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秋が来て
少し硬くなった
夜と言う果実
その表皮を
ゆっくり
ゆっくりと
冷えたナイフが
削り取っています
水のような風が
ダイアモンドの粒を
吹き上げながら
刃先へと運 ....
靴の中で
転がる小さな石を
親指の先で
ゴールに決める
僕の足にだけ
ボールが集まる
不思議だなぁと
思いながら
シュートを外しても
狭いピッチで
回ってくるパスを ....
宇宙の冷たい感触が 朦朧とした頭に響く
世界の一様な無表情が 奥まる意識を取り巻く
(フォークとナイフがぶつかる音、砕けるグラス)
世界は今日終わるかもしれず
それなのに宇宙は爆発と沈黙を貫く ....
ボールペンの先で泡立てている
思いを言葉に変えられたなら
メレンゲのような柔らかい気持ち
心に挟んで飛んで行きたいよ
頭と背中を洗ってみたくて
側に行っても良いですかなんて
言 ....
ささやくように
話しかけてくる
冬の足音
秋の終楽章の
フィナーレは
もう間近
木枯らしのような
冷たい風が
吹き抜け
舞い落ちた枯葉 ....
浅瀬に住めない深海魚
空を飛ぼうとするにわとり
青い空
ボロい外車とパンクな少女
乾いた匂い
空に浮かんだ石の城
読み手を失くした物語
沖を行 ....
背中を向けたまま返事をしたのは
嫌われた方がいいと思ったから
勝手な男だと怒っているだろう
そのうち忘れてくれたらいい
惚れた女を幸せにするための方法が
これ以外に思いつかなかったんだ
....
一日一日確実に年を取っていく
死のゴールへと近づく
こんなに怖いことはない
みかんやりんご、お菓子にパン。
半分こするとき、母は大きい方をくれる。
大きい方をもらって喜ぶ時期を過ぎたころ。
冷たい清水がつと胸の奥に流れて、ほろりと目からこぼれ落ちそうにな ....
パジャマ姿で病室に眠る
その腕を繋ぐ点滴のリズム
どこかで落とした涙のように
揺れるカーテンを眺めて思う
向こうの世界へ飛び出す身体に
大きな羽根を与えてくれないか
お弁当箱にしま ....
お互い地味な性格ですから、ベーシックなものでいいんです、目の前に広げられたデザインの贅を凝らした指輪たちに違和を感じ、一番単純なものを選ぶ、そんな僕たちは本当によく似ている、歳を取ってからも着けるもの ....
僕はタイのドミトリーにいたのだった
蒸し暑い階段を登る時に思う 僕は 今 タイだ
事前に予約しておいたベッドに案内された
白いシーツに横たわると そこに 四角い窓
僕はそして風の入 ....
水を
飲み干す
と
きれいに
戻れるの
過去は
穢されて
きれいは
きえはてて
水を
飲み干す
と
涙も
流れるの
過去の
ゆるせない
じぶんも ....
旅にあって
飲めない酒を飲んだ
目の前にひらける黒い雲
灰褐色の光
酩酊船
嵐
錨の切れたラテン帆の船
波頭
眩暈
眩暈。
いつしか、酔うのは私なのか
それとも船なの ....
石ころになりたかったんです
道のはしっこで
誰の目にもとまらないように
ときどき蹴飛ばされても
誰のことも恨まないような
ちいさな石ころになりたかったんです
たいせつな物は思い出の中に ....
知らない人だらけの教室の中で
周りの会話に耳を傾けていた
誰か話し掛けてこないかな
友達ができたらいいな
一人きりで弁当を食べながら
周りの会話に耳を傾けていた
誰か話し掛けて ....
なのに
たゆたうように月は光りつづけ
あきもせず夜空を見上げる
あなたの横顔が冷たい
聴こえるはずのない
化鳥の鳴きごえがした
なにかを奪い去る甲高い意志
その悲しみを ....
雲の切れ間から
青が光って覗いている
俺はくたびれ脱力して
道端に腰掛けている
わけの分からない宣伝カーが
ゆっくりと通り過ぎて行く
ひんやりと動かない空気
傾きかけた太陽
何も変わら ....
遠い声を聞いた 海の底のようなはるかな声だ
耳に残る 今はおぼろげな記憶のようだと
貝殻の奥にある秘密の旋律のようだと
遠い道を歩いて抱いてしまった憧れに逢いに行く
人々が集って来る ....
優しさの、
止まらない疾走に
目が回る
こころの上で掬い取られた
優しさはまるで
枯れ果てて茶色の種をバラまくまえの
向日葵の花びらを枯らした姿で
花としては終わり果ててい ....
いつぽんの川がながれてゐる。
川べりの道は夏枯れた草に覆はれてゐる。
川はゆつたりと蛇行して その先はうつすらと 野のはてにきえ
太古の記憶へとつづいてゐる と村びとたち ....
1
枯れた桜の木のトンネルの下を歩く
破れ果てた網戸の運命のような青空の下
じぃ〜ん、じぃ〜ぃんと
死ぬまえの蚊のような、
けがれた沼の精のような、
虫がとんでいる。
青 ....
うつくしいひとたちに遇ひ
うつくしいはなしを聴きました
空はたかく 澄んでゐました
かなしみはもう とほくにありました
よろこびは すぐそばに そして
手のとどか ....
スポーツは
決して
正々堂々としたものとは
限らないということが
次々暴露されている
メダルの裏には
人間のくろぐろとした欲望が
張りついている
枯れ葉が欲しい
かさかさと乾いた葉っぱを
この手の平に重ねて砕いて
撒き散らしたい
パーッと撒き散らして
グルグルと円を描いて
なにかを召喚でもしようかしら
鬼が出るか蛇が出 ....
夕立が降るかと
期待していた
どうしてかは
分からないけれど
激しい俄雨が
欲しかったみたいだ
天気予報など
気にもしないけれど
雨の匂いが
充満していた
それはきっと
自分 ....
白いりんごをのせた皿に薄陽がさしてゐる。
月をたべた少女が硝子の洗面器にそれをもどした。
日が暮れる。わづかに年老いてゆく。
適当に引っ張り出したTシャツから
今は使っていない柔軟剤の匂いがする
どうせ乾いていく通り雨の先
住宅街の暗闇でこっそりと線香花火に火をつけて
笑い合っているうちにぽとりと落ちた
光の ....
この体の表面
内部を包む皮膚には、呼吸をするために必要不可欠
微細な穴
他にも穴、穴、穴
匂いを嗅ぐ鼻
音を捉える耳
飲食の為に用意された口には
人間の意思や感情を外部に伝達するため ....
恐竜の高さのビルの二階階段踊り場で
二段階右折を見降ろしていることに気づく
早朝さんざめく目眩(めまい)の驟雨は
作られた樹々の明日を生かそうとする
寂しい風がゆったり ....
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