唄い終えた後に
「宜しかったら
食事をご一緒しましょう。」と
ネパールの
家庭料理バイキングに誘ってくれた
国際交流に参列してる日本人の中には
手で食べてる人も居て
あぁ。ボクは ....
ボクは
母親に頼まれた「北海盆唄」の
一番だけを繰り返し唄い
そして
少年は
母親の指示に従って
ボクから教わったばかりの
日本のリズムをテーブルの端で
叩き続けてくれたのだ
即 ....
せかされ
無視され
いじめられ
無神経で
無礼で
非寛容な
残酷な場面に
遭遇した時に
見て見ぬ振りをしてしまう
時に
沈黙は
それら不正を
容認することになる
共感 ....
セクシーな超ミニのタイトスカート
小さめのハンドバッグ
エナメルの赤いハイヒール
ボディラインをのぞかせて
ボブヘアのケバイ女性に
すれ違いざま進路を塞がれた
「みきょうさん。
小林 ....
軽自動車で
唄い流れていた時
今のような
音響機材一式を
積める軽バンじゃなかったから
寝袋とギターと唄本と
衣装だけで移動していた
一番困るのは寝る時
宿なんかに泊まれないから
....
国際交流のアトラクションで
着物と狐面、腹掛け、手甲のステージ衣装で
唄っていた時に興味を持って
放歌後にカタコトの日本語で
声をくれた三十路前くらいの
白人男性が居た
お面に関しては ....
たしか
あの頃のボクは
人混みに紛れながら
孤独に苦しみ
絶望していたのだ
星さえ見えない
昼間のような夜の繁華街で
ビルとビルの間を行き交う人々が
楽し気に見えて
何もかもが羨 ....
自殺念慮
自殺企図のある患者には
効果があるんだ
薬物治療より
電気痙攣療法を好んでた
老医師は
第二次世界大戦中に
ロシアに軍医として渡り
襲ってきた露助の右眼窩を
軍刀で突き ....
中学の卒業式を終えて
通学バスに乗って
其々が停車場で
降りていく
終わり頃に降りる生徒は
後ろの席に溜まっていた
卒業証書の入った緑色の
筒を片手に
高校への夢なんかを
語 ....
「足萎えの人魚」って
人魚には
足が無いっしょやぁ
だから、それは
人間になった人魚のことさ
満ち足りない希望を
欲望に換えて
「海に沈む狐」のように
漣に涙する夕日に向か ....
「ハトと一緒に
風呂に入ってよ」
働き先から
帰宅した妻が言った
「分かったよ」
そう言って
沸かしてた風呂に
入学前の娘と
入ったものの
温めの風呂でも
ノボセて ....
一番最初
病院に勤めたのは
脳外科病院だった
院長先生がこれからは
男の看護婦が
手術室で勤務すべきだと
雇ってくれたのだ
男性用の更衣室やトイレも
設置しなければならなかった ....
閉鎖病棟が詰所を挟んで二棟ある
重い認知症の老人病棟と
長期入院者の居る慢性期病棟
看護日誌を書き終えて
休憩室で休んでいたら
詰所が騒がしくなった
二名の看護助手が
病棟で老人 ....
小学校の時
転校してきたボクは
ヒョロヒョロの
末成りの青瓢箪だった
クラスで仲間外れに
されない為に
必死でお道化ることを
覚えて剽軽者になる道を
選んだんだ
タッカは
....
カミノクニの
アマノガワ近くに住む
神降ろしの婆が
病んでいるボクに
約束して
守らなかったことが
あるはずだ
八百万神に伺いを立て
深く頭を下げた後
おもむろに言った
....
病院に勤めて初めての忘年会の
早く終わった二次会で
ほろ酔い気分でヒロミが言った
このまんま帰るのは勿体ないから
どっか面白いトコに行こうぜ
まだ着こなせられない背広姿で
ネオン街 ....
夕方に
スーパーマーケットの食品売り場で
品定めをしながら
行ったり来たりしていたら
中年女性から、突然
「イタヤ君⁉」と声を掛けられた
吃驚して声も出せず
マジマジと見詰めてる ....
兎に角お金が無かった
手っ取り早く稼ぐのに
趣味と実益を兼ねた商売に
ホストになろうと思い立ち
当時
梅宮辰夫の店で知られていた
「レデースクラブ梅宮」を
面接しようと電話したが
酒は ....
地方巡業にも格付けがあるらしく
歌手とマネージャー二人で
車で移動しながら
キャバレーやクラブを
巡業していた演歌歌手の
付き人をしたことがある
演歌歌手は移動中
のど飴を舐めながら ....
死ぬまで泳ぎ続けるしかない魚
泣きながら泳ぎ続けているけれど
海の中だからその涙は誰も知らない
それは、いつの頃だったのか。
詳しいことは忘れてしまっ ....
びびちゃんは
こぶしの咲く頃になると
やってきては薪割を
してくれたもんだけど
板谷さんは
毎年来るけど本当に
何もしない人なんだねぇ
耳は遠くなって
足腰は弱ってきてるし
....
他人には言えない
絶対に誰にも言えない
しでかした酷いことが
両の指にも
収まらなくなった頃
彼女は、具合悪そうに
「夫に言われて中絶してきた。」と
告白した
それを聞いて
....
約束の虹や 導きの星も
信じられない 暮らし
泥にまみれ のたうち回り
あがきもがき 苦しみ呻き
泣き叫ぶだけの人生に ハレルヤ
忌まわしく おぞましい
むごたらしく 素晴らしい こ ....
初めて「結婚したい」と
思ったのは16歳の時だった
別の町に住む
別の学校に通う
一学年上の女性だった
狸小路の階上喫茶で
話し合ったり
季節外れの浜辺を
散歩したり
「 ....
病院に勤務していた頃
「私には霊感があるの。
霊感体質なんだよねぇ。」と
言っていた独身で年配の
先輩看護婦さんがいた
ボクはその看護婦さんと
夜勤をするのが
凄く苦手だった
....
伊達の喫茶店で唄った後に
店主に紹介されて
火山灰を釉薬にしている陶芸家の居る
洞爺湖に向かった
あの時
何か手土産を持って行ったと思うが
何だったのかは覚えてない
けれど
当時は ....
果樹園農家の娘だった
浅黒くて小さくて
ボーイッシュな可愛い
女の子だった
お似合いのカップルだと
囃されてたけど
そんな学友の言葉を
満更でもなく
聞き流していたっけ
実際 ....
一か月の半分を歌い歩いていた頃
いつも隣町の移動から
「これはっ。」という飲食店に立ち寄り
コーヒーを注文したり
食事を頼んだりして様子を伺い
一息入れてから
「実は、今ツアー中なんですけ ....
末娘が10歳の誕生日を迎えた日
7歳上の長女と妻は
誕生日のプレゼントを
用意していた
ボクはと言えば
実は
すっかり誕生日だったことを
忘れていたのだ
ねぇ。お父さんは
何 ....
ボクの髪がボソッと抜けて
君も同じになったら
幌延・泊はヤバいだろうから
引っ越ししようよ
古びた町に活気を戻そう
そんな願いにつけ込み
見栄えを良くした原爆みたいの
持ち込むそうだ ....
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