悲しき雑感

 時々、怖くなる。なにがって、自分が変わっていくことが。そして、その変化をコントロールできないことが。僕は、これまで愛し続けてきたものをおなじように愛し続けたいし、そういう自分を失 ....
 まっくらな夜。いよいよ、みんながおかしくなる時間になる。ひとり、またひとりと、おかしな言動をとめられなくなる。私は、みすぼらしいバーのソファでささやく。「あゆみをとめて、じっと太陽をにらんだ。するど .... のび太は45度の傾斜で回転している
しずかはパラソルのかげにそっとかくれた
スネ夫のせなかを割って羽の生えつつあるとき
ジャイアンは足枷の鎖を見つめている

未来のともだちのいない空き地は
 ....
 一日中、眠りに落ちていた。目が覚めると、身体の疲れはいくらかマシになっていた。しかし、それでも動き出すことはできそうになかった。あらゆるすべてのことが、どうしようもなくつらく思えて、仕方なかった .... チャッカマンが屹立している、夜さ
めしべが煙る浜茄子の丘
とおいとこから土砂崩れしてくる老人の糞便
溶解後8のマグニチュードの筆記体
「よれてゆくのだと思う、あかり、わたしの名前も」
良夫の ....
 なぜ、ここで戦う必要がある? 君の、君だけのための戦いは、きっとここではない、どこか、そこで死ぬことに価値があるような場所で、もっと、そのために死ぬことに価値があるようなもののために、行なわれるべき .... 飽和する現在時間、
思考はどこまで広がれる?
没入してって時空の裏側まで突き抜けて、螺旋を飛び越えて過去未来
行方不明になれれば僥倖。

そうして自由に呼吸する。
ああここなら心安くお休み ....
死児の乗る馬跑足で
野分立つ森を抜け
殯の宮に

石の閨房
皇后の媾合
膜翅類の王と同衾するのは黄土の媼
紫の簒奪は木霊の命の消えるときまで語られる

         ....
  線路のレールのうえを、落っこちないように両手でバランスを取りながら、歩いている。

 そのまま振り返って、「どう、上手いでしょ?」なんて誰かに言ってみたいが、あいにく私

 はひとりだ。私 ....
考えない葦の
川岸に
シグナルが、シグナルに寄りそって果てている

 /

敵意がないことが
わかる

横隔膜のへん
まず、そのようにして針をふるわせる
さびついた小 ....
 振り返ると、そこには、誰もいなかった。だとしても、Kは走り続けなければならない。実際、立ち止まったそばから――といっても、もう諦めてしまったからその行く末は当然Kにはわかっていたことだったわけだけど .... 暗闇のなかを歩きながら、想像してみた。

僕は、エジプトのあの騒乱のなかにいる。断続的に銃声が鳴り、そのたびに人々の悲鳴や怒声があがる。とつぜん、皆が走り出す。顔色が変わっている。死の感覚に周囲が ....
階段の上から三段目であなたを見かけた。

みんなみんな燃やして庭の隅に埋める。徒花に
たくさんの水を遣る。可哀想だからといいかけ
て口を噤んだすべてはこの花のために。

そこはあなたのため ....
まつげはひかるけれど、それはあなたの水ではない
雨あがりのドライアイは
公園の風景を
焼きつけるしずかな鉱石のように
まばたきをしない
「むかし、どこにいきたかったのかとか、
 ほんとうに ....
ある傾斜においてうつむくのでなく
あたまならがっくりと
垂らすせいで
きみの、
頸椎が
くらい空にすっかりひえてむけてしまい
きみの視ないものにちゃんとかぞえられる
都心から二時 ....
岩下こずえ(15)
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