「風来坊ですから」
と自己紹介をして
君は笑った
八重歯がちょっとばかし
チャーミングだった ....
私はなぜ生まれたのだろう
誕生してほしかったのは
確かに母の願いだが
生まれ出でたのは私の意志 ....
冷えた氷の一片が
熱く手のひらを突き刺す
待つことを乞うように
力一杯握りしめると
氷の ....
生まれなかった椅子の名前が
ずっと心の中にある
さやかちゃんとそよこちゃん
椅子を作るひとはい ....
奇妙な絵だった。
空には赤い月
青いグラディエーションの夜空に星はない。
地平産は白く
....
缶コーヒーを初めて飲んだのは、多分高校生の頃。
甘い甘い、カフェオレが多分少し苦く感じたんだ。
....
「YUSUKE」
祐介。5歳離れたかわいい弟の名だった。
赤い首輪だと思っていた。けれど、手 ....
この空は
川だって越えてつながっている
そう思って安心していた
安心したまま
あの夜や言いか ....
裏切りの朝に
定説どうりの涙は品切れ
入荷待ちの列は長蛇に
しっぽは隣町までスキップスキップ
....
これが何を意味するかは解らないけど、
この痛みは確実に、私の身体を蝕んでいる。 ....
大切な人を傷つけて
人はまた成長するものなのでしょうか
何度も何度も同じ失敗をする
大 ....
丁寧に折りたたまれてぼくの声は
秋の海の波打ち際
街路が冷たい空気に抱きすくめられる前に
ここ ....
どちらかといえば左
ひじは伸びる
壁紙を引っかく
高い窓の{ルビ顰=ひそ}みへ
うでを投げた ....
何でも出来るって事は何も持ってないって事なんだよ。
苦笑というか、呆れたように笑った流音の顔が ....
十月さいごの日だまりが
ぼくらに光を継いでゆく
風のしたで悲しみをかまえ
いちばん ....
凍える意思
凍えている
薄暗い寒さに怯えて
いつしか低体温症になってしまった
もう
....
群青色を買ってどこへと
なじんでいかないと
朝のゴムラバーを赴くというのかと
こうして アスフ ....
急増する家庭間買収と吸収合併、渦巻く不安と家庭内格差!仕送りは恩送りへ
10月31日12時30分配 ....
ねずみが心配している
太陽はどこにある
ハンバーグはお早めに
滝壺の下見はやめてお ....
誰かに
傷つけられた
心の傷は
簡単に
癒えるものではない
同じような
状況に
あ ....
十代の頃は死に憧れた
目まぐるしい変化に希望の希の字も見当たらなかったからふてくされたのだ ....
頭の中で
昔のあなたがぐるぐる
あの時の言葉がぐるぐる
夢を見ていたみたい
夢だったんじ ....
ご飯食べて
歯磨いて
服を着替えて
髪を整える
車イスで散歩
買い物して
薬飲んで
....
君と出逢ってから
子供の頃に憧れた全ての愛の言葉は
ただの紙くずになった
....
あなたの指先が触れたところから
わたしの頬が融けていく
あなたがわたしの髪を撫でるの ....
町の誰もがそれを知ったとき、多分、それは、男の女への未練だろうと噂した。
女とその娘がどこに行 ....
午前0時になると
観念的なこの世の中のからくりが
魔術的にほどかれていった
蛍光灯と事務機 ....
植木屋が去った後、残された枝葉に火をつける
冬の土曜の朝の
煙の向こうから現れた、
鎖をひ ....
薄着で
あるいは紙袋を被って青光りするのチェインメイルを装着しているであるとか
わらじを履いたT ....
こんなに便利でいいの?
ネットは今や常識
でも
こんなもの
無かった方が
良かったんじゃな ....
詩は世界を構成している
移ろう空の色
道端の小石
花びらのまあるいカーブに
詩が宿ってい ....
インドでの最後の日
褐色の海に
トビウオが跳ねる。
海底油田の採掘船の間をすりぬけて。
....
もう死んでも悔いはないのです。
潮風にさらされて、黒かった羽は太陽の七色の脱色で冷血を染めたと言い ....
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