霧のつぶが
ここらに留まっている
セイダカアワダチソウが
しっ
と立ち尽くしている
秋は秋でさみしいから
オルガンを弾く
幼き
亡き王女に寄せたこころを
いつまでも
....
きみとなにかを分け合う様に生きていたいとおもう
からっぽのカゴの自転車のままで自由を走ろう
所有することなしに生きてゆくことも良いのかもしれない
手にするものすべてはさよならをはらんでいるか ....
『わかりやすい労働基準法』というタイトルの本はあるけれど『読んでしまうでしょう』というタイトルの本はない。仮にあったとしてもそれは『呼んでしまうでしょう』であったり『混んでしまうでしょう』であったり『 ....
松の枝昇り竜に似て曲がっている
ぼうっと過ごしている
この午後の一時を
自動車の走行音
黄金に照り輝く瓦
微かに揺れる送電線
何処までも澄み渡る蒼穹
この私が今此処に存ること
この午後の一時を
ぼうっと過ごし ....
清秋
空清しとは季語のみで
ここ数年は
雨や風の災いに心痛めたり
意味のない達弁に
うつむいてしまいたくなる
そんなことが多い
それでも
ほんとの清秋が突然にやってくると
....
ひとくちの水ほしさに
幽霊は夜に立っていた
眠りと死の違いを
未だわからぬまま
あらゆる終わりに優しさは無く
ただ悲しみばかりが晴れわたる
舟漕ぎ人夫の
沈みゆく ....
こいつ分かってるじゃねえか
本能なのか
統計なのか
確率なのか
こいつ分かってるじゃねえか
いじらしい
可憐な花が
崖っぷちで
海からの
風に ....
お金ほど汚ないものはない
お金は善悪清潔不潔を問わず
だれの手にも渡る
なのに
お金を扱って手を洗う人はいない
トイレに行ったら必ず手を洗う人でも
お金を手にしても手は洗わない
中には
....
すべて消えてなくなればいい
想いも 愛も
淋しさも悲しみも
ここにいたという軌跡さえ
波にさらわれてしまえばいい
a dream
誰にも知られずに
消えて行く私の言葉たち
....
あの日
ポプラはたたずみ
欅は足早に歩いていた
ヤマボウシは落ち着きなく
楠は泣いていた
私は山に向かう
晴れの日に
桜が死んだ
歌う鳥は
誰もいなかった
誰も寝ていない寝台の上に
まだ戒名の付いてない
母の骨箱を座らせる
ダウンロードしておいた
浪曲を流す
追い追いと涙が溢れる
落ち葉が舞ってる君を追いかけて
スニーカーの底で中敷になる
君を支えているんだと思える心強さを
震える身体で伝えようとしたのに
眠りに落ちて低くなる体温
君を冷たいまま放置していた
....
愛情はひとつでも
愛情表現は人さまざまだ
黙って見守るのも
愛情表現なら
いちいち心配するのも
愛情表現だ
場合によっては
厳しく注意したり
たたいたりするのも
愛情表現だ
愛情は ....
今朝は小さな喜びが
2つもあった
ひとつは
プランターの中にほうれん草の芽が出ていたこと
ふたつめは
地域に二人しかいない小学生のうちの
一人の二年生の子が
通りかかって元気よく
「お ....
時事ネタ。たとえば政治について。ニュースのような詩があるとして。政治への不満や批判を詩にするほうがましなのか。そういう自己の主張をベースにした政治的、時事的なという感じの詩に少し違和感を感じてしまう今 ....
駅のトイレの個室の壁に書かれた
作者不明の一文
それに
興味をそそられた
読んでしまった
用を足しなから
読んでしまった
俺は失敗して彼女を妊娠させてしまった
出来ちまって ....
秋が来て
少し硬くなった
夜と言う果実
その表皮を
ゆっくり
ゆっくりと
冷えたナイフが
削り取っています
水のような風が
ダイアモンドの粒を
吹き上げながら
刃先へと運 ....
靴の中で
転がる小さな石を
親指の先で
ゴールに決める
僕の足にだけ
ボールが集まる
不思議だなぁと
思いながら
シュートを外しても
狭いピッチで
回ってくるパスを ....
宇宙の冷たい感触が 朦朧とした頭に響く
世界の一様な無表情が 奥まる意識を取り巻く
(フォークとナイフがぶつかる音、砕けるグラス)
世界は今日終わるかもしれず
それなのに宇宙は爆発と沈黙を貫く ....
ボールペンの先で泡立てている
思いを言葉に変えられたなら
メレンゲのような柔らかい気持ち
心に挟んで飛んで行きたいよ
頭と背中を洗ってみたくて
側に行っても良いですかなんて
言 ....
雨女の女性社員と営業にやっぱり雨が降ったと笑う
晴れになり予定通りにバーベキュー会社仲間と賑やかに過ごす
お茶漬けをたまに食べると美味しくて毎日食べても飽きないだろう
紙芝居娘が作り ....
ささやくように
話しかけてくる
冬の足音
秋の終楽章の
フィナーレは
もう間近
木枯らしのような
冷たい風が
吹き抜け
舞い落ちた枯葉 ....
浅瀬に住めない深海魚
空を飛ぼうとするにわとり
青い空
ボロい外車とパンクな少女
乾いた匂い
空に浮かんだ石の城
読み手を失くした物語
沖を行 ....
背中を向けたまま返事をしたのは
嫌われた方がいいと思ったから
勝手な男だと怒っているだろう
そのうち忘れてくれたらいい
惚れた女を幸せにするための方法が
これ以外に思いつかなかったんだ
....
一日一日確実に年を取っていく
死のゴールへと近づく
こんなに怖いことはない
みかんやりんご、お菓子にパン。
半分こするとき、母は大きい方をくれる。
大きい方をもらって喜ぶ時期を過ぎたころ。
冷たい清水がつと胸の奥に流れて、ほろりと目からこぼれ落ちそうにな ....
パジャマ姿で病室に眠る
その腕を繋ぐ点滴のリズム
どこかで落とした涙のように
揺れるカーテンを眺めて思う
向こうの世界へ飛び出す身体に
大きな羽根を与えてくれないか
お弁当箱にしま ....
お互い地味な性格ですから、ベーシックなものでいいんです、目の前に広げられたデザインの贅を凝らした指輪たちに違和を感じ、一番単純なものを選ぶ、そんな僕たちは本当によく似ている、歳を取ってからも着けるもの ....
僕はタイのドミトリーにいたのだった
蒸し暑い階段を登る時に思う 僕は 今 タイだ
事前に予約しておいたベッドに案内された
白いシーツに横たわると そこに 四角い窓
僕はそして風の入 ....
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