初浴衣 頬に紅指す 金魚玉
あなたがぼくを愛してくれるので
ぼくはここに生きていられる
そしてまた同時に
いつ死んでも ....
強烈な台風で
日本列島がもっと太平洋よりに動いて
面倒くさいアジアから抜け出せたら良いなあ
と ....
Ⅰ<夏も終わりの>
夏も終わりの
夕ぐれの海辺にいって
大きな貝殻を ....
真実というの、
多面体について推測することを
誰かを信じたり信じない
曖昧さを拭い ....
二十代後半、夏の三千メートルの岩陵から墜ちた時のこと−
次から次に
岩にぶつかりながら
肉 ....
臨死の翳を
微かに 背負いながら
徒労の日々と 無意味の夜毎を送り 迎え
....
【あの手 この手】
あれは
てあて だったのだろうか
その手に触れた途端
理由の ....
むかし、三年ほど住んでいた中都市を車でめぐる
広大な敷地にいくつもの工業団地が立ち並び
その周辺 ....
私が私にできることは、
私が私を私からぬきとること。 ....
並ぶ。
猛暑日に並ぶ。
炎天下で並ぶ。
そんなに食欲もないのに並ぶ。
話題の店だとすすめ ....
空蝉を踏みつけ踏みつけ子がはしゃぐ
足の先までもが蝉であった殻
蝉成れず死んだのだろう重 ....
友と妻とわたしと行く
わが心気分が重く曇り空湿りいて風も吹かぬも
黒雲と風吹きだしぬ夕 ....
返事がこなくなって
1000年がたった
もしかしたらあの空の
ちょっとうすく雲がかかったと ....
どうして どうしても
美しいだけが
とりえなら
海とか空とかそういうのに溶けなかったんだろ ....
今年も八月が終わります。
もう、命日の回向すらありませ ....
青く高い空の中を白く密度の濃い雲が滑っていました
雲は太陽と道路に熱された空気の上に悠々と浮かんで ....
語れ、あなたも
最後には死ぬ者として
あなたの語りたいことを語れ
語れ
しかし自らを否定 ....
まとわりつく夏の汗
行水で流せば
あとはキンキンに冷やした至福の一杯
....
ハーバーから出て行く
ヨットの数がたちまちに増えていく春
その背泳ぎのような船の航行に
季節の ....
フィットネスクラブの一室に設けられた部屋に
ペンギンの赤ちゃんが預けられていて
胸の高鳴りが抑え ....
僕らは梯子が欲しかった
やがて起こるだろう戦争に
発狂しないよう
小さな子供を昇らせる ....
滑らかな立方体のような冬の
空気の底に
淀んだ温もりを保つ夜が
一つの過去として納められている ....
いくつもの川が
ひとつの海にそそぐ
ぼくたちは
いくつもの川のようなものだ
....
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