聞きとれない靴音がいくつも通り過ぎて
わたしを避けるように交差した
どこからかしるべの虫と
やわらかそうな短い影
君はやっとヘッドフォンを外して
そこまで寒くないことに気づくんだろう
朝い ....
青空に白球が高く高く沈み
二度と落ちてこないような気がしていた
外野手は優しく恋人に触れるように
右手をフェンスにそっと添えて
これから起こる無常を背中で伝えている
ぼくはといえ ....
さびしい場所はきっとお互い似合わないよ
端っこに腰掛けたふたりは口を開けない
不幸せに倒れ込んだ先
マッチを擦る音がして振り向いた
傷をかばってできた傷がここにはあるんだぜ
いやしい光が ....
荒野に一つ
かがやくそれは
ぼくの悩み事をぶちやぶって
窓に張り付く次の夜から
マカロニはしるしになる

やってきては不幸をなげき
とばりの隅に隠れている

宇宙にひとつ
かがやく ....
夜のはじまりからおわりまで
景色がどんどん加速する
置き去りだって標識は言うけれど
止まってしまったらどうなるか分からないんだ
地面を擦る音ももう聞こえない
光の線と対になってし ....
たよりなく点滅する街灯
いつかここはけものすら通らない
道だったものになって
雑に置かれた石のひとつひとつ
大いなる妄想を抱かれるのだろう
そのときぼくは
薄く伸ばしたセンチメンタルに
 ....
外宇宙から海の近くの君のアパートを結んで
山なりのゆるいボールを投げてみる
猫のあくびより遅くてまばたきよりは速いやつ
うっかり心地よくなってしまいそうな
次の季節の風がカーテンをふくらませる ....
最低な日々から抜け出すために
お酒とタイムマシンがあって
あくびを押し殺しながらスイッチをいれる
人気のない街に顔を出し始めた太陽に
なんか浄化されそうだからさっさと眠りたい
でも帰る場所が ....
きみがちいさな黒点につまづいて
細く伸びてみたりさらに縮んでみたり
右手の過去と左手の未来を見比べているころ
困り顔で時間を凍らせたきみによりかかりながら
星たちが残していった虹を見ていたよ
言い表そうとした何百何千のことばも
わたしに少しでも
長くあたるようにしてくれた扇風機の前にふきとばされる
分かってもらえないだろうけれど
暑苦しそうなあなたの寝息が
わたしの世界のロックン ....
自転車を押す君が単線を渡ると
図ったかのように踏切が鳴り出した
いつものようにぼくは何もつかめないから
警戒色みたいな棒に文字通り遮断された
蜃気楼の中から電車が見えてきた
向こうの君は張り ....
 知らないふりを続けていれば
はじめから何もなかったことにならないかなぁなんて
街を見下ろすおおきなロボットのてのひらの上で
消えていくものに焦りながら

 八つ当たりでも見当違いでも
振 ....
冷蔵庫にわたしの好物がひとつ増えている
星の夜に歯型をつけてねむる
とぎれとぎれの信号も
詰まってあふれだした声も
獣道で見つけた風景も
しましま模様の高い空も

右手に光るガラス片も
左手にふるえる小さなカエルも
晩御飯のにおいのする街角も
 ....
屋根を強く叩く雨音を
頬杖で迎えた午後
足元に灰はどんどん落ちていって
いつの間にか火の消えた煙草を根本だけ一度吸う

積み上がる吸い殻の横に
読めなかった本が重なって
湧き上がる湿気が ....
スカートをはいてからおかしくなってしまった
縁側から外宇宙へ向かう道は
あの子の膝にあたまをのせるだけだったのに

まちがいだらけだって言葉に足がすくんだわたしに
日傘が少し傾いた
入り切 ....
十五歳の世界で見つからなかったものが
今になって見つかるわけでもなく
背景はわたしの視線をズレてどんどん透明になっていく

古着屋で買ったスカートはこの問題を解決できない
そしてまたわた ....
寄る辺のない気持ちが窓にもたれかかる
まだ頼りない虫の声に今は縋ってしまいそうだ
夜が早くきてしまうからと
机に引っかき傷をつけて出ていったあの子は
まだ庭先で落ちない陽を今度はに ....
つよくなでて
もういわないで
そらがわれたみたいです
わたしもそうおもいます

