見た目にぱっとしない男なんてざらにいる。
人柄は良さげで真面目で誠実そうで、なのに活気と男の華と色気を持ってないから、女はなびかない。ついていかない。
男だって外見、清潔と身だしなみのないやつは女 ....
当事
彼は三十代の半ばで独身だった。アパートで単独生活をしていて、恋人も同性の友達もいなかった。
職場まではバスで通勤していて、毎日が単調な日々の繰返しだった。
実家にほとんど帰る事がないのは、 ....
その産声も周囲の空気を震わせて
その場に居合わせた何人かの鼓膜に音を伝えたに違いなかった
その時の周囲の人間の喜びと安堵がどれ程のものであったかと想像しても、すべては遥か昔話だ
本日、選 ....
悪魔の囁きをきく事がある
て
言うよりか
私の正体そのものが実は悪魔で
普段は人間の囁きに耳を傾けながら
生活していると言うべきなのかも
しれない
当然
私の中では
たえず悪魔と ....
知り合いに実に可哀想な男がいた。
俺と同様に洋食のコックだった。東京の下町のレストランで見習いから始めて、そこに十年近く働いた。
なんとか一人前の職人になった頃、父親に呼ばれ郷里の町で父親の資 ....
美しいものの正体が
そのまま
美しいとは限らない
おぞましい化け物が
人の内面には隠れ潜んで
いるからさ
今朝
家の駐車場で蛇を発見した
蛇はゆるしがたいいきもの
ゆるし ....
おにヤンマを捕まえて
その片方の足に糸をくくりつけて
飛ばした
それは
ほんの遊び心だった
子供の頃の
無邪気だったから
その残酷さに
何も気づかなかった
そうこうしてい ....
そこは砂漠のど真ん中じゃなくて
海辺の砂浜だった
人影まばらな晩秋の海
無性に海が見たくなって家族を連れてきた
幼い娘二人と
二人を産んだ母親と
四人できた
その時
長女が ....
休日の公園で
フリーマーケットやってた
出店者達は思い思いのガラクタ並べて
言葉巧みに付加価値を強調していた
自然に囲まれた場所
物見胡散に人が集まってた
好きで詩を書いてます ....
雄と雌の蝶々が交尾しながら
日向臭い宙を飛び回っていた
周囲はいちめんの花
公園のベンチ椅子は壊れかかっていた
私もいつか死ぬに違いないが
今は死にたくない
壊れかかったベンチ ....
あたしが
まだ赤ちゃんだった頃
産んでくれたかあさんの乳房は
あたたかい海のようだった
あたしが
まだ赤ちゃんだった頃
とうさんは
ただの一人の男の人だった
あたしがまだ赤ちゃ ....
時間は鏡に写らない
写す事はできない
だけど
今こうしている間にも
刻々と経過している
人間はそれを計測するために
時計を発見し発明した
日時計
砂時計
などの原始的な時 ....
わたしはわたしを
いちばんに思う人だから
いちばんにしか
思えない人だから
わたしはわたしが大切にするものを
失いたくないものを
全力でまもりたい
わたしは
時に正義を口にする ....
もしかしたら
死んだ人の魂はちぎれちぎれになって空に昇っていくのかもしれなかった
そして
魂は空のいちめんに広がって瓦斯みたいに立ち込める
まさかまさかだよね
そんな事あるわけない
た ....
あの人は嫌い
あの人は好き
あの人はどっちでもない
そしてその他には
興味も関心もわかない
おおぜいの人
その他おおぜいの人
あの人は私に好意抱いてくれそうだ
顔を会わせる度に ....
寂れた町の
寂れた市街地には
寂れた商店が軒を並べていた
その一角
寂れた食堂には
すっかり歳をとってしまった看板娘と
厨房に立ってるその亭主が
うまくもないまずくもない
料理を売 ....
その夜見た夢の中では
終始一睡もできなかった。
真っ青な大空の下で
気が遠くなっていた
真っ青な大空の下で
空中ブランコのイスにすわっていた
ブランコが大きく揺れるから
私の ....
結婚して
娘が二人生まれた
上の娘は幼稚園にはいり
幼稚園を卒業した
小学校に入り
小学校を卒業した
中学校に入り
一年の終わり頃から
学校へ行かなくなった
正確には
....
pc 持ってないし
使えないし
だから
詩はいつもスマートフォンで打ってる
たいがいは
家族が寝静まった深夜に
寝床で寝ながら打ってる
都合のいい事に
家族は誰も
詩 ....
雄と雌
直ぐに想像がつきました
見た目に色の綺麗な蝶々がにひき
ひとつに繋がっていました
交尾してるのか
当然そう思いました
周囲は自然がいっぱいでした
街の喧騒から隔離された広 ....
すが婆さんは俺の父親の母親だが、二人は存命中すこぶる仲が悪かったらしい。
祖父は早くに亡くなり俺が産まれた時にはすでに居なかった。
すが婆さんは早くに寡婦になってしまった。
俺の父親は次男で長男 ....
詩なんて書かない方がいい
書いても
胃腸に滲みる訳じゃない
米粒ひとつわかないよ
詩なんて書かない方がいい
それより自慰でもした方が
なんぼか気持ちがよくなるよ
詩なんて書かない ....
六十四歳になってしまった
今更
文学への高い志しなんて持ってないよ
ただただ
インターネットいう海に
言葉の葦の舟で漕ぎ出しただけ
もしかしたらその行く末は
砂漠の果てに打ち上げられ ....
明日から学校だというのに、夏休みの宿題はみんな中途半端、何一つ片付いてない。
自分はいったい休みの間に何をしていたんだ。
何もしていない。ただぐうたらぐうたら遊び呆けていただけ。
肝心な宿題には ....
季語は夏装い清楚なか卑猥
閉じている股間に夕日疎ましい
脱がないと愛し合えない春の宵
蕾から咲きこぼしたわませてたの
八月。うだる様な暑さだった。
エアコンも扇風機もなかった家の中の暗闇で寝かされていた。
父親と母親の間に挟まれて川の字になって。
眠るまでは真ん中の一本線だった筈なのに何だか人間が絡み合う気配に ....
中学校の教室。
英語担任の竹林先生は中年の男性教師だった。その年齢から普通に考えたら既婚だが、それはこの際どうでもいいかもしれない。
普段は性格の温和な先生だが、授業中に突然異次元世界に飛んで行っ ....
都市伝説じゃなかった。
文字通り、地方か田舎の伝説。だから、信じるもよし信じてくれなくてもいい。
俺の父親はちゃぶ台のひっくり返しが好きだったみたいだ。頑固一徹で癇癪持ちで我が儘で無類の酒好き ....
菜を刻み男が作る味噌の汁
柔らかな妻の乳房に春迫る
側にいて温めてよ冷えた手を
しとしとと七月の朝欲情し
泣く子ども遠雷の響きに恐れなし
落雷の電気のパワーに雨呼応
若い夫婦。若い父親と若い母親。
夜中に子供が泣きだした。二人共に睡眠を無理矢理むしり取られた。
寝床から起き出したのは母親の方だ。
明かりをつけるとベビーベッドの上で泣いている我が子の側に行った ....
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