花の中で にぎやかな
虫たちの胸に
汲みあがった 蜜を
言い表す ことばはない
真昼の 宇宙の
香りをまとい
きらきら踊る
途切とぎれの 感情
そして飛び去る
張りめぐらされた
網 ....
しおざいが
泡だつ風紋を散らす
どこかへ向けたわたしの耳は
造り手が去った
からっぽの巻貝や
やわらかい吊鐘に似ていた
きらきら膨らみながら満ち
ひかりを吸いつくす
波の訪れを聴いた
 ....
地平線のむこうに
ひろがるのは茫漠
その水平線から
さらにひろがる
上もなく
下もない
前も後ろもないという宇宙へと
触れているのだね直に
きみは左腕で石腎をつかみ
わたしも右腕で力 ....
夏をたっぷりふくんだ
水、しずかに低下して
胃の腑におちた
文字は部首、さらりと溶解し
鼓膜をつき破る
だるまさん転んだよ
片目つぶって
夏は町をはげしくぶつ夢
まぶしくて、土のにおい ....
ゆんべあれだけ喰って
あるしこ呑んだはずなのに
友人を載せたばかりに秤の針は
奇跡的な数値を目盛る

数字じゃないんだ、人体は
神秘なんだよぉ
奇っ怪な唄が風呂桶を揺るがす
窓なんかひ ....
こころ囚われる瞬間
からだ解き放たれ、散るわ
羊たちの群にひと粒
黒色がいななく詩句

何もかもを見透かす瞳で
ただ愛した
あなたの為にすべてを
無想にさらす

何故としても
す ....
ほうき星がきたなら
いつか部屋をはいてってね

夜々を、たくさん
見はらしてね
走るひずめも柔らかく

あの雲が
マンボウ
ジャムパン
贈りもので
はちきれそうなくつ下

く ....
花でみちてめざめ
緑につつまれまどろむ
たくわえた水を
際までふくらませ
霧となりとじる
四月

存在の夢からめざめ
無人の学舎にかわいた老木
水尺の髪は白く
わたしが
あなたを ....
深呼吸して目眩につつまれ
手近な柵にしがみつく
両肺を染む芳しい毒素
むらさき色に染めあげた
絶え間ない恍惚にいざなう、十年ぶりの/帰郷、敗散/執着、
慨嘆/それら懐しいひとときの必要にせま ....
嘘つき、って
世界がわたしを、そう呼ばなくなって
嘘をつくのがとてもたのしい

こころも今日も
どこまでもひろがる
わたしはピアノ
憧れの黒鍵
花火を見ている
山のはしで 海のさきで ....
気がつくと
わたし
誘蛾灯でした

あなたがやってくる
くらい小部屋の
軒先の放電
あなたがたの
したたかな逢瀬を
確かめる燐光となって

窓べから窓べ
枯れ井戸をさまよい
 ....
にんじんを刻みながら
風のみつ編みをおもう
それは水面をふるわせ
はげしく雨を叩き合せる
老女につかまれる
ほそくて
ながい
時のすがたを知れる

おしゃべりなちえの輪
ま綿の花束 ....
だれかのためにすることが
自分のためにならない
そんなかなしいことはない
自分のためにする
それがだれかのために
なってくれたらうれしくて
歩いてるだけでいつまでも新しくある

そんな ....
星くずを ちりばめた
ことばのない 頁
月としおり そっとめくった
オルガンの 和音(かのん)

夢のみち ながれてゆく
霧にそっと 雪
花びらにも まなざしがある
なな色に そまる
 ....
 原色の星


水がこぼれそうな綿の中を
はしる赤い電車にのって
ここには二度と帰らないと
遠ざかる両手につぶやく週末
芽ぶくみどりの上で
火をふく工場
脱輪した三輪車
すべて閉じ ....
鍵がない
財布もない
めがねはどこかな
ひたいの上だ
屋根がない
伴侶とはなに
価値観ということばに空まわり

焦ってなくしてばかりだよ
知らないものは伝えようがない
感じないもの ....
正倉院宝庫がその所蔵品をま近に準備してくれた古美術研究旅行中
奈良の夜、作家の訃報を速報され飲みに出た
歴史にも詳しかった彼が奈良の巨刹群にどう想いを抱いたか、作品に伺えないことは却ってひとつの意 ....
したげたい
あなたが笑顔になれるよに
したげたい
あなたがしてほしいこと
したげたい
お花にみずまき
お犬のさんぽ
したげたい
はれの日に
あめの日も

