きのうの
夜が
いっこうに明けないので

けげんに思った
俺は
はっと気づいて
かろうじて

きょうの朝に
飛び移った

ゆれるゴンドラから
ゆれるゴンドラに
飛び移るよう ....
指はきれいなの?
と少女は言った。
お父さんに悪いわ
とも彼女は言った。

少年はなにも応えず
黙々と
決められた作業をつづけた。

闇のなか 荒々しく誰かの逃げ去る足音がした。
 ....
女というのは
いてもいなくても
苦になるものだ

かつて俺は思っていた

女にはたぶん
心はあっても
精神なんてないんじゃないか

なかば本気で思ってもいた

むかしむかし ....
わたしの知らない何処かで
わたしのことが決められていた。

異議申し立てをしようにも
誰に
あるいはどんな組織に
異議を申し立てればよいのか
ついぞ分からなかった。

第一
わたし ....
日本語の檻の中でもがいているのは
あれはいわゆる詩人です
なんとかして檻を破って
脱出しようとしているのです

けれども彼は知っているのです
あれやこれやの手練手管を使っても
すかしてみ ....
冬の空の青さを見あげていると
鼻の先まで
まっ青に染まってしまう

流れるのは
涙ではなくて
少ししょっぱい鼻水

丘のうえにたって
ああこのまま
いつか
いろいろかんちがいした ....
余命いくばくもないかのじょが
嫁にいくはずもない

だからかのじょを月につれてって
星のあいだで遊ばせて
どこまでもひろい宇宙で夢中におどらせて

この世の果てまでつれてって
忍苦の悲 ....
おまえは詩人じゃなくて死人だ

彼が言うので

じゃあ俳人は灰人じゃなくて廃人なのか
と言うと彼は

そうだおまえらのような人種は社会のために
なんにもならない

彼が言うので ....
あるとき
金色の服を着た
金色の不具である
イッパシの
ヤクザきどりのあいつが言った

自己保身と
私利私欲は大切だ
大事にしろよ
ただし使い方には注意しろ
ヘタをうつと
自滅す ....
ふしぜんなくらい明るい
かのじょの笑い声の高さが
かのじょの悲しみの
深さです

だから
夜になると
かのじょは
ベッドのなかで真顔になります

ふたつの瞳は
だれもしらない
 ....
またゆうぐれがきて
ぼくらはてんざいする
そしてへんざいする

そこここにともる
いえいえの まどのあかりも

よるになればきえる
ひとびとはねむる
こいびとたちもねむる


 ....
するどい雨の散弾が
あやしい空から降りそそぎ
はげしく
冷え切った地面を打つ

おどろいて
まっ黒い弾丸になって
失踪する
男の背中をもはげしく打つ

残された女は
無為の傘をさ ....
かれ
あるいはかのじょは
かんじゅせいが
せんさいすぎた

だからしょうらいは
くびをくくるか
きがふれるか
どちらかしかなかった

じっせいかつとどくしょで
きたえられた
か ....
アレを好きかと訊かれた場合
「キライだ」と答えたら明らかに嘘になる
では「スキだ」と答えたらホントかというと
ほんの少しホントからズレている

ホントのことは その中間のどこか
ななめ上の ....
千円くださいと言ったら殴られるだろう
百円くださいと言ったら無視されるだろう
でも十円くださいと言ったら ひょっとして
ニコリともしないでくれる人があるかも知れない

もちろん百万円ください ....
隠喩の練習
をしようと思って
とにかくなんか書いて
みようとしたら

「きみのおへそのしたの
かわいらしい縦割れえくぼ
うっすらおヒゲまでそえて」

という語句が
まっさきに浮 ....
ビデオレンタル店の前で
男と女の高校生が立ち話をしていてね
お互いに意識してるんだろう
話すたびに笑顔がぎこちないのさ

背の高い男の子は自転車に寄りかかり
女の子は
カバンかなにかを持 ....
ぼくの優しい友人は
お前の考え方にはバイアスがかかっている!
と言って突然怒った
バイアスのかかってない奴なんていやしない!
と言い返してぼくも怒った
多かれ少なかれみんなそうなんだ!

