星をひとつもらった


夜空がすこしだけ暗くなって
そのぶん
ぼくの夜が明るくなった


きみに手紙を書く
いくども書き直したので朝になった
星のことは書かない


ぼく ....
人間になったときに
長いしっぽは捨てたはずだったが
ゆうべまた失くしたので
蜥蜴になろうと決心した

体が楽になったのは
まっすぐで生きられるからだろう

背中が陽に染 ....
背中の星が重いから
飛翔しても
飛翔しても落ちる
てんとう虫の
ちいさな宇宙

野の草のように
持ち上げたものの重みに
ひとも耐えているが

あまりにも大きなものの中で
あま ....
夜ごと
小さな星から星へ
色とりどり
おはじき遊びのようでした

きいんと澄みわたった音がして
そのとき
宇宙は大きな円盤でした

まわるまわる輪廻転生
虫から花へ
花から虫 ....
膝小僧よ
なんだか久しぶりだね
そんなにきれいな顔をして
おまえもすっかり
年をとったか

崖の上や
崖の下や
いたるところ
赤い実をさがして
赤い血を流した

傷をなぞる ....
神社で
英文おみくじを見つけたので引いてみた
ときには外人になって
日本の文化を外から眺めてみる
青い目でみれば
大凶が出たからってアイドンノーだ
開いてみたら
おもてが英文 うらが ....
音がする
地の音がする
木の音がする
だったん

奈良東大寺二月堂
「当堂の行法、今に改らず。」
木沓が走る
火が走る
だったん

ひとからひとへ
音が伝わる
くりかえし ....
ゆうがた
ひとびとの背がかなしい
ひとびとの背を超えてゆく
魚がかなしい


水が均衡する
まずめどき


幻想の水をしなやかに
幻想の魚がおよぐ


しのびよる色が
 ....
きょう
ぼくは少年だった
両腕をいっぱいに伸ばして
いちにち
空を憧れていた

ぼくのノートは
かなしい文字でいっぱいだ
さようなら
さようなら
みんな さよ ....
暑いですね
温暖化の夏だそうですが
どこまで暑くなるんでしょうね
頭を使うと脳も発熱するそうですから
なるべくぼんやり過ごすことにしています
もはや詩を読む体力も失せました
と ....
虫は
しゃくとり虫は
進もうとする頭部と
残されてしまう尾部とを
しっかりと引き連れて進んでいく

木の生長よりも早く
葉脈の先にたどり着いたあとに
なお宙空に伸びようとしたが
 ....
この雨はもう止まないかもしれない
街も道路も車も人も水浸しになっている
ほんとに誰かがバケツの水をぶちまけているのだろうか
梅雨の終わりには
雨の神さまがバケツを空っぽにして騒ぐの ....
雨あがりの道を母と歩いていた

虹だ
おかあさん
虹だよ

ふりむくと母はいなかった

手の感触も覚えていない
母はよく左の胸をおさえていた
あれは母の癖だとばかり
思ってい ....
星と星をつないでゆく
あなたの指の先で
翼をひろげた白鳥が生まれる

古いギリシャの名前が覚えられない

翼は夜のかたち
それなのに星と星との距離を
越えることはできな ....
だれか森の奥で
山桃の実を食べている
指のさきから尻尾のさきまで
赤く染まり
鳥のように生きている
魚のように生きている

ひと粒はひと粒のために
いっぴきはいっぴき ....
浮き輪をもって海へいく約束だったのに
この夏もお父さんは
白い雲になったままです

空は海よりも広くて青いと言いながら
地べたと空のあいだで
両腕をまっすぐに伸ばして合図して ....
雨が降ったあとに
小さな水たまりができました

大きなナマズが2ひきと
小さなナマズが2ひき
ナマズの家族が泳いでいました

泳いでも泳いでも
同じ場所をぐるぐる回るば ....
ぼくは木の中に入っている
木の川を探すためだ

ときどき木の外から
娘がこんこんとノックする

お父さん、
川は見つかったの。
と声がする

う〜ん、水が流れる音 ....
公園にロケットがあったから
娘と乗った

ぼくの足は地面についたままだが
娘はすでに
宇宙遊泳を始めている
知らないおじさんの帽子をかすめて
ビッグバンと星が見えたという ....
ドングリを3個
ぼくの手のひらの上にのせて
3円ですと娘が言った
ぼくはナンキンハゼの葉っぱを3枚
娘の手のひらの上にのせる

