ある日を境に
名前も住所も失った

私はただのコンマでしかなく
コンマでいるのは
たいそう居心地が悪い

誰か一人でも
私の名前を思い出してくれないものかと

お茶ばかり飲んでいる ....
花火の音は別れの合図
カラッポの腹に響いてから
空しさと 情けなさを
さらに カラッポな空へ
打ち上げて ばらまいて

「忘れることは簡単だ」

空が皮肉に笑って
散らばって落ちる色 ....
言わせてはいけないと
思い続けていた言葉を
言わせてしまった

苦しそうに飛び出したその言葉を
もう一度押しこんであげられなくて
ごめんね
溜まったものの排出先がありますか?
捨ててしまえば二度と目に触れぬ場所がありますか?

出しそびれたゴミ袋で渦高いベランダのように
心に溜め込んでいませんか?

澱んだ空気で身動きがとれぬ ....
誰かに何かを解って貰う権利を放棄します
私のこと理解してよと もう言えません

全ての間違いは私にあり
全ての過ちも私にあり
全ての悪は私であり
全ての浅はかさは私である

人徳と信頼 ....
お茶の入ったコップを揺らし
言葉をぼろぼろこぼしながら話す私に

「二人とも可哀想」
眉をひそめて答えてくれた

一瞬
途方もなく自分が可哀想になった
あの子も
可哀想だなと悲しくな ....
いったい私は
何をしているんだろう
毎日毎日
こんなにも一日を
ほったらかして
腐らせてしまっている

執着も
愛情もなく
投げやりに
突き放して
時間をこなす

餌を食らい ....
心ない言葉を
ばらまいて歩く男がいます

右にも左にも
心ない言葉を放り投げます

うけとった女が
賢明であることを願います

惑わされ
傷ついたりしないような
心強き人でありま ....
なぜ殺してしまったのですか
あいつは生きている

躰中に釘を打たれて生きていられると思うのですか
悪い虫を刺し殺してやったんだ

悪い虫ってなんですか
あいつの躰には悪い虫が巣を作ってい ....
なんの為に帰るの?
「意味のない場所へまた帰るんだって」
背中にコツコツと小石が当たるようで
私は苦い表情で振り返る

子犬を連れた少年がバスステップの下から見上げている
仕方なさそうに片 ....
あなたにどうして欲しいのか
私はどうしても言えません

こんなふうにして と
言ってしまえたら気持ちがいいのに

そうゆうのは嫌 と
そのまま言えたら楽しいのに

本当はそんな服
 ....
うかつにも
喜んでしまった
心臓が上下に
文字を追う目は左右にぶれて

部屋中をうろうろうろうろ
何往復も
してしまったのに!!!

こんなことできるんだ

腹の底から
あんな絶叫

後の痛みを考えず
打ち付けた拳

流れたマスカラ
振り乱した髪

ペンを投げ
グラスを割り
イスを振り下ろした

 ....
両手で首を絞め
殺してやりたいと泣きそうな顔で言う男を
創ったのは私

殴るように仕向けたのも
壁を扉を破壊させたのも
汚れた暴言を吐かせたのも



身から出た錆
3m先のマンホールが回転している。
びくっとして立ち止まる。
振り返っても夜道には人気がない。

すぽんっと、穴から神様が現れた。
マンホールの蓋はくるくる回転しながら、寿司屋の屋根に落ちた ....
なくしてしまった卒業アルバムみたいに
開かなくなった記憶は美しく消える
薄闇に隠し持つ情熱は
菫の花のように 葉の陰に隠れて
誰にも気付かれない

君だけが 静かな影をかきわけて
見つけ出してくれる
甘い熱を放って咲く私を

ひいやりと冷たい君の唇を
堅 ....
深夜二人で食べるさくらんぼ
みずみずしく甘い木の実は情熱の赤
とろりとした思いを胸に
黙ったまま次々口へ運ぶ

一箱分のさくらんぼ全部

積み上げられた種と茎は 明日庭へ埋める

膝 ....
きれい
すごくきれい

君に言われると泣きたくなります

バス停を忘れさせてね
ステップを上がるとき
見上げる視線がとても悲しい

きれい
すごくきれい

繰り返し信じさせてく ....
人を壊すのは簡単だ
壊した後
直さなくていいのなら
何体でも壊せる

心優しい誰かさんが現れた時
その手で直せるように壊すには
少し
注意が必要だけど

人を壊すのは簡単だ
壊れ ....
強い子でしょ
君はもっと強い子だったはずだよ

そう言えばあなたの前では私
強い子だったかも知れない

本当は小心者で感情的なだけの女だけど

強い子

なるなら今しかないね
「もう落ち着きたいのに」
と君が話す
落ちて着くなんて
そんなにいいもんじゃないよ

君が居るその場所から
どこへ落ちて行きたいの?

