しゃりしゃりの
あいすを
しゃりしゃり
きのすぷーんでくずして
しゃりしゃり
ふたりならんでたべる
リリコちゃんのかっぷは
つぶつぶふるーつあじ
ひかげのべんちにならんで
がーと ....
                           (喪失の物語)



彼女が大切にしている
ガラスの瓶には
嘘のかけらがたくさん詰まっていて
かけらをひとつ噛み砕くたび
嘘をすら ....
カタカナの文字をでたらめに選んで
並べてみる
見たこともない言葉ができあがる
けれどたいていは
どこか遠い国の言葉を探せば
なにがしかの意味が見つかるだろうし
ネットで検索すれ ....
陽射しはとても強くて
カーテンなどやすやすととおり抜けて
部屋を照らしだしている
テーブルも花瓶も
新聞入れも出しっぱなしの掃除機も

土曜日だからスーパーの朝市の牛乳が安い
車 ....
底なしだから絶対に近づいちゃダメだ
あなたはわたしの手をしっかりと握りしめて
沼の縁から大きく距離を置いて
濁った水面に視線を落とした
ときどき
得体のしれない気泡が浮かびあがってきて
 ....
                           (喪失の物語)


特別な出来事や心の高ぶりが生じるたび
これこそが本物に違いないと確信して
彼女は自分の胸のなかから気持ちを慎重に ....
                           (喪失の物語)


とうの昔に
すっかり涙が枯れてしまって以来
悲しいことがあるたび目の奥を耐えがたい痛みが襲い
彼女は辛い毎日を ....
                           (喪失の物語)


毎日の記憶が体積して
棚や机の引き出しや流しの下など
部屋じゅうに溢れて暮らしにくくなったので
彼女は思い立っ ....
                           (喪失の物語)


激しく気持ちが高ぶったり
物事が良い方向に動いたような時
彼女は自分の血を可能なかぎり抜き取って
大切に貯蔵す ....
                                 (喪失の物語)


彼女の胸には心臓がなく
代わりに小さな箱が埋まっていて
願いを唱えながら手を入れると
どんなもので ....
                                 (喪失の物語)


一人きりで出かけることのないよう
常に用意周到に手筈を整えていたのに
この日に限って
使える者はだ ....
                                 (喪失の物語)


その扉は森の奥にひっそりと立っていて
街からの道は途絶えて久しく
彼女がその扉を見つけたのもほんの偶 ....
                                 (喪失の物語)


毎日ひとつ届けられる包みには
友達が一人入っていて
特に拒む理由もなかったので
彼女はそのたび家に ....
                                 (喪失の物語)


彼女は朝から晩まで身を粉にして働き
一生食べて暮らせるだけの蓄えを得た
そこでだれにも奪われないよう ....
                                 (喪失の物語)


とにかく踏んだり蹴ったりの一日だった
街のすべてが彼女を潰そうとし
行動を否定し足元をすくい莫迦にし裏切 ....
                                 (喪失の物語)


