ほこりっぽい多摩川沿いの砂利道いっぱいに、
平日の時間の無意識が失調し、
いたずらが行く手で陽炎めかして燃える。
ここは昼間ほかに客もおらず、
他人の醜悪な顔を見て不愉快な想像を掻 ....
特に書くこともないが、何もやることもほかにないので書き始めている。書くことのないのは幸せだ。書くことは、書くことがあるのは幸せなわけがない。恨みつらみを持った人は書くことが .... 目を覚ますと、とある住宅街の狭い路地、これを抜けた先の、猫の通るような路地に出ました。ここはまるで知らない場所でしたので、道ゆく人々を目配せして捕まえ、わたしはこう ....  彼らはその砂場にしゃがんで砂をつかんでいた。だれに聞いても、いつから彼らがそこにいたのかは分からなかった。それほど長い間そこにいたのだった。砂場は白いコンクリートのふちに囲われていた。そのふちは公園 ....  おお、ポップコーンのカップの中で空振りする右手。食べつくしてしまった。食べた記憶もないのに。バターとキャラメルでぬめぬめと光って、指先が、母乳にべたついた乳首に見える。吸いつくわたしは、そういえばど .... めざめた光を、
うらがえった傘へ、
こっそりと収穫する、
路地裏のコートを着て、

ビー玉、が降る、
午前中のわたしの背中、
すくいとれないほどに水たまりが、
あふれる、

通行人 ....
五頭の、
眠る牛に誘われ、
赤子は、へそに、
ブランケットの、
ざわめきを、聞いて、

受話器の発信音に、
埋もれた、
五人の母は、
近づいてくる、
ダイヤルに、

鳴きだす、 ....
浮かばない、
影、踏みに、
蝶が、ふくらむ、
ねむりの、底に、

レンズの、
おうとつに、
ざわめきが、
すべりおりる、
夕ぐれの、
回転を、

踏切の、渡る、
詩人に、
 ....
流された、砂場に、
さし込んで、増える、
飛行機から、
まなざしを、

あのトンネルは、
仰向けになって、
揺れて、

思いだせない、
名前の、絞められた
首の、あふれた、
す ....
乳房をすう、
くらげを、ほどいて、
山のような女の、
小指が歩く、

水の底は、
虹がかかり、
馬がめぐる、
足のない、

テーブルで、
首を吊った、
青空が、
しずんでいる ....
踏んでいく、
鳥のかげ、

貝の、ねむりを、
ちぎって、

また、
植えて、
海を、まぶして、
足もとへ、

ふとんで、
生まれたての、
両親を、
ジュゴンのように呪って、 ....
脚の線を、
ことばの女の、
くちびるへ、並べる、

埋め尽くす、

カーテンを閉じて、
無限の、
飛行機が、金属の、
かみのけを、残す、

誘う、
窓へ、
吹きか ....
 (立方体の個室に、インタビューをするものとされるものがいる)


「子供のころよく見た夢の話です。人をばかにするような引きつった笑い声が、空のほうから聞こえてきます。さっと上を見上げると、なん ....
とある清潔な会社のオフィスである。わたしの指はパソコンに向かってなめらかにキーボードを打ち続けている。それに応えるようにして、キーの一つひとつが軽やかな音を放っており、静かなオ ....

いったいこれは何の会議だろうか。ただ、つい最近もこういった会議に参加した気がするので、きっとわたしに無関係ではないはずだが。しかし、みんな一体何を話しているのだろうか。な ....
はい、どなた?
玄関のドアを開けてみる
ツルツルの警察官が立っていた
まことに申し上げにくいのですが
近所の公園のかたすみに
あなたの遺体が見つかりました
と言うので
下半身ですか上半身 ....
 i. eating machines / Parantica sita

その日の朝食は、いつものように厚めのトーストが一枚でした。私は表面にのせたバターが溶けていくのを嬉しそうに見ていますが、 ....
 Kは鬼ごっこをしているが、妙なことに、およそ鬼と呼べるような人間がどこにも見当たらないのである。そういって悪ければ、Kはすっかり鬼の顔を忘れてしまったのであった。
 ベンチの裏に丸くなって隠れては ....
 自宅の風呂である。いつから浸かっているのか、まるで思い出せない。ひだ状に醜くふやけた指を見れば、どうやら相当の間ここにいたということが分かるが、それにもかかわらず、私は、一向に風呂から出ようという気 .... 少し遅れているが、それはいつものことである。待ち合わせのレストランまで、バスに乗っている。乗客はすでにほとんど降りてしまった。もうそろそろだろうと思い、手元のブザーに触れると、無数の赤 ....  見知らぬ集合住宅の最上階である。なぜか全くの無音が続いている。どれだけ高い場所にあるのだろう。建物のまわりには、さっぱり何も見えない。目が乾燥していて、視界がかすれる。左右には一つずつドアがある。ど ....  そこには、証明写真の撮影機が立っていた。ボックス型のよく見かける何の変哲もないものだ。奇妙なのは、それが設置されている場所である。なぜ公園の真ん中に置いてあるのか。

 私は昼食 ....
 朝、日差しが差し込んで、私は目覚めました。いつもと同じように、なかば夢見心地でトイレへ向かうと、ドアの隙間から明かりが漏れています。私は一人暮らしでしたので、これはおかしいと思いまし ....  さて、どうやら人々はひどく急いでいるようである。こんな瓶の中でいったい何を急ぐ必要があるのだろうか。誰も立ち止まる気配を見せない。ともかく、誰もがせかせかと動き回っているので、なんと ....  ようやく着いたかと安心していたが、よくよく見れば全く別の場所にいるようなのである。四階建ての白い建物が横一列に四棟並んでいる、というところは同じなのだが、果たしてこんなにツヤ .... 目を覚ますと、部屋の中に嗅いだことのある匂いが充満していた。どうやらドアの隙間から流れてきているようで、いつからしていたのかは分からなかった。目が痛くなるような甘い ....
リンネ(26)
タイトル カテゴリ Point 日付
身体がどうして花に触れられよう。花に触れられるのは、たましい ...自由詩112/5/2 17:41
カイダン自由詩312/3/19 18:56
水ぶくれ自由詩212/3/13 22:05
その立体はわたしたちの団地を支配していた自由詩111/8/4 12:53
ぽっぷこおん自由詩211/7/30 11:41
モーニング自由詩411/7/29 9:34
夜のたわむれ自由詩111/7/28 19:58
まどろみ自由詩111/7/26 12:32
公園デビュー自由詩111/7/26 12:31
おぼれうた自由詩311/7/25 10:46
踊って自由詩211/7/25 10:44
水遊び自由詩011/7/25 1:43
夢の見える部屋自由詩311/7/1 21:12
アワー・オフィス自由詩311/6/4 17:25
テンオアラの嫁自由詩311/5/11 15:14
植えられる自由詩911/4/14 20:17
一の蝶による五の夢景自由詩510/12/31 16:23
日常的な公園自由詩210/12/25 11:54
林檎のある浴室自由詩110/11/29 18:48
ある徘徊譚自由詩110/11/23 21:51
バベル自由詩210/10/24 16:19
正午自由詩210/10/12 22:45
私たちの食卓自由詩310/10/12 22:43
ナルシス・ナルシス・自由詩210/10/10 15:20
●●●●の回帰自由詩210/10/10 14:54
自由詩210/10/10 14:15

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