痩せた夏
Akari Chika

あの星  揺れて  また  涙を  落とした

七夕が  過ぎて  願い事は  もう

燃えて  どこかへ流れてしまった

重ね重ね  うつらうつら

まぶたの裏で  小さな笹舟が

漕ぎ出しては  回る  何度も何度も

その様が  時のうろこを  剥がし

私をあの夏へ  連れ戻す

まだ一度も乾くことのない痩せた夏へ



失くしては  繰り返し  産まれる  星の点滅

指先では  捉えることの出来ない

遊び心のない宵が

朝を待たずに終わろうとしている

そうして  私は  また  夜と朝の間から

ぽっかりと抜け落ちた空間の中で  夢を視るのだ





自由詩 痩せた夏 Copyright Akari Chika 2010-09-21 02:00:49
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