何十年も後
何十年も後の窓に
わたしの姿は映る
泣き腫らした目を 細い指で押さえて
赤い鼻の頭に 午後の光を落として
泣いた理由など忘れてしまった
それは何十年もむかしのはなし
太陽が窓 ....
ゆっくり歩くこと
こっくり眠ること

時のしじまに目を凝らし
宵の迎えにむねを預ける

さあ ひと呼吸
搾りたての日々はもう
ゆらめいた道路のまぼろしの中に

まぼろしの中に
あ ....
白いミルクに 足先を浸す
グラスに浮かんだ 臆病な飛行船は
午後の温度に溶けていく

飾りだけの生活や
苦し紛れの性格に
飽き飽きしたころ
夏の気配を感じた

ノートの罫線に陽の光が ....
道に沿って歩いていくときに
目を閉じた
東京タワーの寝言が聴こえた

おやすみなさい。
安らかに
誰の優しさ汚すこともなく
眠りに就くあなたを見守ろう

昨日見た飛行船の夢が
今日 ....
雨の音を聴きながら
ヨーグルトを食べる
雨脚とはうらはらに
部屋は静かで

ただ頭を撫でられていたかった
この手はいつも
あなたの為に空けてあった

からっぽの傘を握るために
わた ....
夜がすき
たまらなく
夜のにおいが

透きとおる風の底から
夜更けの窓が見える、
わたしを呑みこむ
星屑の泡が立つ
深海の窓

ありふれた街で息をする、
そのことがたまらなく愛お ....
まぶたで揺れてる 律儀な愛情
深めようとするたび 身を隠してる
3つめの朝が やって来たよ、と
あなたは目を開けて
わたしの姿だけしっかり見つめていて

I just wanna say  ....
朝露が縁どる窓
うるおう昨晩の夢
きっかけは眠ったこと
あなたの肌に近づけたこと

白桃の海、
ゼリーの河
いっそ沈んでしまおう
べたべたに絡むくせっ毛
あなたの肩に擦り寄せて

 ....
森が本だと想像してみる、
一頁一頁が緑の葉っぱで出来ていると。
陽の差し込む部屋でそれを開いている
まるで十四歳の気分で

カサカサした木の皮の表紙をめくると
光の透ける葉脈から文字が浮か ....
季節は冬から 深い冬へと移行していく。

氷が張る
霜が降りる
陽の傾きが早くなる

その予兆は至る場所で目にすることが出来るが
視界が澄めば澄むほど
思考は閉ざされていくのは何故だろ ....
家から徒歩1分のところに高台になった駐車場がある
高台と言ってもほんのわずかだ
しかし私にとってはその“ほんのわずか”が重要で
冬の夜の帰り道、
そこへ立ち寄ることが多い

息が白いな
 ....
音は階段
踏むと来る
爪は鍵盤
押すと鳴る
恋は単純
引くと乗る
月は明快
飛ぶと着く
道は難解
沿うと逸る
あなたのひと肌に触れて
撥ねる

私はきっと今 雨のような顔をしているでしょう

笑うのは難しい
誰が側にいても
部屋の明かりを灯す一瞬で
自分がどんな人間なのか分かってしまう

 ....
好きになると声が洩れる
息は短く
鼓動は長く
針金みたいに精神が細くなる
きゅっとつまむ
皮膚の表面が
誰かの顔になる

ためらいがちに時計を覗く
新しい映画に出逢いたくなる
甘い ....
ほんのちょっと 甘いモノが欲しいだけなのに
それが何なのかぴたりとは分からない

それはチョコレートではなく
クッキーじゃない
カスタードも 粒あんも マカロンも違う

小さな頃
ミル ....
詩は 言葉のグラデーション

そこに 恩やメロディーはない
もっともらしい 言い訳や教訓も
自分で少し考えてみたら?
親にも言われなかったこと
言われているような気がするの

すでに
 ....
柳の木の下で
若い女が泣いていた
亡くした夫の遺影を抱いて
帰ってきてよと泣いていた
しょんぼりとした後ろ姿は
しだれた柳の枝のよう
風だけがそよそよと
後ろめたそうに吹いていた

