速度0から
バスがゆっくりと動き出す。
時間は命だ。
そんなのは嘘だ。

ただ、私は時給0円で待っている。
家につくのを。

景色が展開する
街が離れる。
ごちゃついたものが
夜 ....
風呂に沈んだ
身体が遺跡に見えた。

柱のように突き出た腕。
その虚像は
透明になって
水底を示す。

膝小僧の下に沈む
屈折した太もも。

揺らめき
遠くて
藻が生えるくら ....
やわらかい土に落ちた
家の影に
夜明けの前からやって来た
霜柱が永らえる。

昇った蔓が
黄色に朽ちて、
這われた街路樹は
もう葉っぱを落として
とっくに裸になっていた。

揺れ ....
裁断された
光チューブの切り口が
ブラインドから
漏れた光をかき集めて
輝く。

僕らを見ているように。

作業台の向こうで
男達が今後の休職者の扱いについて話している
滞りなく
 ....


背中を掻くための
指を
探している野良猫。

部屋で
キーボードを打つよりは
ぬくんでる
私の手。



天国にも
地獄にも
振れている指先。

どちらにも転 ....
霜月
本当に霜でも降りそうだ。

昼間の怒りの感覚と
冷たい夜との温度差で
自分の頭が軋むとき

暗闇で虫が鳴いているのが聞こえた。
コロコロと。

お前達の行く先は
冷たくなる ....
しなり始めた
枝から
柿の実が
柵を越えて
こちら側に落ちる時

左手を盗られた
蟷螂が
無い鎌を振り上げ、
僕を威嚇した。

蜜柑の実が
溶け込んでいた
緑の保護色を脱ぎ去 ....
山の中
黄色と茶色のまだら紅葉は
掌の中で息づいた。

街中
完全なものが商品棚に並び
行き交う
肥えすぎた瞳。

選別されたものしか知らない。

他人も
自分も不細工に見えた ....
一つ欠けた
七本足を交互に繰り出し
ふわついている胴体は
地べたの感覚を知らないだろう。

ボウルを走る小さな爪音は
また繰り返し
中央に滑り落ちる。

つまみ上げ
逃げさる蟹は
 ....
廃棄物のコンテナ脇で
カナブンが干からびている。
森は遠く
工場地帯は乾いている。

迷い込んだ旅人を
夏空が灼き、
アスファルトは土中に
逃れる術を阻んだ。

白髪の課長が
芝 ....

くっきりと青く
強い風に稲穂が一同
首を傾けた。

蛙が鳴いて、姿は見えず。
静かに浮が流れる。
小さな針にグルテンの繊維を絡ませながら
遠心力で飛ばされる
何回も。

影が ....
漁港にひしめいた
マストが
祝祭のように
日常を震わせる。

青年は老人に
釣った魚は逃がすと言った。
地球の重さを
変えたくないから。

団地に干された
数百のお布団から
立 ....
針葉樹は
規則正しく並んでた。
土に触れると
乾いた音たてた。

スコップは
あっけなくささった。
根が通っていない
がらんどうの土の暗闇へ

かつて
繁茂していたものは
下か ....
シャーレ
喝采をあげて赤い綿毛が一斉に広がる
緑の胞子が満ちて森をつくる

コンタミネーションを起こして
白い培地で紡がれる微かな物語。

三十七兆分の細胞は
ただの傍観者に成り下がる ....
六時起床
夕焼けのような朝日を浴びる

オレンジ色の卵
ニュースキャスターがヒステリーを起こす頃
目玉焼きかオムレツの分岐を右に曲がる
エネルギー収支で釣り合う選択を
自由と呼んでいる。 ....
茜さす
老人のベッドにも
子供のホッペにも

立ち止まる
荷台に括られた硝子板が映す
へつらった曇り空

思い出す
お互いにアクリル板を見つめてる
私/老婆

茜さす
厚塗り ....
短冊状の虹の中で
7人の独りぼっち達が泣いている。
調和の為に
触れ合う事が出来ないって

白い光の中で
沢山の色達が泣いている。
自分の居場所を
見出すことが出来ないって

孤独 ....
アレが来た夜
紫色のコガネムシは
仲間の死骸を食んでいた。

ニュースキャスターは
アレの被害者をランキングにして
並べて分析して
怒りを露にしながら
内心
自分がアレになっていない ....
目覚める様に

青い蕚を打ち破り
その帆を揚げろ
綿毛の帆船

種子達は
決して掴めはしないが
その手に
手繰り寄せる
その無軌道な「運命」を

さぁ、時間だ

お互いがバ ....
棚から無くなってしまった45X円のサラダ

他の商品が代わりに入っている

千切りキャベツとブロック状にカットされた豚肉

そこに、ナッツが散りばめられて

噛んだときに、コリッと弾け ....

傘を持ち
すれ違う人達が
一段とお互いの間隔を広げる。

工業地域の雨は
アスファルトの上で
染み込む先もなく
地下に流れて

ただ
人の世を通り過ぎる

何も
育まな ....
チョコレートの包みを開けた。

舌の熱で溶けて口の中に広がった。

みんなにも買っといてやるか、

1ケース頼んで帰る。

ピンク色の包みを机の上に置いて

「あれ、誰の? 誰のお ....
ラボラトリィ

息つけぬ、12時間の立ち仕事。

一人ぽつんと対峙したフラスコ

中には、可能性だけが眠ってる。

一人だけの部屋で気づいた。

冷蔵庫やら

排気ダクトやら
 ....
戻ってきて晩夏
アスファルトの上を蟷螂が逃げていく
コウロギたちが目をさまし
囁きの波に揺られる、、、
まんまるお月
------------------------------------ ....
asagohan(24)
タイトル カテゴリ Point 日付
ただの呼吸自由詩223/7/4 19:20
遠い身体自由詩422/2/6 21:52
動かない旅路自由詩3*21/12/22 7:41
裁断という仕事自由詩1*21/12/2 22:10
自由詩2*21/11/14 21:08
コロコロ自由詩421/11/3 13:27
秋終わり自由詩221/10/23 10:00
まだら紅葉自由詩121/9/22 7:53
欠けた蟹自由詩0*21/8/1 10:36
森を求めて自由詩121/7/18 7:47
上と下のゲーム自由詩121/6/5 22:40
日常のリハーサル自由詩121/1/17 21:15
針葉樹街自由詩220/12/24 23:26
球体シャーレ自由詩320/12/5 20:27
エンドレス無関心自由詩120/11/17 22:12
/茜自由詩220/11/8 21:59
グッバイ・フォトン自由詩220/5/17 22:31
アレが来る自由詩320/5/13 23:14
ウテナ自由詩020/5/5 9:12
45X円の消失自由詩320/4/29 18:43
傘を捨てて自由詩220/3/4 22:11
誰かしらいた日々自由詩118/10/15 22:15
深夜ラボラトリィ自由詩0*18/8/30 0:20
晩夏にて自由詩118/8/27 0:08

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