小詩集【常夜灯】/千波 一也
 




序、 みあげる


だまっていたら
うつむいてしまうので
みあげる

うつむくことは
わるいことだと
ひとりで
おぼれて
しまわぬように
みあげる

そこに
すくいが
なくてもいいから、と
かたむいた
おもみの
ぶんだけ
みあげる





二、 告げぬひと


こころが優しいのは
告げぬひとです

こころが美しいのも
告げぬひとです

そう
教えられたから
わたし
告げずにきたのに

こころが汚いのは
告げぬひとです

こころが冷たいのも
告げぬひとです




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