写真を撮られると
いっしょに魂を吸いとられると
誰かに教えられたか
何かの本で読んだ事がある
わたしは
嫁入り道具の箪笥の引き出しの中に
一冊の
集合写真のアルバムをしまい忘れていた ....
日が傾き日が落ちるまでの間の時間帯が好きだったよ
中学の頃さ
家から学校までは十キロ近くあって
毎日自転車で通学した
きつかったな
ほとんどが急な坂道で上ったり下りたりした
冬場は体が ....
そのとき
私はゆうに百歳を越えていました
しかし
若い頃に思ってもいなかった長寿は
私に多くの不幸をもたらしました
私の周りは皆死んでしまい
私は見事に一人ぼっちになってしまいました
....
夜中に目を覚ましてしまい
それから朝まで眠れなかった
夜が明けた頃
カラスが鳴き出した
そのぶきみな鳴き声に
何だか不吉なものを感じた
以前
道に放置された猫の轢死体の内蔵を ....
一般庶民の一般ってどれくらいなんだろう
お金に換算すると幾らなんだろう
愛情で見積もるとどのくらいの重さよ
何だか的はずれな事を言葉にしてるな
残念ながら
私は一般庶民の域に達してな ....
人前では笑わなかった
笑えなかった
あの頃
何でだろ?
解答はみつからなかった
一言で片づけるなら
ネガティブな性格だった
それに相当する顔が出来上がっていて
どうやっても剥がせな ....
天国へは針の穴を抜けていくらしい
むかし誰かに教わって
なるほどな
と思った
勿論
遺体が
針の穴を抜けられる訳がない
でも
霊とか魂ならば抜けられるだろう
私もいつか死なな ....
神々の涎の一滴から人間は誕生したらしい
なんて
何の根拠もない噂が巷にながれていた
俺はそのころ旅の商人
毒蛇の
乾燥した肝を売りながら
旅していた
肝は行く先々でよく売れたが
....
目を瞑ると
そこにある闇の中にあらわれるスクリーン
つかの間の映像がながれる
モノクロの景色の中に
幾つかの顔があらわれる
けれど
どうしてもある特定の人物の顔が捉えられない
そ ....
ママの豊満な乳房
そしてかなり敏感な乳首から
申し訳ないけど
ミルクだけ搾取させて頂いてました
右も左も
物事の道理もまったくちんぷんかんぷんな
赤ちゃんだって養分は必要不可欠ですから ....
施設の部屋を訪ねると
縦長の狭い部屋にはベッドが二人分縦に並べられていた
殺風景で閑散としていた部屋の中には
それぞれのベッドの側に簡易の便器が置かれていた
部屋の中に立ち込めた臭気が鼻を ....
ブレーキがまだついてなかったに違いなかった
人間を制御するブレーキが
人前を憚らず
女のこの幼児が自分の下着の中に手を入れて触っていた
恍惚の表情を浮かべながら
若い母親は立ち話をし ....
哲学は何も持っていません
青々と晴れている空は好きです
毎朝
仕事前に立ち寄るコンビニのレジの
可愛い女のこの
営業用スマイル
嫌いじゃないです
男だから
単純に異性には顔 ....
気づいたら
私は
この地球の上で歌詠む人になっていた
星は
星の数ほど有るらしいけど
私は仮の住まいを地球上に選んでいた
のです
その時
私は大都会の一隅で
一人の男性にひそかな ....
男ごころと
女ごころと
人間の心には
形も色もない
男の体と
女の体と
人の体には
確実に
形と色がある
目でみて
耳で聞いて
鼻で嗅いで
手で触れあえる
お互いの体 ....
辺鄙な山あいを川が流れていた
普段は大人しい川。水嵩は少なかった。
その辺りは地図の上では町と村の境目。
上流が村で下流が町だった。県道が一本中央を貫いていて町と村を繋いでいた。
もしその ....
恐竜の時代に生まれて
恐竜にはなれなかった
人間の時代に生まれて
ヒトに選ばれて産まれたんだが
次の時代は
巨大な隕石になって
この地球に衝突したい
そして次の時代は
地中 ....
苦を重ね悲を束ねて寒を耐え
その末路散って腐った花を踏む
空高く地に果てがなく日は一輪
ブランコを揺らして哭いた木枯らしが
眼が冴えて眠れない夜は
羊の数なんて数えてられないから
初恋から現在に至るまでの
好きになった異性の名前を頭のなかのホワイトボードに
書き出している
異性に持てないくせに
一目惚れの癖 ....
夜道
突然何かがヘッドライトに浮かび上がった
猫だと直感した
避ける暇もなくブレーキを踏む間もなかった
瞬間、タイヤが踏んで ぐしゃり 鈍い感触があった
が
そのまま通り過ぎてしまった
....
上級詩人の奏でる言葉に
聞き惚れる
そんな時代もありました
昔は僕のこころも美しく澄んでいましたから
今はすっかり皺がはいり
皺のなかに埃が溜まって
上級詩人の奏でる言葉に
耳が ....
人並みに生きるって案外難しい
スプーンにいっぱい分の幸せを測るより難しい
パンひときれ分の幸せがあれば満足
それとも地球一個分なければ不満足
欲望が煮えたぎり
吹き零れそうだ
....
涙混じりで見た空と
渇いたこころで見た空に
何も違いはなかった
筈
人は人だし
俺は何処までも俺だから
人の眼に写る空と
俺の眼に入る空の景色は
きっと違う
筈
孤独を噛み ....
反抗期にはどうしても素直になれない自分がいた
ある日
母親と些細な事で口喧嘩した
ひ弱な体型だった私は
さすがに暴力まではエスカレートできなかった
が
「煩いんだよババァ」罵ってしまっ ....
私じゃないもう一人の私が
私が眠る頃を見計らって枕元に現れる
私じゃないもう一人の
私の顔色はいつもわるくて
薬の袋を手に持っている
私じゃないもう一人の私は
薬の袋から錠剤を取り ....
普段から優柔不断の私は一見優しく思われるかもしれない
だけど私と言う人間を支えているこころの仕組みは
いたって冷淡である
たとえ熱を加えられてもその構造は伝わりにくいので
温度が上がらない ....
正しい箸の持ち方を知らないままに育ってしまった
正しい箸の持ち方なんてあることさえ知らなかった
その認識皆無だった
正しい箸の持ち方を知らないままに人の親になってしまった
正しい箸の持ち方 ....
耳の奥に蝉が棲んでいる
みんみん蝉だ
うるさくてかなわない
一本木が立っている
一本どころじゃない
何本も立っていた
何本の騒ぎじゃない
数えるのもいやになった
林から森になり ....
人前を憚らないで発情し身悶えてるよ愛しい猫が
鬱になる鬱にならない人の差を鬱になるほど思い悩むな
足りてでも満ちてないんだ毎日がそれがさびしい慰めをくれ
踏み切りの線路の上の陽炎か儚 ....
大洗の海がすこぶる荒れていた
無理ないよ
台風が近付いているんだから
海は遊泳禁止になっていた
当然だよ
季節が外れていたんだから
水族館の駐車場に車を停めた
台風が近付いている ....
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