昨日ペンが止まってしまった。
悲しくて泣いた。
書かない僕は消えてしまう。
怖くて震えた。
震える手で再びペンを握る。
何かが終わろうとしていた。
何かが変わろうとしている。
....
君の心は小さな舟さ
いつも揺れているんだ
悲しみの波に
喜びの波に
夜は静か
海は凪いで
眠りの中で
そっと
悲しいことや
嬉しいことを思い出すのさ
あなたはたぶん
わたしがシアワセと感じる指先や
透明になれるほんのすこしの暗号を
ちゃんと知っていて
いつだって手をひいて
この思慮深い森の出口につづく
複雑な線をといて
近道へ、
近 ....
時速180キロのスピードでしか、
癒されない悲しみがある。
いらないもの
ひとつひとつ
思い浮かべて
どくんどくん
主張している
命というもの
黙らせようか
ことき り
こと きり
こ と
き り ....
砂場ではいつも
大きな壁が作られようとしてる
水をかければ崩れてしまうのに
僕は淋しかった
または、淋しくなかった
だから 僕は森を歩いた
だから 僕は空を仰いだ
しんしんと
珍しくも降ってくる雪に合わせて
その降ってくる音に合わせて
僕は息を吐いた
....
おッ母さん
久しぶりに夜更けに実家に帰って
ダイニングテーブルでうたた寝してる
アンタの背中を見ていたら
おッ母さん
なんだかもうアンタは
死んじまってるんじゃないかって
そんな気がして ....
プリンが食べたいの
入院している妻がそう言うので
会社の帰りにコンビニに寄って
プッチンプリンを買って面会に行った
病室の硬いベッドに二人並んで腰掛けて
プッチンプリンを食べながら
や ....
3DKの家から
1トン車1杯分のゴミを運び出した
できるだけ静かに運ぼうとしたのに
荷台の上で何かが崩れ落ちる音がする
7年前の秋
そこで始まった生活が思い出せない
ゴミ袋に放り込 ....
ゆうべは、ほんとうに困ってしまいました
わたしがとぼとぼ流れ出して
それは我慢がききませんから
両の手に溜めてすすりました
はあ、と吐く白い息にも
わたしがいるようでしたが
....
幼さをかたちにしたら
転がりだした文字のうえで
楽しそうな僕がいました
わんわん泣きたい
微熱を放ちながらまるくなる
軽くにぎった手の、小指はひとりぼっち
溜息と指きりして
....
待ち合わせの時間まで
僕は地下街の書店で時間を潰すことにした
詩集のコーナーで数少ない詩集を二、三冊めくってみたが
どれもこれもピンとこなくて他のコーナーにある書籍も
黙りこくったまま ....
僕はチラシ 綺麗に丁寧に作られた
僕はおっきく街中にはりだす
みんな僕を見るかな かっこいいだろう
ある日僕は恋をした とっても素敵な女の子
僕が街中におっきくはりだされて ....
疑問符をつけてはいけません
押し付けてはいけません
まずい状況では
さらに状況が悪化することがあります
何かをねだるときに使うと
見透かされたときに危険です
正直、あまり使 ....
空が白けて
窓にしがみつき
指先で書いた文字も
ただの水滴
さくっと
逆立った地面から
突き出た衝動のような
脆い僕だから
結晶を解いても
蒸発してしまうだけだってね
わか ....
登校拒否をしようとしたのに
何年も前に卒業していたことを思い出した
しかたないので出社拒否をしようとしたら
数ヶ月前に退職していたことを思い出した
やけになって生きることを拒否しようと ....
ペンギンは夜に飛ぶ
黒い背中を空にむけ
今宵の星座をうつしたら
かわいい翼をぱたつかせ
一瞬の風をつかまえる
とんがり頭は羅針盤
短い足をきれいにそろえ
星間軌道を飛びま ....
コーラの泡
思いのほか痛くて
もう一口
軽音楽
骨の折れる音は案外
ポップスじみてたよ
解りません
普通は白衣でしょ、先生
昼休み
今日も先生は芝生の上で寝ている
あいかわらずの黒いコート
先生、白衣は着ないんですか
理由を訊いたことがある
先生はにこり ....
だんだん
君のことを忘れていく
忘れられないと思っていたのに
君の笑顔と泣き顔を最後に見た
あの日
いくら泣いても
涙が溢れてきて
いくら飲んでも
....
青春って何だろうと
とっくの昔に思春期の過ぎ去った男が一人
ファーストフードのポテトを食べながら
仕事をサボり気味に考えている
遠い遠い耳鳴りのようなあの人の声は
ど ....
1
通りかかったカマキリに
僕以外の卵は食べられた
奇跡的なこの誕生を
誰が祝ってくれただろう
2
ある日道路を這っていたら
目の前で仲間が鳥に食べられた
姿か ....
夢へむかう
あなたのため息が
スキ。
小さな期待と
大きな不安と
逃げさるような
来るような
夢へむかう
あなたのため息が
スキ。
白い雪をあなたに投げることもできないので
白い便箋白い封筒白紙の手紙を送る事にした
青い影が落ちる白雪は今日も惜しげなく降り
茶が見えていた土を枯れ色の木々を白に塗り
まだこれから長い ....
カードは 秩序
壊すのはいつもジョーカー
笑顔ほど
恐ろしいものはない
と
いうこと
あなたはいつも
ジョーカー
笑顔でわたしを揺さぶって
このゲーム
負けるかもしれ ....
あなたの寝息をききながら
椅子に座ります
滑り落ちてゆく夕暮れを
読みかけの本に挟んで
あなたの寝顔を
こそりと見ます
....
眩しいわけでもないのに目をあけていられない
そこかしこに散らかった僕が目障りなんだ
未来はまったく見えないのに過去はあたりまえに僕を睨んで
今にぶらさがっている僕は次につかむ手がかりを探して ....
誰もいない空は
誰もいないままにせよ
どうやったら幸せになれるか知ってるかい
大事なものをつかんだなら
つかんだその手を開かなきゃいいのさ
でもね、僕らは開いちゃうんだ
不安で、期待で、その手を開いちゃうんだ
....
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