したげたい
こごえる手 ....
きれえな音やわぁ
おさない少女のさえずりは
三宮のゆるやかな賑わいにうかびあがると
セカンドバイオリンにぴったりより添う
きれえな体育座りだった
路上がいちばん好きだ
秘密警察におい立てら ....
はてしない水に
あらわれた沖という感じ
子どもらが
ゆびでつくったさんかくを
ひろげるとみち
こえにだすと
胸にひびくはてしなさ

どこまでもつづくうねりへは
近づきすぎてはいけない ....
 酒場散景


いらっしゃいませ今晩は
お久しぶりです
おかげ様にして疫病さま様ですよ
重畳なこと、わたしは今度出稼ぎます
それはそれは身売れましたか
先日一枚、なんちゃってキュビズム ....
すずめがならぶ電線に
からまる凧を
むかえにゆく篭で
あなたが目ざめる
冬の町

波がよせてきて
泡がはい寄る
沈下橋
壁ごしの沈黙をやぶる
ひとつのくしゃみ
朝日をあびて
落 ....
拝啓

菌くん
そして菌ちゃん
どうぞ聴いてやって下さい

この軽自動車なみの心臓は
今日も元気よくおやすみと
疲れきったおはようのメロディーで
生きる、とうたうピン・ボール

 ....
それはいっぽんの小径
なみのかたちで振れ
丘のすきまをぬう
夢のはじまり
一日のおわり

ひとは その間
ひとみをみがくいちまいの布として
ぼんやりとてる 初月
あなたの中で
まっ ....
おやすみと
夜のくち笛がすると
踏み切りを塞ぐ貨車の列
恐ろしいソナタのはつ夢
おやすみ
自動扉の前で
なみだを拭いている誰かと手をあわせ

真呼吸しておやすみ
削岩機とゆっくり再起 ....
今日は川はにごりなく
深く沈めた自転車がよく見える
ついついと音を立て
外資系お洒落喫茶店の紙袋は
町角で丁度よく破れ
仔猫のようにこまかに震えてた
わたしの胸にうまれやまぬ
美肉の缶づ ....
媼の面をはずしたかまきりが
つめたいそでで横になっていた
ゆたかなお腹
子どもらをまだ泡してないと見え
わたしの中ゆびを、きゅっと
思いがけない強さでつかむ

空をひらけばすみれ
あし ....
 まぼろし


まるい
地球の影におおわれ
冬を
むかえた空から
宇宙がよく見えた
黒い雲のすき間から
着陸灯をかかえた旅客機が
旋回しながら
渡り鳥を
一羽
また一 ....
凪の果ての
遠浅のアデンに垂れていた
ことばの鈎をゆわえた
誰かの想いの糸
深海の流れはつめたく速い
願望がのびきって
次つぎ崩れる
砂浜にうち上がることばたち
鮫の群れがねむるまで
 ....
 ことば

にんげん
とか
やさしさ
とか
ほほえみ
などなどたくさん
わたしが好きなことばたちがあるが
その印象はけっしてたくましいものではない
大抵いつもかたかたふるえていて
 ....
soft_machine(402)
タイトル カテゴリ Point 日付
六月自由詩322/5/19 20:11
破壊筆記自由詩022/5/19 19:44
六月自由詩222/5/17 18:16
自由詩222/5/10 19:29
お鮨の日自由詩022/5/8 16:54
すべての美しい花自由詩022/5/7 16:49
くらがり自由詩8*22/5/3 16:25
四月自由詩122/4/30 13:58
毒 という自由詩222/4/29 20:28
嘘つき自由詩322/4/25 19:36
気がつくと自由詩022/4/24 22:30
湖畔にて自由詩3*22/4/10 18:34
予感自由詩122/4/5 15:37
るる・りり・らら自由詩122/4/3 15:19
原色の星自由詩222/3/26 21:40
なくしもの自由詩222/1/31 18:13
遠藤周作 自動筆記散文(批評 ...122/1/30 0:19
したげたい自由詩122/1/29 15:00
あの夜の景色自由詩122/1/26 23:28
水の世自由詩122/1/22 14:10
酒場散景自由詩022/1/11 17:58
この町自由詩122/1/11 17:45
絵手紙自由詩122/1/10 22:25
初月自由詩122/1/9 22:21
おやすみ自由詩022/1/4 18:12
はつゆめと夢自由詩022/1/3 20:14
一月二日自由詩222/1/3 0:47
まぼろし自由詩3*21/12/31 15:34
遠浅自由詩6*21/12/29 19:58
ことば自由詩1*21/12/28 17:56

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