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入江の向こうに
黒い影が浮かんでは消える
波の音を奏でる
音符のように
埋まらないパズルのような曲線を描いて
この場所を離れないものがあることを
僕はくりかえし
思い出していた
極夜にひとり読む活字は文明のかすかな点滅
砂場に散らばるコトバを見ている時に
私は居ない
コトバは私の方をじっと見ている
私を見ながら
私の名前を砂場に並べてみせた
私は後ずさりする
後ずさりする時にも
私は居ない
コトバ ....
黙々とボールを蹴る子冬木立
小さき鉢の菫に冬のひかり憩う
水平線を折るその指先から飛び立つ折り鶴