森の奥深くにひそむ家で
少女は長いあいだ一人きりで暮らしてきたが
一生に一度くらいは
だれかに囲まれて ....
とにかく王様は目を輝かせて
いくさだの狩りだのと飛び出したきり帰ってこないし
王子たちは毎日飽きもせずに
女だの武器だのと目につくものに見境なく手を出す有様で
臣下たちは強欲を隠そうともせ ....
窓から
手を外にのばして
ひとすくい
そっと運んで
お茶のポットにほうり込む
ときどき
遠いところから
なにかが軋む音が聞こえる
ごく短いあいだ
輪郭に力が加わって
内側の一番 ....
部屋じゅうを
きれいさっぱり片づけて
いらない物をぜんぶ処分した
残ったものは
リュックに半分もなかった
大切なことが
いくつもあったはずなのに
どうしても思い出せなくて
リュック ....
駅からの帰り
長くつづく塀のすみっこで
ダイヤルを見つけた
それは黒ずんでいて
たくさん目盛りが打ってあった
そっと触れると
ダイヤルは手にしっくりとなじんだ
銘板が空欄だったので
 ....
虫の声に引き寄せられるように
夜のあぜ道に
あなたは踏み入れながら
ロケットパンチ
と腕をぐるぐる振りまわす
もうすっかり夜更けだというのに
月は今日も姿を見せない
虫はひどく無防備 ....
仮想遊園地へ行った
こっちこっち
手を引かれるまま
仮想の列にならび
きゃあきゃあ歓声をあげて
仮想ソフトクリームを頬ばって
どっかり
仮想ベンチに座り込んだ
お弁当持ってくればよかっ ....
塑性変形
とは
もとの形
が損なわれた状態をいいます
バターを塗って
パンをかじる
牛乳を飲み干す
あなたはよく
わたしを褒めてくれた
許容応力
とは
塑性変形
が起こらな ....
空きカンの残りは
あと二つ
小石を拾いあげては
投げつける
くり返し
とんでもない方向に
消えていく
おおい
こっちだよどこ投げてんだよ
投球フォームを
親切に教えてくれるあな ....
手のひらで
右目をふさいでみる
知らないだれか
が笑っている
手のひらを
左目に移してみる
知らないだれか
が笑っている
手を下ろすと
二人が重なり合って
あなた
ができあが ....
むねのなかに
がらすだま
があるんだっておもうと
うまくいった
らむねのびんみたいに
がらすだまを
くぼみにひっかければ
ことばだって
ちゃんとでてくるんだって

すきなこと
や ....
タイセツなヒト
が死んでしまった
ケムリはまっすぐに
ソラにのぼっていった
タイセツなヒトを想うたび
頭のなかで
スイッチが入った
かち
音がして
タイセツなヒトで
キモチがい ....
小さな球体のうえに
ひとり立っている
ほんのすこし歩くだけで
一周してしまう
表面は平坦で
どこにもなにもない
踏んだ部分
がすこしだけ窪む
歩いた軌跡が窪んで見える
窪んでいな ....
おしまいのひ
がやってきた
おきにいりのふくをきて
しっかりごはんをたべて
にゅうねんにはをみがいて
あたらしいくつをはいて
いってきます
そとへでた
きもちのいいかぜが
ふくた ....
よみかけのぺーじに
しおりをはさんだまま
どこかへいってしまった
しょうせつ
つづきなんて
よめなくてもへいき
なはずだった
たいくつになったら
また
べつのほんをかえばいい
 ....
アンテ(350)
タイトル カテゴリ Point 日付
あいす自由詩2*06/8/29 1:58
嘘の物語[group]自由詩406/8/22 1:13
瓶を割る方法自由詩606/7/12 2:54
水路自由詩106/6/13 2:29
自由詩506/5/21 23:43
気持ちの物語[group]自由詩006/5/9 0:52
涙の物語[group]自由詩306/4/13 0:38
記憶の物語[group]自由詩6*06/4/1 22:15
血の物語[group]自由詩106/3/22 1:04
欲の物語[group]自由詩16*06/3/16 0:00
身体の物語[group]自由詩4*06/3/8 23:47
扉の物語[group]自由詩2*06/2/22 2:51
友達の物語[group]自由詩106/2/13 9:26
富の物語[group]自由詩106/2/9 2:13
街の物語[group]自由詩106/2/4 7:11
終わり[group]自由詩2*06/2/1 1:31
自由詩206/1/22 22:54
クロスワードパズル自由詩306/1/19 2:11
一歩自由詩305/12/5 2:25
ゼロの方自由詩205/11/10 23:25
いっしょにいる時間自由詩205/10/29 18:06
ゆっくりと私たちは自由詩1*05/10/25 22:45
変わらないもの自由詩105/10/19 23:33
いったいなにを自由詩405/10/16 23:18
だれか自由詩305/10/15 8:54
らむね自由詩10*05/9/28 0:16
アメ[group]自由詩3*05/9/24 6:02
窪んでいる自由詩4*05/9/12 0:16
んっ[group]自由詩10+*05/9/4 17:43
をおもう[group]自由詩405/9/3 22:18

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