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早朝の青空に
ふらり 浮かぶ
 白い満月

しんと 静まり返った
人々の意識の空白を突いて

薄白い筋雲たちが
丸く集まった 作りかけのまゆ玉

風に 解けてしまいそうな
はかな ....
午後八時になると
地下の廊下と階段を降りていき
つきあたりの牢にアイオンスはいる

アイオンスは
青い毛皮に
五本の足と三本の尾を持つけど
顔だけは犬に似て整っていて
嘘ばかりしゃべる ....
テメェらの陳腐な詩には飽き飽きだ!
そう言って僕は詩の世界から退いた
そうだ僕だってそんな内容しか書けない
知ってる、知ってる

児童虐待、親の愛、真実の愛、つかみ所のない恋
何を書いても ....
窓の外の
雨の影に
音がないので
音がないので
部屋を満たす静けさが
宇宙の寂しさにつながってしまう


一人の時間を
刻む時計が
キックッ キックッと
決して分けられないはずの ....
時間と空間の摩擦音が
遠くから響いている

全ての自動車はエンジンを失っている
速度だけが鮮やかに残った

街灯は顔だ
化粧した美しい顔

雲は空の濁り
人は歩く樹木

外の匂 ....
旅人が蜃気楼に眼を奪われるとき
北極の海を渡る鯨の親子は水平線を越えた
ちから尽きて風が砂粒を運ぶ
まぼろしと磨きあげられた凸面鏡(レンズ)
囁きが星座を紡ぎ舵をきる
真夜中の帆先をみ ....
人間とは

これに答えられる人は詩人

どうして書いてるの?

これに答えられる人も詩人

つまらない質問だね

書いても書かされても
言葉は言葉だから

人は詩人とは ....
どん底に居座る
腹をくくった瞬間に
大地が
ガラガラビッシャ!
ーグワアァン!ドワ
ガーン!と崩れ
海が沈み 都市が沈み
そのどん底が
たったひとりのための
頂になって
お前は泣い ....
店長がいないということで
副店長はパンツも履かずに出勤した
すた丼と芋焼酎と二酸化炭素の混じった息を
ぶちまけながら
「今日は好き勝手やらせてもらうぜ、ひっく」
もちろんこっちもシラフで ....
越えられない 許されてもいない
つるんとした壁を 軽々とひと羽ばたきで
容鳥は笑顔で越えていく 見たこともない
世界へ 想像の中にしかない静かな森へ


平穏な壁の中は 灰色の焦燥に
 ....
人間は星
人間は石
筐体人間
月とリンク
TAKE ME HIGHER
TAKE ME HIGHER
TAKE ME HIGHER
3回唱えたら光
人間は羽
人間は石
人間へ紫を
 ....
  踊る、ひとすじの腕よ
  紺色の波濤となれ
  ロウリン、
   ロオリン
  ちいさく かたく
  畳まれたままの
  つばめたちの
  眼
  の
  影
  Lの音が一つ
  皿に一つ載った
  まもなくあなたの
  肺のあたりに茂る森へと
  死のような霜が降りる


  尖る、Sの音が
  折れまがった 裸体の
  女たち ....
現実という時雨が降る朝に
大地が感じるのはどのような温度か
木の枝葉は水滴の重みに耐え
明日の太陽を望んでいる

今、曇った雲の切れ端から
太陽の光が漏れている
影と光が織りなす景色に
 ....
いいなあと思うのは
いつもつまらない地味なもの
特別じゃないありふれたもの

あなたの声や
地面に映った夏の葉影や
洗濯されてぶら下がってるチェックのシャツや
音のない雪の夜

生き ....
     原っぱが 広場となり
         しばらくして 
 四号公園と 立ち札がたてられ
 こどもの遊具が 設けられると

       どこからともなく
   子雀たちが見学に訪 ....
土地を踏み荒らしては場違いな花の種を植え
手遅れになりはしないかと黄鉄の装飾で埋め尽くす
やって来たのはアザミと蒲公英で
望みの花はいつまでたっても咲かない
それならばと土台からやり直 ....
川の中に一列に泳ぐ鴨がいた
冷たい風の中平然と

大きいのから順番に
風にむかって泳ぐ

その背中じゃ風よけにはならないだろうに
大きい鴨は
大きいから先頭をゆくのか

親だからな ....
カードケースに
故障中と書いた紙を入れ
首からぶら下げて出勤した

誰も傷つけない
無言の抗議のつもりだったが
何だそれと流す人
自覚したかと笑う人
見て見ぬふりで通す人

虚しさ ....
地下鉄で知らない場所へ
私は向かう スイカを取り出し
今日も 電車に乗って 私は
何をするのか 今日は 覚えていない


この寒い日の道のりを越えて
友達は来るのだろうか 私の中で
そ ....
国家試験合格を目指す人たちの中で
唯一学問を目指していた
法学研究科に所属しながら
自分は哲学専攻だと思い続けた
周りから優秀さを嘱望されながら
結局試験には受からなかった
友人が次々 ....
よかれと思ってしたことを一生悔いていよう
目玉
のようなライトの間隔がとてつもなく短いあの古い型の車の名前を教えてくれ
ちゃんと調べたつもりだから
おれの
目玉
は無論いらないのだ
痛く ....
あれが取水塔。
たどりつけないんだよ。

水辺にはビルが集まりやすいけどそれはきっとみんな押さえつけておきたいからだ、赤ん坊にするみたいに、地面より水たまりの方が怖いから。
砂場では何を作るの ....
    けさも 軍手をはめて
 P・C のキーを叩いている
   骨・皮・筋(すじ)衛門

        卒寿になって 
        初めて知った

   暮しのなかの「偶然」も
 ....
けだるい朝
仕事に行くのもおっくうで
とりあえずコーヒーでも飲んでみる
そういえば
全てのものには重さがあった
部屋のサッシのガラスにも重さがあるし
この蛍光灯にも重さがある
 ....
見知らぬ者が訪ねてきた
滅多に聞けない月の唄と
尖った山頂にしか咲かないという一輪と
いつ終わるのかと不安になるくらい
異国の砂漠の話を嬉しそうに続けていたが
僕は安眠剤を取り出して ....
人身事故で 私は 今日も
止まっている電車の中
私の目を伏せてつぶやくフレーズ
失われた 読んだ 本の 言葉
失われた それは 死を 忘れさせる
しんしんと しんしんと雪
しんしんとしんしんしんしんと雪
しんしんとしんしんしんしんと雪
さわったらじんじんとじんじんと
じんじんとひやい雪 しんしんと雪 しんしんと雪
おりじなりてぃに ....
午前中まで鬱病だった空が
     芥子色の北風に
  引導をわたされたのか
     裏庭のこずえを
        誘拐して
     近くで 戸惑う
     人影をひきつれ
   ....
まばたきが
夜を夜に迎え入れる
十二月が
十二月の指をすり抜けてゆく


遠く青空は鳴りわたり
音の紋は燃えひろがる
水を駆る光
光をついばむ無数のくちばし


 ....
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