まだまだ昇って行けるのに
そこより下で辿り着く ....
世の中意地悪くできている
心の隙間を狙ってくるなんて
ずるいね

諦めた頃に落ちてくる
目をそらしたら見えてきた
引き返しかけてぶつかった

目を凝らし耳を澄まし
ひたすら執着し進ん ....
彼がまた
子育てを再開するという

一度は手離したのに

赤ん坊の
おじいちゃんとおばあちゃんの元から
今夜連れ帰って来たのだという

仕事を増やしたのだそうだ

「大変だよ」と ....
君が言わせたがる言葉を
どうしても言えず
唇をかむ

うながされ
催促されて
思わず口からこぼれそうになる言葉を

唇の裏側で
なんとか押し留める感触
口腔器官が発熱している

 ....
空に穴が空いて
向こう側と こちら側が
つながってしまった

上っ面だけ良い青空の
向こう側から流れ出す
途方もない負のエネルギーは
夜に咲く花のように
渦を巻いて 開く 開く

 ....
ドーナツの真ん中の穴から友人のAさんが訪ねてきた
「どうもどうも」
いやなに ちょっと暇だったもんだから
Aさんはドーナツの真ん中の穴から
ずかずか部屋に上がってきた

時々こうやって突然 ....
ムイテモ
ムイテモ
薄皮の内に私が笑う

ステテモ
ステテモ
捨てているのはやはり私だ

美しく
咲くやもしれぬ蕾を千切り
残酷な子供がするように
一枚 一枚
私を剥いて捨てた ....
ここで涙を流すともっと崩れてしまう
泣きそうになったら奥歯を食いしばりなさい
昔おばあちゃんが教えてくれた

だから私はいつも奥歯をギリギリ言わしている
ギリギリギリギリギリギリギリ

 ....
化粧水の小瓶とか歯ブラシとか
絆創膏三枚とか手鏡とか
そんなものが入った小さなポーチ
あなたの部屋に忘れてきたみたい

わざとだなんて思われたらどうしよう
歯ブラシ一本 髪留め一つ
あな ....
スプートニク(66)
タイトル カテゴリ Point 日付
コンマ自由詩5*05/8/11 0:31
花火の日自由詩5*05/8/9 23:01
いけない言葉自由詩15*05/8/8 22:27
ゴミ溜め女自由詩5*05/8/7 16:37
全ての悪は私であり自由詩2*05/8/7 16:27
よかった自由詩2*05/8/6 8:33
365日自由詩6*05/8/5 22:04
心ある言葉自由詩5*05/8/5 10:38
自由詩1*05/8/4 10:32
帰る自由詩4*05/8/3 19:19
本当は自由詩3*05/7/31 23:36
糠喜び自由詩0*05/7/30 22:04
爆発自由詩7*05/7/29 0:04
身から出た錆自由詩3*05/7/28 21:47
マンホールの神様散文(批評 ...4*05/7/28 10:31
消える自由詩3*05/7/27 10:47
スミレ自由詩6*05/7/26 22:06
さくらんぼ自由詩9*05/7/26 9:29
きれい自由詩7*05/7/25 9:55
人を壊すのは簡単だ自由詩4*05/7/23 20:45
強い子自由詩4*05/7/23 10:20
酷なのかな自由詩7*05/7/22 10:17
幸運自由詩3*05/7/21 11:00
子育て自由詩5*05/7/20 23:26
言わせたがる自由詩5*05/7/20 9:50
空の穴自由詩2*05/7/19 18:38
私の友人散文(批評 ...3*05/7/19 12:46
ツバキ自由詩4*05/7/18 10:30
歯を食いしばりなさい自由詩2*05/7/17 13:44
痕跡自由詩2*05/7/17 10:22

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