ソーダ水の泡を見てたら
空を食べてみたくなった
どうしたらいいものかと
蟻さんに聞いたら
僕のうちにおいでってさ
蟻さんに連れられて家にいったはいいが
....
うたれるなら
雨がいい
果てるなら
土砂降りの中
世界が遠のく瞬間に
私は流星をみる
透明はいよいよ流線型に歪み
ところで季節も
そろそろ夜がいいではないですか
井戸水の表面に映った三日月の先が
赤みどろに染まった
折り重なった葉の上で
崩壊をたずさえた少女の落涙
狂いはじめた
鈴虫の羽に
つぶやきのような雨しずくが
....
わたしは、ほんとうは楽譜なのです
と 告げたなら
音を鳴らしてくれるでしょうか
指をつまびいて
すこしだけ耳をすましてくれるでしょうか
それとも声で
わたしを世界へと放ってくれるでしょうか ....
雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 ....
内気な髪の毛を燃やす
心臓の底で
なめらかな顎の先に
惑星がある
両腕の付け根のドアを開く
傷ついた銃声
傘の下で笑う
あふれる殺意で
階段を流れて落ちる
雨に
気がふれる
ゆがんで見える
横断歩道の白線が
濡れた足元のしみの
曲線が
....
ムーニールーがありんこを相手取って
裁判をしているころ
お日様は林檎を
真っ赤に染めて
林檎はムーニールーに食べられるのを待っている
カタツムリが雨の中
小さくくしゃみしたけれど
ム ....
手に手をとって
風に陽に
戯れて咲く
夜になると
魚は目を閉じて
消えていく泡の行く末を思う
消えていく
自らの姿に思いを馳せ
静かに
目を閉じている
夜になると
魚は目を閉じて
自らの見ることのなかった風景を見 ....
感性に年齢は関係ないか。
と、聞かれたら。やはり「関係はある」と答えてしまうだろう。
まだ10代前半の頃、詩(のようなもの)に興味を持ち、作品と言えるほどではないにしても、走り書きのよ ....
ていねいな言葉をかさねて
だれがぼくの心を知るだろう
ひからびたぼくの腕の中で
目を覚ました人が
夢を見るのはもういやだ
と言いました
さめたぼく ....
無邪気に咲きまくる
咲きまくる無邪気
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
ぼくは普段は草食だけど
きみがあんまりいい匂いだから
ついつい食べたくなっちゃうよ
雨音がショパンの調べに聴こえたら
もう頭が足になって
無軌道に駆けまわる
黒鍵の数だけ言葉を投げ出し
白鍵の数だけ吐息を飲み込む
あれは白じゃなくて乳白色なのかも
踊ってるのは ....
春は きえた
ゆうだちの匂いがやわらかなあわになり
すこしずつ
あたしのつまさきと
乾きかけたしゃつに へばりついて
いもうとのうたうはなうた
おとなりからひびく いたりあ ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
神様がやってきて
恥ずかしくて
無花果がないので
代わりに葡萄の
神様は通り過ぎて
そのまま
もう会えなくなった
股の下から
赤いものが垂れた日
恋をしたら
ひとはみんな
詩人になるっていうけれど
詩人のつもりのぼくなんて
いつまでたっても
恋ができないのでした
六月の
ベルベットの小道を
今夜もぼくは歩きます
....
白い
湖の上に立って
寄り添いながらじゃれては離れる
二匹の犬を見ていました
灯台の麓では、おじさんが夕暮れの写真を取っています
私に気づくとレンズが光りました
孤独が
....
1
眠りたい太陽は
徂徠する雲に翳り
口を得れば脚を失うだろう
無理に開いた胸には
寛容ねと謂う
君の眼差しに
愚鈍さを隠せずに朽葉色に染まり
消してあげる 蝋燭を
口角に気 ....
さみしい唇が
のどに鈴を付けて
歩くたび揺れて鳴く
顔迄這い上がる地熱はゆらゆらと
蒸せかえる
濡れたアスファルトの匂い
空は墨青を垂らして
飼育箱の中は授乳室であった
....
{引用=
あなたの胸に
耳をあて
わたしは
あなたの遠い過去を
あなたの遠いさざなみをきく
風に揺れる草や花
春の雨が黒く濡らす樹木たち
やわらかな若葉を しずくがつたうだろう
....
独りだとときどき
夜空と自分の境界線が分からなくて
不思議
からだの曲線にそって
あなたは
かんたんなじゅもんなのだと指を折った
てのひらをそっとひらいて
りゆうもなさそうにわらった時
すこしだけ
えんえんとつづいてゆく
朝の風景を おもいだして ....
気の触れた男がエレジィを口ずさむ
花を惜しむ涙を垂れ流して
硝子の塔に
昼下がりの陽が散るよ
円形劇場
かんぬしまちの
おさななじみだったおねえちゃん
がみこさんになったとき
ぼくのこころは
ふ ってはずれて
べっくうさんやのほうに
ぷかり ぷかり
とんでった
きれいだったん ....
あれもこれもと
人のものばかり
欲しがってしまうんだ
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