真夜中の冷蔵庫には
大切なものが保管してある
賞味期限のとうに切れたチョコレート
芽が伸び放題になってしまった玉ねぎ
炭酸が抜けきる手前のコカ・コーラ
そして冷凍庫には
あ ....
わたしが生きているこの場所は
冷え冷えとした哀しみと
沸騰する歓びと
あなたの透き通るその声が
夜な夜な交差するところ
離して、離して
遠退けず
ノイズまみれの花が咲く
花咲く脳 ....
暑い日も寒い日も
生きていかなければならない
調子のいいときも悪いときも
生きていかなければならない
ワイフと口論したときも
隣人とトラブルになったときも
生きていかなければならない
病 ....
死にそうは希望、
希望は死にそう
孤独は連帯、
連帯は孤独
開ける風景の思わぬ広さに
僕ら驚き手を握る
巨きな未来が間近に迫って
僕らしっかり抱きしめ合う
)絶望しかない、なん ....
*
三沢では雨すらも言語になる 帰途を失ったひとがレンタルビデオの駐車場に立つ 傘がない秋口にはからっぽのボトルがよく似合う したたかに酔い、そして瞑目するあいだ、すべての鳥が、カチ ....
退屈は体育座り訪ねてる
銅像も想像力をもっている
街灯のような居場所だった記憶
風の中でふいに生まれる 星明かり
ひらがなでかいたてがみがさわがしい
1.心配する
そんなにもすこやかなら
まじないはいらないね
唯一だから
名前もいらないんだろう
世界にかぶれないように
もっと 眠ったら
2.真実
バナナの ....
プランクトンになって
魚さ食べられで
魚になって
釣り上げられで
久しぶりに見だ街は
すこし違って
キラキラしていた
あっつー間さ
食べられで
うんちになって
下水さ流れで
....
東日本大震災の翌年
「北方派五分楽団」という
障がい者バンドの総帥のボクは
障がいを抱えている楽団員達が
励ましに歌を
歌いに行きたいと云う意見を
無視できずに
「仙台とっておきの音楽祭 ....
明日のライブの
ご挨拶にと伺ったのは
小さな喫茶店だった
開店間もない午前十時辺りなら
店も忙しくないだろうから
落としたての美味しい
深煎り珈琲でも注文して
店主のご機嫌を伺おうか ....
今日は涼やかな春風が吹き
街はもうすぐ黄昏です
西陽が君の横顔を照らし
はにかむ瞬間を捕らえます
それは本当に美しい
この街角の光景です
(あゝ後何百年
待てばこの瞬間に出会えたのか ....
物質にも
役割という
いのちがある
私にも
役割がある
私は不安なのだろう
だからこそ
私は安心も出来るはず
余白を持って
ゆったり行こう
{引用= ....
春星と過ぐる東京の君の夜
街はいつのまにか 輝いている
乾いた 冬も終わっていく
でも 風は冷たいままだった そんな
横浜の地下街をどこまでも行く
池袋の地下街とは異なる思いで
だけど少しだけ疲れていたのだ
水 ....
曖昧な目のはしっこに雨が降る
もういいぜ 色の呪いにノイローゼ
手に入れてからっぽを忘れてしまう
童話読む 瞳に埋めた古里で
失った春の言葉を集めてる
日本語でしか草原を見ていない
語らない人と暮らしたひとりごと
落とし物 すいめんの樹が揺れる音
どうした、もう書かないのか弱虫と。はい書けません書きません
きみとの意見は平行線、僕は閉口するばかり
わからない、から黙っている。主導権から身を引いて
映像で見れば零れ落ちるものがあ ....
ちょっと気持ちが落ち着かないからといって
文字を書きたくなる
気持ちを吐き出すことで均衡を見出そうとしている
情けなくもなるけれど
ほかに成すすべが見つからない
空っぽな心は声をあげることを ....
なでられ なめられ
めでられ めくられて
いるときに また
硬く 近く 拒むのだった
キッチンで
蛇口で
ぼくじしんのようなあらわれと
いっぽんの ....
みんなへありがとうさま
さまざまな
人や物事に
さまざまに
支えられているから
当たり前のこと
だけど
ごはんは自分の体を
作ってくれる命だから
いただきます ごちそうさま
....
何が災いするか
分からない
かわりに
何が幸いするか
分からない
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
そしてヒトは何万年もの間争いをしている。
そして
銀河の岸では鬼たちが歌を歌っている。
そして
星々の亡骸に
花を供えて
ひとつひとつの星に
黙礼をしていく鬼たち
そして
失われた
....
せんそうはいややけど
きょうのごはんをあっぷしました
せんそうはいややけど
わたしのこどもかわいいでしょ
せんそうはいややけど
はなのつぼみのしゃしんをとります
せんそうはいややけど
そ ....
ひとり見つめる青空を
透かし通した大宇宙を
あゝとてもクリアだ
わたしはひとりだ
ゆっくり春めく街を行く
どこもかしこも光の散弾
弾ける人々の笑いは満ちて
いのちが優しく芽吹いている ....
夕べの夢に旅立つとき
私たちが寝床に置き忘れたもの
微かな哀しみと柔かな吐息と
それから
それは長い道のりでした
今振りかえりみれば
沢山の思い遣りと共感と
それから
....
日ののぼる前の空には雲黒く飛んでちぎれる約束は今
{引用=角川『短歌』2022年 3月号分「角川歌壇」にて
福島泰樹先生選 谷岡亜紀先生選 佳作
水原紫苑先生選 秀逸}
終電逃した神様が始発待つ間に作った、
新しい生き物は、エレキギター片手に、
世界一悲しい歌を歌う。
月の裏側にある街で、
マッチングアプリ起動したら、
ものすごい数の、リトルグリーンメン ....
春愁やかつての君のマグカップ
信頼関係がなければ
バスだって乗れない
飛行機だって乗れない
信頼関係がなければ
水道の水だって飲めない
弁当屋の弁当だって食べれない
信頼関係がなければ
医者の薬だって飲めない
手術 ....
かたり。音がするから置き場を探して、そこじゃない、そこじゃない、と帰る場所が消えてゆく。昨日までいた場所に、君がいないのならば、もう。
雨降り。夜の八百屋、メロンとむきだしの ....
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