つのる想いを 夜風にさらす 祭囃子に 涙雨  目覚めたと気づく前に
 さっきまでの夢を
 思い出したいと思った

 冬の海
 君と僕
 白い波

 脈絡もなく記憶だけが
 ぽつりぽつりと
 胸の中にただよっている

 空 ....
 窓際に置かれた背の低いチェストの上で
 春の雨上がりに光る
 束の間のまぶしい陽射しに
 君はまた新しい居場所を見つけたんだ

 少しずつ変わっていくこの部屋で
 微かな戸惑いをやり過ご ....
三日ぶりに入ったその部屋であなたは
やはり窓のそばに座っていて
あなたの世界は四階の窓から見える
この建物の北側のビル群と
真下を通る車の音
時折近づいてくる救急車まで

首だけをこちら ....
あなたのなみだのわけを
いまも思っている
たくさんの傷をかかえて
くもりゆく心に光をあてたから
てらされた街灯の二人の影が
どこにいたってついてくるように、あなたとわたしのま
んなかには
 ....
車のガラス越し
斜めに深く射し込む夕陽で
季節と時を感じる
昨日の記憶と共に

彼女の部屋の窓辺に
君は今も座って
ビル越しに夕陽を見ているのか
言葉なんかいらない瞳で

街灯に灯 ....
ものわかりがよくなったような顔で
笑いも怒りもせずに
人の話を聞き
夕暮れに詩なんか書いて

夜には酔わない酒を飲み
寝つきの悪いベッドに入る
真っ暗な部屋に少しだけ目が慣れた頃
掻き ....
次々と移り変わるテレビの画面をふたり
黙って見ていた
あなたがいま
何を想っているのかはわからない
私は、ただ
あなたに届く言葉を捜して
あなたに触れる手立てを探して

いろいろなこと ....
雪の溶けたアスファルト
ゆっくりと歩く、ふたり
街灯の明かりが斜めに遠ざかって
少しまえの、ぼくが
きみの影を踏む

通り過ぎるヘッドライト
ビルの窓から漏れる光
降りだした春の雪
 ....
首筋から這わせた指先が
胸の先にかすかに触れる
少し切なそうな顔をしてあなたは
そっと目を閉じた

夕暮れ
カーテンを引いた部屋に
隙間から少しだけ
黄色い光が差し込む

言葉で伝 ....
不意にあなたが
私の前にいたのです
たぶん、あなたにとっても
私が突然現れたように
感じたのでしょう

何もないところに
ふたりで立っていました
この先なんて見えませんでした
ただ、 ....
 いつだったかな
 ベッドの中で
 嫉妬について話したことがあったよね
 ぼくは嫉妬なんてしないよ
 って、あなたは言うくせに
 ほかの人と飲みに行く話をしたらさ
 いつも黙っちゃう 
 ....
 梅の花が好きな人は
 ひとりに強い人です
 でも
 もうすぐ東風が吹く
 この季節には、いつも
 ゆらゆらと降りしきる
 窓の外の雪を見つめながら
 梅が見たいと言ったあなたの
 声 ....
 夜明け前、西の空
 青白い月が微かに浮かぶ
 ぼくが吐き出した
 たばこのけむりと同じ色
 ゆらゆらとゆれているのは
 けむりでも月でもなくて
 ぼくの方だ

 月なんか見つめる前に ....
そっと、やりすごす

3月に降る雪のように
待ち焦がれた春のぬくもりを
追いやってしまっても

身の置き所もない苦しみも
雲間から射す刹那の空想も
砂浜に打ち寄せる静かな波が
押して ....
ふたつのアイスコーヒーをはさんで向かいに座る女の
喉元に何故かイヤホンプラグが刺さっていて
女は何かを話しているらしいのだけれど
ぼくには何も聞こえない

滑稽に口を動かしている女は
穏や ....
踏みしめる雪の靴音は
清らかに固められた冷気のこすれるような強情さで
色の薄い太陽と
水を透かしたような蒼の空

登校する子供達の歩道の
一本道が少しずつ踏みしめられて
坂下まで続く
 ....
トイレで詩集を読んでいると
にゅるんと、出てきた

これはいい、便秘知ラズだ

お尻を丁寧に拭き、パンツとズボンを上げたあと
家中にある、たった四冊の詩集をかき集めて
トイレに並べる
 ....
 こういう真新しいチェーン店のカフェにはほとんど立ち寄らないのだが、入ったのには理由があった。
 ここには、今どきのカフェには珍しく喫煙室があるから煙草が吸える。
 慣れないカウンターでコーヒーを ....
昼間なのに少し薄暗い北向きのカフェ
観葉植物の傘の下で
大きな背もたれのひじ掛けがついた椅子に深く腰掛け
背中の後ろ、ガラス窓から差し込む少しの陽射し
店内には静かにジャズ

まったく僕は ....
秋の細い雨が降る朝
毎日通る通勤路の道路脇に
今日も静かに、丁寧に置かれた小さな花束
三年
置かれる花は変わってきたけれど
変わることができないこともまだあるのだと気づく
止まってしまった ....
 久しぶりに訪ねたカフェは、何も変わっていないはずなのに、やはりどこかが少し変わっているような気がした。
 玄関を入る前にマスターと目が合うと、マスターはガラスの向こうで小さく頭を下げた。僕のことを ....
土曜日の午後
少しけだるい空気の中で
僕の前に座る女と
その後ろの大きな観葉樹
いつも小さな女の話し声が
今日はより小さく感じて
僕にはいくつかの言葉を聞き取ることができない

それな ....
高林 光(23)
タイトル カテゴリ Point 日付
つのる想いを【都都逸】伝統定型各 ...119/6/5 18:40
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だから自由詩519/5/8 9:17
ラブソング自由詩019/4/24 18:21
夕陽 〈彼女の猫とソネット〉自由詩119/4/24 16:11
夕暮れに詩なんか書いて自由詩619/4/9 8:39
再会自由詩419/4/6 18:14
かげにかくれて自由詩019/4/6 9:03
このまま自由詩419/4/4 16:22
約束自由詩119/4/1 13:02
こわれもの自由詩219/3/30 10:15
梅の花、ひとり自由詩219/3/29 10:30
見えない流れ星自由詩219/3/28 13:12
やがて空に星と月自由詩519/3/26 9:36
からまるイヤホン自由詩118/8/23 8:59
冬の朝の詩自由詩418/4/3 9:14
詩集だけ残った自由詩318/3/23 10:16
ドトールにて自由詩316/11/8 16:09
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