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何かにすがりたいし
君に逢いに行きたい
これ以上ないくらい丸まって眠って
透き通ったものと
いい匂いのするものと
温かいものを少しずつくっつけたりして
昏鐘が呪文のように聞こ ....
この家に時計は六つある
それぞれがすこしずつずれた7:18 AMを報せ
わたしは一番遅いもので目を覚ます
それからカーテンを開けて窓を開けて
酸素をよく含んだ朝の空気を肺に取り込むのだ
曇り ....
ほどなく
空は なだめるように
いくどかのまばたきをした
何度目かの夏
もうすぐ花柄の猫たちが
砂丘のほしに
帰ってゆく
波の音
水平にひろがる
君のこきゅうと 両腕
ほど ....
もう、ずっと、葬列のターンだ
山裾から行儀よく
山頂までの道のりを進む
お前たちの名前は
アダルベロ
だったり
クロデガンク
だったり
ジグラム
だったりする
高貴な熊や
有名な ....
夜の頃
いよいよ視力を盗まれて 往生する そう幾つもない階段を
丁寧に降りていく 16,17,18,19,と数えていった
山の神様が 遠い方からしょっぱい種を飛ばし
加 ....
雷が ガリガリと鳴って
コップを グニグニと 洗ったので
菜の花を 見に行ったのだった
ねえ 菜の花を 見たこと ある
たくさんの 菜の花よ
いちめんの 菜の花よ
歌にも あるのよ
....
きみと
きみときみを囲む白い壁と
きみの大層な毛皮がよく見える
首が痛くなるまで星を観測し
今はまだ冬至、これからこうなって
ああなって
こういう風に動いたらあたたかくなるのさ ....
あの日
びるのてっぺんは
どれだけ
さみしいひかりがみえたの
むてっぽうなことで
きみも
やっぱり そんを したのだろうか
そっとちかづこうとすると
花をちらすみたいに ....
降りしきる雨の中で、傘を差し、夜になるのを、待っている、ぼんやりと
{引用=
ぼくはきみにやさしくてほんとにだめですね。
ぼくはきみにやさしくてしょうがないですね ....
生き死になんてものが
畑に植わっているから
せめて軍手をはめて
つばの大きな帽子なのだ
黒い土のにおいのなかに
かきまぜられもしない
軽々しさを聞く
ぽこんと泡を抱いた
空々しさを ....
指をすりつぶす音が水になる。椅子にはびっしり僕の名前が書いてある。妄想のわりにはよく動く左足だ。下半身を覆う毛布の毛束は鱗のようで、撫でると白くなり、逆に撫でるともとの緑になる。君は社会の群れを見たこ ....
{引用=近道して
とおりぬけた石段に
昨日の雪が つもっている
桜に降る
ちいさな雪が
毛布のように 町をくるむ
あなたは
商店街のゆるやかな坂を下り
あおく ひかる
....
チューリップが咲いている
この間の春の嵐には
少し苦しそうに
揺さぶられても
泣かずに咲いていた
チューリップが咲いている
何もかもを飛ばして
破り取っていった
この間の春の嵐に
....
格好好いと思う曲は
書き出してみたらなんだか不格好で
彼らの喉の奥で震えている空気は
自分がどのような言葉を
発しているんだろう、ということを
知っているのだろうか
歌え、伝え!
そ ....
高校時代
必須科目だった世界史の授業
窓の下ばかりを眺めていた
私たちが入学した数ヶ月前に
新校舎となったその高校は
全ての教室が一面に並んでいて
その窓の下には
大きな駐車場がただ広が ....
美はいたるところにある
何も考えていないこと
歴史
寝ているあなたのすがお
すがた
美はいたるところにある
走っていく電車の音
朝はたくさん
昼はときどき
夜 ....
こっそりと
ゆびわをかじると きいん とする
ぽっかりと
ちいさなあなのあいた夜
空の一部を
せろはんてーぷのぎざぎざで
ひかりのかたちに
切り抜く
わたしのへやで
ちか ....
花のあいだで
ゆれている、そらの
うすくひかる すずの音に
目を閉じずに
さよなら は言えず
いちばんかんたんな発音で
ゆびのてっぺんを空に向け
開いたままで
ふいに
....
日の昇る六時前七階のベランダ僕の六本木になる
幸せな世界の終わりの星間物質の爆発を夢見ながらスキップして手を広げる
ここから落ちればトリプルアクセルできるから
ここは僕の
日の昇る六時前七階の ....
夢の中でキリンと友だちだった
野原や森を走り回って虫とりをした
僕の運転でドライブした
キリンはサンルーフから首を出して
ご機嫌に歌った
作ってきたお弁当を文句ひとつ言わず
ウィンナーも卵 ....
)鳥が叫んでいた、音楽の道。(僕はその先に小屋があって、小屋はビルの一階になっていることを知っている。沙漠の拡大は羞恥心により妨げられている。ビルの屋上から沙漠は始まった。音楽が細く放射していく、僕の ....
雲になった少年は
涙を流して
誰に何を
知っていてもらいたいのだろう
詩人になりたかったのは昨日のこと
今は風に流されるだけ
それだけのことに
満たされている
嬉し泣きしかでき ....
ちいさな姉さんたちが
あぜ道を鮮やかに歩いていく
カモミールとか
ベルガモットだとか
とても香りの良い会話をしながら
ちいさな光る粒を落とし
それを知らずに踏んでしまうと
しばらくの間、 ....
小さな神様が
春の雨に打たれていたので
傘をさしてあげた
神様はありがとうを言って
釣竿を垂れると
雨粒の中から
虹色の魚を釣ってくれた
魚は苦しそうに跳ねていたけれど
自分は誰も苦し ....
彼らは同一のまま
やがて二手に分かれて
一方は家に帰ったけれど
もう一方は宇宙船へ
打ち上げの時を過ぎて程なく
夜の帳がおりるように
明るさは次第に失われていき
一つの照明器具もないまま ....
よるべない、ぼくらのよるの、来るの来ないの、どうするの。黒々と落ちてゆく直前、ピピピピピもうすぐ電池が切れてしまうよ。雲間から光の線、部屋の灯りから落下する紐、午後に揺れる森、少しだけ空いたふすま、理 ....
それから僕は、冷たい生き物に触れるために
僅かな夜を過ごす
山間の人々は自分達の歌を愛している
その歌を聞きながら一枚の毛布に包まって
パンを小さく千切って食べる
滲む群青に少しずつ泣きなが ....
人の筋肉や血管、関節の微細なフォルムを抽象化して、服は生まれた。服はほかにも着ている人の性格を抽象化する。気分を抽象化する。家族関係を抽象化する。ついでに着ている人の恋人まで抽象化してしまう。服はとて ....
i.
カリフラワウアの花嫁たちが
ボーダーのフリルをはためかせている
周りで射精しているのは男たちばかり
ii.
歩いて三歩のコンビニで
強盗たちが揺らすのは
ひもの ....
エンジンのいらない 未来の飛行機が ひんやりとしずかに 旋回している メキシコのような景色の あちらこちらで 牛の化石が見つかり どれもこれも 老衰に違いない 長い時間を生きたのに 石になるまでには ....
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