その甲斐甲斐しさが慈しみへと繋がっている、その仕組み
フリダシなんて何処にも無くて、必要性と実感を得ていく
それの何が可笑しいと言うのだろう
左右されない佇まいは、只になれた証に思える
 ....
いつからかその身体は凍えてしまっていて
今まで僕が得意としてきたやり方ではどうにもならなくなっていたんだ
時間が奪った熱量が圧倒的だったってこと
それを思い知らされて途方に暮れていた
 ....
夕食を皆で食べていた私はふと気がついた。
視界の端に何か動いた気がしたので何気なしに見てみると、依子だ。
横目でじっとりとねめつける様に様子を窺っていると、やはりこの女、伸縮を始めた!
まただ! ....
御免下さーい」
はいはい、どちら様?
玄関越しに掛けられた声から男性のようだと推察する。
近頃は物騒なのでドアを開けない、まず誰なのかと名乗ったらドアを開けることにしている。
チェーン ....
「折り入って相談があるんです。」

昨今この国では容易に学校へ忍び込ことができない。
僕が小学生だった頃よりも夜勤警備員の数が二人ほど増えていた。
ある夜の帰り道。酔いの勢いを利用してフ ....
浸りすぎて沈む身体
宙空に浮かぶ間接照明
隔週でやって来てドアを二回ノックするのは夜からの使者
もうすぐ行くから待っていて

隠れて行う私達
まるで禁じられた遊びみたい
 ....
僕は机の前に正しい姿勢で座っている。
君が解答用紙を回してきたので受け取る。前髪の伸びすぎで鼻から上がよく分からない担任教師が言う。
「時間は無制限だからじっくり考えて答えなさい。」
僕は ....
ぬかるんだ道をそっと渡る。滑ると笑えないからって言いながら。
地面に靴の跡がつく。「この近くで事件があったら疑われるかもね。」
「ほら、また嫌な事言う君だよ。可愛らしいのをリクエストしてもいい ....
「くっそ。最悪だ。道迷った。絶望的に迷ったぞ。
 なんだどっから来た?方角全然わかんねーよ。
 だいたいあいつ、どこまでトイレに行ったんだよ」


「おい」
「え?」
不意に背 ....
そうやって欺こうとしている。
知らない顔で口ぶりだって素っ気なくて
そういう態度、見え見えだから。
上手いって思ってるの、あなただけ。
お上手って手を叩いては褒められないよ。

 ....
残像として揺れるふたりの影が
この揺らぎを生む要因であることを感じ始めていた
奇数月に心浮く理由は
これから終わりに向かうから
ありもしない現実を思い描いていた
黄緑の鎌が花弁の上 ....
踵から広がっていく波紋
浴室の中では
気負うことがない
反響した声が体内へ戻った
再認識する
私が意識していたことを

煙突からの排煙
あんな風に空の中へ入り込めたら
 ....
上手く機能してない頭でも
鼻歌ぐらい口ずさめるよ
こんな気持ちはよくある話だって
屈託なく笑いかけてよ

見えない手に窒息させられる
逃げ出すための算段を練っている
擦り切れ ....
手招き誘われるまま夜道を遊歩
遮断機も下りない時間
どうやらその心は
分離帯に乗り上げてしまったよう
奇数だけを数え口ずさむ
9番目の階段で振り返る
まだ、誰もいない

 ....
証明できたら信頼されるの
いつもみたいにふざけ合えるの
冗談で取り繕ってみせた雰囲気は
一人になると嫌悪して
言葉に立ち始めた角が疲弊させていく

肩は不確か
いつもの場所よ ....
酷いことばかり考えてるね
眠ったふりして誰かの心配をやりすごす
物音一つが反響していく
さっき飲んだことも忘れてしまいそう

記憶に無い人が笑うが一体何が楽しいのだろう
落ち着い ....
息がかかる距離
上手く捉えられずにブレる輪郭
今、見慣れた顔はどんな表情?
眼差しの熱に打ち抜かれている

背中に手を伸ばし近付いてみる
胸を重ねたら鼓動も一つになれそうだから  ....
ドアの外は暗い暗い霧の都
離した指に巻かれている糸は虚ろ
君がどこかから取り出した小さな鋏
魔法のように集まっていた想いの粒は散らばって