はやくなでて
もういかなくちゃ
つくりかけのこころです
わたしもしっています

まどがらすをふいて
 ....
風通しのいいこの部屋は
なにも考えられなくなる
昨日飲み干してしまった
感傷とかそういうのが
妙な日当たりによって
いつもよりきれいに見えてしまうんだ
何度か空 ....
耐えきれないことを冷蔵庫に押し込んで
明日の朝になれば食べごろになったりして
そうやって生きていくそうやって目を覚ます

多くの間違いのたったひとつだよ
また増えても大丈夫


消 ....
巨大なロボットの神経をつなぐように
眼下には電車がうごめいている
わたしは忘れてしまいたいことだらけだから
ここにひとりでいるのかもしれない


夕暮れが不平等に影 ....
いつまでもしびれがとれない

この道程だけが正しかったはずなのに

錆びた看板を見るたびにきしむのは

割れたこころがざわつくのは



きっとこれは毒で
 ....
強い強い風に額が切れた
あっという間に滲んでいく中で
あの横顔だけはっきり見えた

強く強く押されて柔らかいものが出ていった
あれがハートというのなら
今ぼくを動かしているものはな ....
夜が胸に叩きつけられていく


まだくすぶっていたものが
無数の靴音にまぎれて
いつか悲鳴を上げそうな
古い洗濯機に放り込まれる

長い長い妥協の列に並んで
気が遠くなりそう ....
破かれていくカーテンの
あの優しい日当たりが好きで
部屋の真ん中で目を閉じている

深い深い水の中
うっすらと張り付くように
白い目をしたばけものの声が
レースの ....
見つけたりない気がして
海底を泳いだ
短い手足がだんだんしびれていく

水圧のせいかな
ちょっと戸惑って
いつかの風船がひっかかる

悲しみにすら触れられない
それじゃあ笑われちまう ....
未関係未関係未関係少女がはしる

草むらの道と影のない通りを





無関係無関係無関係少女もはしる

こおりの中と強い響きの中を






壊れ ....
月に光る草を見つけた

君の持ってきたビニールシートが

魔法のように浮き上がっていた

口では言わない言葉の

墓場のような気がしていた

お互い様かもしれないが ....
山の中にかえっていく今日を
力強い何かに掴まりながら見ていた
薄っすらとあらわれはじめる
星の一つ一つに名前をつけて
大好きだったものに似た影を覚えていく

それぞれのたましいを均 ....
カマキリ(134)
タイトル カテゴリ Point 日付
カバンの中でタンブラーこぼれた自由詩221/3/5 19:20
スプリットタン自由詩521/2/15 2:26
防波堤にて自由詩321/2/12 20:53
まかろに自由詩321/2/5 22:40
ハイウェイ、それを孤独と呼ぶのだな自由詩320/11/9 0:27
彗星と空想の際自由詩320/10/30 21:59
SAZANAMI自由詩120/9/13 20:32
どうしても朝がやってきてしまう夜に自由詩020/9/6 21:11
星虹艦隊より自由詩320/9/3 18:44
千日紅自由詩220/8/27 20:14
ゆうやけのくに自由詩620/8/21 20:15
おおきなロボットのてのひらの上で自由詩020/7/27 19:25
たぶん伝わるということ自由詩320/7/21 21:49
日々の緒自由詩320/7/15 22:19
魔女とリコリス自由詩220/7/8 0:31
日傘とパンクロック自由詩320/6/12 1:21
スカートはこの問題を解決できない自由詩220/6/3 23:04
アーベント、もしも壊れてしまうなら自由詩220/5/12 0:32
はながちる自由詩720/4/4 23:38
缶切りがない自由詩120/3/5 0:46
私の間の大きな骨自由詩220/2/14 23:42
STILL YAMABUKI自由詩320/2/4 20:49
毒(あるいは懐古自由詩420/2/1 0:21
鉄塔とマシュマロ自由詩519/10/25 21:05
リンゴと残響自由詩619/10/15 21:51
鯨の枕自由詩119/9/27 1:08
ソナー自由詩219/9/8 20:01
土塊と感傷自由詩219/8/9 20:32
アナーキーインザ2LDK自由詩419/8/1 23:56
そういえばぼくたちは自由詩319/5/29 19:41

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