小詩集【レトロな猛毒】side.B/千波 一也
 



一、漆黒


かりそめをながく着て
寝所のすみに
けがれを
灯して

目をつぶるから
ほこりがつもる
目だけを頼れば
いしにつまずく


なぞるだけでは
かどが立つ、


わかつためには
わすれるためには
えがいて消して
久遠の、



燃える陽も燃えた月も
ひとをつれては
燃やされて
ゆく

雨が
ひたすらに
顔を隠すわけは
かばうべき布のため


一枚のための一枚として
さくらの御名は
舞い降りて、
散る

土へとかえりゆく途が
ひとつの樹なら
枯葉のかげも
あたたか
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