靴紐に足を取られてつまづく
温度差には ....
どっかの誰かが言った言葉だったのに
あなたが言ったらそれは銃声に変わって
貫通してどこかへ行った
残った痛みで頭もどこかへ行った
そんなものでも逃げていかないように
抑えて閉じ込め ....
望みなんて誰の口からも聞いたことがない
実在しているのかそんなもん
空からの見えない圧力で今日も頭が重い
靴の汚ればかり目がいくね

コーヒーは気が付けば苦くなっていた
甘いと肩 ....
海鳥が羽ばたいて行く
波音が声も表情も攫ってしまう
ここを離れれば全て遠のいてしまいそうで
時計は腕から外して仕舞った
すこしでも時間を忘れられればいいと
そう思っていたから
 ....
隣から静かな寝息が聞こえる
仰向けで寝ている僕の喉元を抜けて
天井付近で一度弧を描いてから
玄関のドアの隙間から外へ流れ出ていく
朝焼けの空へ振り返りもせずに宙を泳ぐ
無自覚な寝息の ....
挨拶は「今晩は。」
説明のつかない虚ろな景色を背にして二人は遊ぶ
逆回転のカタツムリの殻ばかり集めるコレクター
「薄紫の笑顔が特徴的です」
君が見る夢はいつも捩れて歪んでる

し ....
舞いながら手を振るように燃える紙
「もういい」と決めた午後三時
欠落した感情を綴ることに筆を置いた
要らないものは捨てていく
空から降ってきたそれは灰ではなく
以前日記に残した私の ....
眠ってしまった
あんなに観たがっていた映画
青白く照らされた寝顔が綺麗に思えたから
起こさないように一枚撮ったんだ

ステンレスの浴槽で
いつまでも君と溺れていたい
海月みた ....
追わないよ
辿りもしないよ
もうただの幻だと知っているから
朝に沈み始める身体
声があなたの前では響かない

泣いていた
理由も分からずに崩れるように
背負っているのはい ....
実体がないようなそんな存在
帰ることが出来ずに暮れていく
なんだかうまく話せないから唇噛んで
通りの人波を座りながら眺めてた

言いかけた言葉のせいで息につまづいた
それは今でも ....
言葉に溶かされて
解けないようにきつく縛って
精巧なもつれ合い
眼差しはわざと冷たく
仕草だけを頭に残す

置き去りにして後味は吐き捨てて
どうなったって構わないなら
ゆ ....
思いきり飛ばした赤の輪ゴム
ちょっと先にいるあなたの背中に当たって落ちた
砂浜で拾った貝殻で片目を隠したら
振り返ったあなたが真似をした

よく眠れない日に
お気に入りのクマのぬ ....
言いたかったんだけど
きっかけが見つからなくて
その日は言わずに残した
次なんて
無いかもしれないのに

眩しさで何も見えないから
何度か右眼をこすった
駆け足で橋を渡る ....
菊尾(156)
タイトル カテゴリ Point 日付
「完遂」自由詩009/6/27 20:02
「季節と背中」自由詩209/6/27 20:00
「宏美の心配」散文(批評 ...008/10/11 0:52
「お隣さん」散文(批評 ...108/10/6 9:30
「兎」散文(批評 ...208/9/21 8:44
「ブラウンリップ」自由詩208/7/6 6:55
「問題文」散文(批評 ...008/6/16 19:04
「彼女は無糖派」散文(批評 ...0*08/6/13 19:52
「精霊、山の手」散文(批評 ...1*08/6/1 8:27
「泪の先」自由詩008/5/5 19:01
「補食」自由詩208/4/30 18:00
「柔らかくて低温の正方形」自由詩008/4/23 17:52
「上がらない顔」自由詩008/4/14 18:00
「廃園」自由詩008/3/20 18:33
「不確かな肩」自由詩408/3/10 17:58
「カーテン」自由詩108/3/6 17:53
「メトール」自由詩008/3/5 17:38
「都」自由詩308/3/3 18:10
「美術館」自由詩008/2/29 19:19
「脈」自由詩008/2/28 17:25
「海辺」自由詩308/2/27 17:49
「寝息の行方」自由詩008/2/26 18:33
「コラージュ」自由詩3*08/2/25 17:37
「waste」自由詩1*08/2/22 19:47
「seek」自由詩4*08/2/21 17:50
「ノコリモノ」自由詩4*08/2/20 19:48
「人波の中で」自由詩3*08/2/19 22:18
「離別」自由詩0*08/2/18 17:50
「ラバー」自由詩008/2/14 16:01
「線区」自由詩1*08/2/13 19:55

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