小詩集【擬人絵図】/千波 一也
ける姿がみえやすく
駈けない姿を
信じこむ
その失速を
雪崩はたしかに聴いている
終わりはすでに止まらない
はじまりのなかの
はじまりに
四、反旗
掲げられている、
無表情
ときおり
風につられて
わらいもするが
恥じらえもせず恥じらっている
そらへと挙げた小さな拳は
ささいなものほど
守りぬけるのに
もう、
ささいなものすら許さない
傷つかないためには
傷つけること
でもそれは
だれかにとって
やさしい語りになりうるだろうか
[次のページ]
前 次 グループ"【こころみ詩集】"
編 削 Point(14)