こんぺいとう 目を閉じ頬に手 しゃりしゃりしゃり
たったひとつで 幸せの姫
ケチャップで うさぎが先っ! ぞぉーが先っ!
コラコラ押すなよ ほーらこんなになっちゃった
{ルビ祖父祖母= ....
今日は
どんな空を駆けてきたの
泣いた子 笑った子
みんな輝いて 一目散
おかえりなさい
この胸に
おかえりなさい
この温かい胸の、内に
第十位 ネコ
すりぬけて 君はいつでも 孤高の天使
気のない素振り 耳だけ向けて
第九位 キリン
見くだすのは 背もプライドも 高いから
寝るときくらい 横になれば?
第八位 アザ ....
{ルビ故郷=ふるさと}に近づく列車
向かいに座った女性は
首のすわりかけた赤子を
前向きに抱えていた
一瞬、驚いたあと
すぐにうつむく仕草は
内腿の{ルビ痣=あざ}を
男子生徒にから ....
今宵も匠は
あざやかな手つきで
ガラス球をつるり
音もなく水槽に沈める
瑞々しい、青とグレイと白の珠
覗き込むたび
妖しく映ろう彩雲は
硬く閉じ込められていて
届きそうで、届か ....
ねずの波間に
抗う術もなく
不規則に浮き沈む夜は
瑠璃のしずく
そっとほどいて
乳白色の束を覚えず
春の浜にまどろむ
理不尽に打ちあげられし
砂にまみれた海藻は
幸か 不幸か ....
帰らなくてはならなかった
ガード下の公園
オレンジと灰色の記憶
あれはいったい
どこだったか
ガムの包み紙の甘い香り
急すぎる石の滑り台
の冷たさ
風はどこからかやってきて
....
追いかけてきたものは、何であったか
追いかけるべきものは、何であったか
あの蒼々 あの爽々
届くはずもないと{ルビ諫=いさ}められても
羽ばたく自由まで
奪われたわけじゃない
....
気持ちのいい場所で
気持ちのいい格好で
吹かれていたい
風に
ただ、風に
こらえても ゆがむくちびる ふるふるふる
うるみ零れる おかっぱの髪
パパあげる 玄関先で 待ちわびて
握り続けた シワシワの春
負けないぞー きいろい声は どこいった
頭ならべて ....
富良野に行こうと思うのさ
もちろん君を連れてさ
そりゃーいいところさ
水色の空の下で
パステルに揺れる
あのラベンダーの薄紫をすくって
両手からこぼれる
光の匂いを
嗅ぎまくりたい ....
小さなホールケーキ
真ん中に添えられたクッキーには
“パパ たんじょうび おめでとう”
みどり色のロウソクがひとつ
中ほどがポッキリ折れていて
むき出しの白い芯が
辛うじて身体を支えて ....
春を待ちきれず
同棲を始めたと喜んでいた貴女は
近頃、思い悩んで
すっかり痩せてしまっていたという
(僕が、よう怒れへんかったからかなぁ
お父さん、つぶやいて
肩を震わせる
一週間前 ....
ピチリ
動きが止まる
その瞬間をねらって
ピチリ
(爪は、どこまでのびるの?
問われた僕は
細心の注意を払うあまり、つい
どこまでもだよ
なんて
いい加減に答えてしまう
....
ママのこと、あいしてるんでしょ?
無垢な眼差しで見上げる
君のおでこの感情モニターは
微かな嫉妬色
もちろんだよって即答したけど
実はよく分からなくなっているんだ
たぶん僕のモニターは ....
厳かな表情は
白い和紙に包まれて
丁寧にしまわれていく
もうしばらくは
という
僕の意見は
宙に浮いたまま
ぐずっていた子供たちは
いつのまにか嬉々として
桃、橘と桐箱の中へ
....
(くもはしろいだお
と、ノンちゃん色鉛筆の箱をひっくり返す
あいにく白い色鉛筆は
どこかに失くしてしまって
ノンちゃん覗き込むけど
箱はからっぽ
みつからない
ノンちゃん白い画用紙広 ....
放置された畑 咲き並ぶネギボウズ
バコン バコンと
プラスティックバットを振りぬいては
浅緑を空の彼方に弾き飛ばした
なぜそんなことをするのだと叱られたが
ネギボウズの高さが
ちょうど僕ら ....
手が
どうしようもなく震えてしまうので
病院へ行った
先生は左耳で一通り話を聞いたあと
(背中が汚れていますね
と、わかりきったことを言う
一列に並んで
背中を洗っていた僕の後ろには ....
遠い昔、つき合いっていた頃に初めてあげた
小魚のシルエットの素朴な首飾りを
さりげなくつけている君が好き
通りすがりの子犬や
抱えられてる赤ちゃんを見つめるときの
黒い瞳が好き
お ....
陽だまりの底
君は積み木を重ねる
覚えたての唄
あやふやな旋律が
転びながら流れゆく
楽しげに
また ひとつ
舌足らずで
まちがいだらけの詞は
君に届いた色
そのままに ....
***** 妻へ
ねぇきみ
文金高島田と南京玉すだれは語呂は似てるけど
全然ちがうんだ
お色直しで再登場する新婦が
「さては なんきんたますだれっ!」
ってやったら会場は大騒ぎになるは ....
僕は汁だ
先代から受け継いだダシに
自らの厳選した経験を加え
己の舌を信じ
独特の旨味を抽出したつもりだ
まだ完成したとは思っていない
君は麺だ
やわらかい泡で
大切に茹であげられ ....
家出した
2軒先のオモチャ屋まで
所詮そのくらいの意気地
模型電車のガラスケース
豆電球が優しくて
何度も何度もトンネルを覗いた
眼鏡のオヤジが
オデコで睨むから
負け犬のように店 ....
いったい誰がどうして落としたのか
道端にポツンと淋しくひと袋
飽食なこの国の片隅に置き去りの
真っ白な「えのきだけ」
その宿命をまっとうできないまま
秋風にさらされて
さぞ寒かろう さぞ無 ....
(またぁ〜?
鼻声でぼやきながらも
まだ真っ白いきみは
名を呼ばれれば起き上がる
腹筋に力をこめて身構える僕と
わずか三行で寝付いた妹の間を
髪を揺らしながら
へこまし、へこまし
....
食卓の新聞紙をめくると
塩サバが現れた
よく冷えていて堅い
奥歯で静かに食む
ガタガタと襖が開いて
まぶしそな顔
(パパおかえり
(うん、ただいま、寒くないかい?
向かい側にぺたん ....
ねぇびっくりさせてあげようか
この指輪自分で買ったって言ってたけど そんなの嘘
エエッ!
拾ったの
オオッ?!
ねぇびっくりさせてあげようか
隠し子がいるの
エエッ!
あなたの子よ ....
海に落とした万華鏡
ゆらゆら沈んでゆく
閉じ込めたはずの
いくつもの輝き
永遠と信じてた
哀しみの水圧に耐えかねた、刹那
万華鏡は音もなく弾け
また
とろり、とろり
もう ....
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