ここがいつもの世界なら
投げ入れた石は水底にしずんでいくし
まるい波紋も できるだろう
郵便ポストは1本あしで立ちつくしているし
ひとびとは
笑ったり泣いたりしている

さていまは
 ....
たぶんもうすぐあかりがきえる
世界中のあちこちで いや 世界中で
ひつじはもう眠っている
きりんもとうに休んでいる
あかりがきえる
あかりは消される

祈ると祈らざるに関わらず
あ ....
ふくらんだりしぼんだり、ななめったり乾いたり、まわったりこわれかけたり、いったりいかれたり、また冬がきたりして。庭の満天星赤くなったね、蜜柑の実成りながら腐ったり。黒い宝籤は毛並から冬支度、私の髪 .... どんな紐も 間違いではないとしても
許されてはいけない夜
打ちつけた卵から雛はかえらない

液晶、あるいはブラウン管
はじめてじゃないってことは
これからもまたってことなのかな?

 ....
いつから積むようになったか忘れたが
もうほとんどれんがは残っていなかった
塀と不安は伸びつづける
いったい、この不安がなくなるか
れんがが先になくなるか
そのどちらが来てもわたしは
や ....
さようならをする
さびしいものたち
可愛いものたちに

街は
わたしの手をひいてあるいた

わたしから
いちばん遠い場所で
わたしがまっている
そうして少しずつ近づくと
 ....
しかくい夜のなかに
青ざめた月が座っている
どうしたらこの空を落とすことができるだろう
眠る 鳥たちを起こさずに

さよなら
あたらしい街で
あたらしい夢を踏んで生きていく
ママがむかしつややかな毛並ととがった爪とひきかえに愛を得た話を父から聞くたびにあたしはみょうな気持になる、その結果としてあたしは生まれてママは死んだのだ。つまりあたしはママの毛並と爪とひきかえとい .... ぴーんと張ったあさの
しおからいところ
うすくてわれそうで
さわると温かいところ
裏返したわたしを
もう一度うらがえして

どうしても さびしいことであるね
おぼえていることも
 ....
さびしいおもいをしよう
うそのお皿にふたりですわって
わかりあう
を たべよう
べたべたにして
たべおわったら
ちがうドアから かえるのさ
あなたが いるなら
波だって
とまる
たやすく

つめたい 朝日のなかに立ってる
わたしたちは
よわいよね

あなたがいるなら
なみだって
とまる
たやすく
でもまた す ....
娘が宝籤を撫でている。宝籤はおとなしい犬とは言えないお転婆だけれど、餅のようなてのひらが宝籤の黒い毛並のなかをせわしくいったりきたりするあいだはおとなしくしている。自分よりちいさいものだと分かって .... 朝には、
むらさき色の腕がゆめを奪いにやってくる。
走って、だれもが
逃げているとおもってた
湯気のあがるさか道、
ねばっこい草のなか、
うす暗い公園。
みんなからはぐれて、
それ ....
崖のうえで
いまやっと
生きている気持がする
はだかで
つめたく嬲られて
ごつごつした岩に立って

穴だらけのひふを脱いで
ねばっこい血管を捨てて
さわがしい心臓も
置いてきて ....
あまいとおもっていた
あなたの言葉は
いまでもわたしの喉をふさいでいる
目の内側から金色がおしよせて
まもなく手も足もうごかなくなる
岩のうえには君の体温がまだ残っていた
僕はそれをハンカチに包んで持ち帰った
ポケットのなかでだんだんとつめたくなっていくそれを
おそろしくてそのまま忘れてしまった

洗濯屋が(彼はいつも ....
愛していると言うたび
黒ずんでいく道を歩く
盗んだ砂糖でパンを作った
明日は砂場を埋めにいく

今日はいちにちくもり空だった
生ぬるい空のしたにねそべれば
生きていることを忘れられる ....
やさしいくまは
なんにも食べずに
やせている
かつてつややかだった毛並みは
ぼうぼうにとがって
やさしいくまは
そのうちひとかたまりの茶色になって

