身と赤身を分け
さらに赤身は一本一本
繊維のネジをはずしていく
ご飯の一粒は小さいけれど
....
頭の中の港に
一隻のレモンが停泊している
さざ波に反射する光を
いっぱいに浴びて
やがてレモンは出港すると
徐々に頭の中から
外洋へと向かい
ポートクランに寄港する
たくさ ....
たらこ、食べたいの
ねえ、買ってきて、たらこ
たらこ、買ってきて
今すぐとは言わないから
でも今すぐ食べたいから
買ってきて、無理なら
とってきて、海から
海でいいと思うの
磯 ....
父とよく
キャッチボールをした
グローブも買ってもらった
適度な距離をとり
公園や河原で
父と向かい合った
数年後、もう親と
遊ぶような年でもなくなった頃
キャッチボールに ....
そういうふうに
こんなふうに
吹いて
吹かれて
不はつして
消えた
さえずりに似た
曖昧で軽い
生きづらさ
飛ばされていった
心や身体の
端きれ
想像していたよ ....
朝、着陸があった
生き物のような
小さな音
おだやかな
さざなみと
草の下敷き
わたしは子供だった
片言の陽射しにも
なれなかった
一粒の海
古いゴム管の
隣に腰掛け ....
水沫の上に
都市が建ち始めた
人が溢れ出すと
歴程のいくつかは消えていった
句読点が住んでいる一画には
本日もそぼろない風が吹いていて
生きることは疲れるね
生きることは美しいね ....
鶏肉を食べた
美味しくいただいた
鳥、なのに空を飛べずに
生涯を終えた
鶏の悲しさも一緒に
余ったお肉を
冷蔵しようとしたけれど
開け放った窓から
飛んでいったのは
....