 ....
愛しい人の
前にいると
鼓動がトトトト、ト と
ミシンのように
動き出す

愛しさへ向かう
なかに
なにかを
縫い合わせていくのね

スカートが
できるなら ぐるりと
花を
 ....
美しい 庭

自分を見つめ直すための 庭

幾千枚の 緑の葉
針刺す布
手から 落ちて

ただ そこにある庭を 眺めている

季節は めまぐるしく動き

今 また
再生の春が ....
自分の事しか見ていないようで
相手の事も
見てるんだよね ちゃんと

きみは高嶺の花だ、なんて
冗談でも
言ってほしくなかったよ

身を削るようにして
生きてきたから

私の
 ....
苦しみの海に舟を浮かべている

あまった人生
わたしは人より多く
時間を与えられたんだろうか

忘れたくない
ここが好きだった理由
ここに居てくれと頼まれたからなのだった


 ....
午前1時の 朝ごはん

はちみつを
かけただけのトーストと
皮の削り残した


咎める人の
いないことに
慣れてしまったら
何を自由と 呼べば良いの

“1人で死ぬことが究極 ....
フルーツサンドを食べたら
急に彼に会いたくなった
キウイの色が眩しくて

もう何日も会っていない
彼の顔が見たい
会いたいよ
会いたいよ
そう思うけれど
仕事で帰りが遅く
彼の家は ....
真夜中の 誰もいない教室に
女たちが なだれこむ

レジャーシートを敷いて
だらしなく座り
シャンパンを開ける

おつかれえ 今週も仕事 頑張ったね
うちらまだまだ いけるじゃん 若い ....
黒塗りの雨が心地良い

静かな夕立
水びたしの街

揺れ惑う灯りだけ
ひとりぼっちの僕を見てる

光が洩れた
バスルーム
子供の声が
はねかえる

ファミレスの奥で 語り合う ....
雨 雨
切々と うたう

わたしはピアノを弾いている

絵も描けず
詩も書けず
下手な暮らしをしているが

わたしはピアノを弾いている

今この瞬間
いくつもの
想いが
浮 ....
あの星  揺れて  また  涙を  落とした

七夕が  過ぎて  願い事は  もう

燃えて  どこかへ流れてしまった

重ね重ね  うつらうつら

まぶたの裏で  小さな笹舟が
 ....
ベランダで
入道雲に向かって
指揮棒を振るおかあさん

白いシャツはヴァイオリン
大きいシーツはティンパニー
弟のズボンがフルートで
私のワンピはトランペット

晴れた日の
洗濯物 ....
ひもとくこと
ひもとくことを おぼえよう
ねこのみみ鳴り
蜘蛛の巣のひかり
淡くて せつない
綿菓子のような
こはるびよりの
あさひを浴びて
わたしのしっぽは
大きくふれる
幹をい ....
札束のように
飛行機が束ねられている

花屋には
お札で折られた
鋭利な花が並ぶ

愛想の良いあの子が
配っているアメは
お札で包装されていて

巨大な紙幣のバルーンが
デパー ....
Akari Chika(55)
タイトル カテゴリ Point 日付
窓結い自由詩212/7/8 21:50
まぼろし自由詩112/7/4 18:39
a ice air ship自由詩5*12/7/1 11:31
神谷町自由詩4*12/6/24 9:48
雨とヨーグルト自由詩2*12/6/19 23:41
sailing自由詩3*12/6/9 21:34
I just wanna see you today.自由詩2*12/6/9 12:38
言霊の夢自由詩6*12/1/1 21:46
The leaf.自由詩6*11/12/31 3:04
巡る散文(批評 ...2*11/12/26 22:54
HOME散文(批評 ...2*11/12/18 1:16
音階自由詩1*11/12/16 2:01
rainy face自由詩1*11/12/16 1:15
音程自由詩2*11/12/14 19:17
little bit little自由詩5*10/11/2 15:05
グラデーション自由詩4*10/11/1 14:50
木情絵巻自由詩3*10/10/20 2:06
ソーイング自由詩4*10/10/17 23:58
自由詩2*10/10/17 2:45
HB自由詩0*10/10/17 2:33
終りの惑星自由詩3*10/10/16 1:21
talking about Life自由詩5*10/10/8 1:07
thinking about Love自由詩4*10/10/8 0:56
ピクニック自由詩3*10/10/4 19:43
Smoky rain自由詩4*10/10/2 23:18
pianissimo words.自由詩8*10/9/30 21:12
痩せた夏自由詩1*10/9/21 2:00
カラダがうく自由詩4*10/9/20 0:28
ひもとくこと自由詩2*10/9/20 0:09
幸運のコイン自由詩010/9/18 23:34

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