 ....
神がなかったので
運命もなかった
われわれは 偶然
この世に産み落とされた
ただのうたかた
きのうも明日もない
つかのまの
たわむれ

よるべない この胸

だから

むし ....
格別なこともない
特別な日に
ななめに笑い
或いは おもむろに悲しむ

おお 彼女は
ゆるぎない場所で
ゆるぎない愛を成就した

成就した
成就した
成就した
上手にした?
 ....
ある日のま昼
とある公園で
たがいの母親の 悪口を言っている
一組の
兄弟を視た

天気雨が
降っていなかった

ライトバンが通りすぎてゆく
なすがママに
きゅうりがパパになった

それはつまり
結婚当初
かれらが毎晩毎晩
いやになるほど毎晩毎晩
はげしくくるおしく まぐわったことを意味する
まくわうりのように

ああい ....
なにを
いいたいのか
よくわからないけれど

なにについて
いっているのかも
はっきりしないけれど

なんだかひどくひきつけられる
なんだかとてもみりょうされる

そんなしが
 ....
2014年、30歳の夏に
彼女は
こころの半分を、お空にもっていかれてしまった

未婚のまま
卵巣がんと子宮体がんのため、子宮と
卵巣全摘出手術をうけたのだ

生きることに必死だった
 ....
ししゅんきに
少年たち、少女たち
秘密をはぐくむ

親友にも打ちあけない
まして 親なんか話さない
大事な秘密をそだてる

それは
生きてゆくために必要な秘密

けっして
解か ....
ビッグバンの
それ以前には何が在ったの?
宇宙が膨張している
その先には何が在るの?

それは
時間と空間に対する無知による
愚問である
と 彼は言った

別にどうでもいいけど
ひとは誰でもその胸のおくの さらに
横のほうの暗がりに
誰にも触らせてはならないものを
もっている
誰も触ってはならないものを
かくしている

それをいのちとよぼうが
それをこころとよ ....
「パンティ」というシーニュのシニフィアンは
つまり
「パンティ」という記号のそのひびきは
多くの男たちになにかしら希望を与える
明日も生きていこうという勇気を与える
ただしその場合の「パンテ ....
ジョン・レノンが死んだと聞かされた時
ぼくは漕艇部の部室にいて
着替えをしていた

目の前に灰色のコンクリートの壁があった
目の前に灰色の無機質なコンクリートの剥き出しの壁があった

ジ ....
だれもが日々薄々感じてはいるが
まだ言語化できていないこと

だれもが無意識では分かっているが
言語化しようとはつゆ思ってもいないこと

そんなことどもを 深く察して
的確な語彙の選択と ....
浩一(87)
タイトル カテゴリ Point 日付
きのうの夜自由詩5*15/6/23 3:21
春(改)自由詩2*15/6/6 6:26
女についての若干の考察自由詩2*15/6/5 15:40
審判自由詩6*15/1/8 5:26
惨敗自由詩3*14/12/29 2:06
冬の空自由詩1*14/12/26 13:33
Take Her To The Moon自由詩3*14/12/25 17:59
彼とぼく自由詩1*14/12/22 2:58
金言自由詩3*14/12/19 13:08
かのじょ自由詩3*14/11/13 3:19
またゆうぐれがきて自由詩2*14/10/9 18:59
雨の散弾自由詩314/10/8 4:34
かれあるいはかのじょ自由詩2*14/10/7 22:36
ホントのこと自由詩3*14/10/7 18:03
十円乞食自由詩3+*14/10/4 16:43
隠喩の練習自由詩4*14/10/2 11:48
一陣の風自由詩1*14/10/2 2:29
ぼくの優しい友人自由詩2*14/9/22 19:55
絶望の種子自由詩3*14/9/11 15:40
特別な日に自由詩3*14/9/9 8:49
ある日のま昼自由詩114/8/28 9:43
なすがママに自由詩2*14/8/23 20:49
自由詩2*14/8/21 8:15
彼女について知っている2・3の事柄自由詩6*14/8/19 14:28
秘密自由詩314/8/19 1:24
愚問自由詩214/8/17 1:14
それ自由詩414/8/12 2:36
ひびき自由詩2*14/8/9 3:37
ジョン・レノンが死んだ自由詩4*14/8/5 21:57
コトバの力自由詩314/8/4 18:54

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