ひとりといっぴきと
ひと粒のために
こ ....
近くに小さな森がある
魔女も赤ずきんちゃんもいない
妖精も小人もいない
むろん南方熊楠もいない

サワグルミの木がある
トチの木がある
両手をまっ黄色にしながら
固くて苦いトチ ....
どおおんと山を越えてくる
それは鯨 たぶん
そのとき大きな波の下で ひとは
ディープブルーに染まる


背中から背中へ流れる
かなしみの深さを ひとは
知ることができない
だれも ....
とっくにもう
枯野の向こうに行っちまったけど
俺に初めてフグを食わせてくれたのは
おんじゃん(おじいちゃん)だった

唇がぴりぴりしたら言わなあかんで
フグの毒がまわったゆうことやさか ....
ある日
あなたが現われて
わたしはあなたのわたしになり
あなたはわたしのあなたになる

あなただけのわたし
わたしだけのあなた
重なり合うあなたとわたし
わたしの ....
せんせい、私バツイチです
いまも減点ばかりでごめんなさい

ひとり残されて
校庭で逆立ちの練習をしている子
あれは、キミだろうか

きれいなアナウンスの声に嫉妬してしまう私
富士山 ....
あれはきっと
生きものが群れている音だ


口をすすぎ
顔を洗う
そんな朝の水で


生きるために
毎日タマゴを食べる
塩の加減は
これでよかったかと自問する


 ....
追うように
追われるように
獣たちが駆け抜けていった
土手の草むら


ことし祖母は
言葉をいっぱい失ったので
体も半分になってしまったと言う


秋になって
いちめん ....
日焼けするほどの
残せる夏のしるしもなくて
白いからだが
裸のままでいるようで
ときどき恥ずかしい

私の血は水のように薄くなって
夏はたくさん虫を殺してしまう
土から生まれて ....
ちっちゃい鯨ね
ぼくの絵日記をみて母が言った
海色の夏休み

まちの博物館の
部屋いっぱいに展示された鯨の骨を
ぼくたちは見上げながらスケッチした

せんせい、鯨も夢をみますか ....
おとうさんは帽子と靴だけになって
夏はかなしいですね
おかあさん

虫は人になれないけれど
人は虫になれる
と母は言う
両手と両足を地べたにつける
そうやって虫の産声に耳をすま ....
yo-yo(215)
タイトル カテゴリ Point 日付
ぼくの星自由詩19*07/4/20 6:49
蜥蜴(とかげ)自由詩11*07/4/13 7:08
てんとう虫自由詩10*07/4/6 7:15
ナイトクルージング自由詩10*07/3/31 21:03
膝小僧(ひざこぞう)自由詩8*07/3/23 6:37
ときには外人になってみる自由詩2*07/3/16 10:28
だったん自由詩2*07/3/5 18:45
ゆうがたの魚自由詩18*07/2/16 7:26
ぼくは少年だった自由詩12*07/2/9 7:05
暑中お見舞い申しあげます自由詩306/8/5 14:35
ディスタンス自由詩606/8/1 6:56
雨が降っている自由詩406/7/23 11:24
自由詩606/7/20 10:09
星座自由詩506/7/18 5:50
転生自由詩406/7/10 20:59
神話自由詩4*06/7/3 6:07
絵本自由詩3*06/6/27 6:36
木の川自由詩2*06/6/20 5:47
スペース自由詩2*06/6/13 6:37
サバイバルゲーム自由詩6*06/6/4 16:37
Into the Woods自由詩5*06/5/30 18:31
ディープブルー自由詩306/3/10 18:30
てっぽう自由詩406/2/12 7:20
あなた と わたし自由詩206/2/7 7:11
運動会の、空へ自由詩605/10/10 6:20
潮騒自由詩305/10/6 17:23
彼岸花自由詩705/9/28 18:07
残されて、夏の自由詩905/9/18 11:45
自由詩705/8/2 6:22
虫の夏自由詩705/7/26 6:25

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