ちょうどきのうの晩ふきあれた強 ....
ため池は空をうつすが
空はため池をうつさない

涙と呼ぶには
あまりにもふかい緑色のなかを
どこまでもどこまでも進んでいく
夜、よるが終って朝がくる
来た、朝がきて、光は

体のかたちに心を整えるが
ほんとうは心のかたちにからだを沿わせたい
紺色のクローゼットとか壁の白とかも、
でも本当にしたってそんな ....
あんまりはげしく抱きあったので
朝には顔も忘れてしまった
バスルームに焼けのこった
愛と情とは
紙袋に入れて駅のホームに置いてきた
そうと決めたひとに
なにを言う必要があるだろう
挙げた手を下ろせずにいる臆病なわたしが

終わりのない下り坂がないなんて
言えるのかしら
いいえわたしは幸せです、
という答を常備して ....
パレードの音がする
雨なのにね
いってみようか
雨なのに?

雨なのに 乾いている
パレードは
ここからは見えないが
音だけが
さびしく 響いている
時間があふれたしろい壺は
だんだん透明に染まっていって
いまはほとんどみえなくなった

わたしはさかさまになっていままでのことを
体じゅうに飾ってみる
あふれてあふれてあふれている
 ....
娘の髪がおどっている
とおもったら
わたしの息だ

どこまでもなめらかに続くようにおもわれる肌は
必然の場所でとぎれている
死がおそろしいなら
生もおそろしいのだし
もしも素晴らし ....
じゆうしのお墓まいりは
ひっそり行わなければならない
衣服をすて
思想をすて
言葉をすてて
まる裸で向かわねばならない、
という決まりを捨てられず
あきらめて横になるところに
じゆ ....
鏡に釣り糸をたらして日がな一日それをみつめている男のひとにキスをしてまわる
わたしの靴はもう擦れてしまったから裸足で
くまたちはあきれて先に行ってしまった
どうですか釣れますかときくと誰もが ....
本棚には
山にのぼるまえの登山家と
ネクタイをしめるまえの政治家
それからドラック中毒の神父さまと
やわらかい夢が眠っている

もうすこしわたしは
旅をしなければならない
鍵をかけ ....
そんなにだいじなことが
あるだろうか
陽に透けている髪の毛や
ひびくように聞こえてくる帰りみちの子どもたち
なにかの秘密くらいちいさな爪のいちまいずつ
写真集にかぶったほこりのおどるとこ ....
リリー
言いたいことがあった
はずだけど
戸棚にしまった
毒の花

来たかったのは
ここなのだ
どんなに忘れても
赤い夢は

リリー
言いたいことがあった
はずだけど
 ....
はるな(1733)
タイトル カテゴリ Point 日付
ここがいつもの世界なら自由詩615/11/27 22:57
たぶんもうすぐあかりが消える自由詩4+15/11/24 0:25
テレビを見ている。散文(批評 ...115/11/18 14:14
液晶あるいはブラウン管自由詩315/11/16 23:17
れんが自由詩215/11/16 21:46
さよなら2自由詩215/11/10 23:37
さよなら自由詩415/11/10 23:31
散文(批評 ...215/11/9 9:28
はしろう自由詩415/11/7 9:26
さびしいおもい自由詩715/10/30 23:53
朝日自由詩315/10/30 23:47
00散文(批評 ...115/10/26 10:18
朝のこと自由詩515/10/25 4:40
崖のうえ自由詩415/10/15 6:13
はちみつ自由詩615/10/13 21:13
ハンカチ自由詩115/10/10 23:03
砂場自由詩315/10/5 21:51
やさしいくま[group]自由詩515/10/2 20:55
緑色自由詩615/10/2 1:34
きてひかりは自由詩615/9/30 22:04
紙袋自由詩315/9/30 21:41
くだりざか自由詩215/9/26 22:34
パレード自由詩215/9/26 13:05
あふれる自由詩515/9/25 0:43
同じ場所自由詩515/9/25 0:39
じゆうしのお墓まいり自由詩515/9/25 0:34
自由詩215/9/17 22:45
本棚自由詩515/9/15 22:28
自由詩715/9/15 16:30
リリー自由詩315/9/15 16:19

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