04/10 22:07
川村 透
イラクの件。僕は視る。今の仕組みと著名人、思想家、政治家、活動家がどんなことを語りどんな行動し、あるいはしなかったかを。僕は僕のプロとしての、職業人としての位置から自分の役割とミッションを進めるしかない。間に合わなかった、その思いを抱いて。皆さんは覚えているだろうか、小泉首相が衆議院選挙での勝利宣言の後、この支持は自衛隊のイラク派遣という政策への国民の支持であると考える、と発言したことを。僕は衆議院選において、地方区の40代の自営業者としては、自民候補と民主候補との一騎打ちの狭間にあって苦悩していた。うちの女神さまにだけ、胸のうちを話した。マニュフェストと民営化のみが争点であるかのようにマスコミもふるまっているけれど、今回の選挙は実は日本の「アメリ化」的保守化へ大きく舵をとるかどうかの瀬戸際であり、ホントウの争点はイラクへの自衛隊派遣の是非であると。そして、他の政策はともかく、自民を支持するということは結果としてイラクの犠牲のもとに日本を「アメリ化」する政策への支持であること。恩義のあるかたたち、義理のあるかたたちからの働きかけ、親、兄弟、自分の生き残りをかけて自民候補を押す、いとこたち。それからうちの女神さまの知り合いからさえも自民候補への支持依頼が来る。そして僕は、能力と影響力において、地域のチカラになるのは、やはり自民候補であり、僕も直接その考えをうかがう機会を持った。それでも僕は、かろうじて、その空気感の中、積極的な支持を打ち出さず、選挙の活動からもしりぞき、個人として、民主候補に票を投じたのです。また、間に合わない。僕たちには実は選挙権という剣が与えられているにもかかわらず、それはポピュリズムにおける「多数者の専制」という壁に当たる。若者は性急な直接的政治運動へと浮き足だってゆく、けれどほんとうに世界を変えるのは、活動家や革命ではなく、生活者、庶民の感覚の延長線上にあるプロの職業人、として政治決断の機会において、利害だけではない「公」の感覚でもってベターを選べる見識を養いつづけることだ。今、おこっていることに、今、対処できるのは、プロとして今の危機管理を処理する役割を担っている人々である。僕たちは、その任にふさわしい「彼ら」を正しく選び、また送り出し、そして支援することによって間接的に解決に導く。であれば、今の状況をつくったその原因が過去の政治決断にあることを意識し、今、が未来を決めることを意識するところからはじめるしかない。そのためには己の無力さを思い知る位置から柔らかい戦いを始めるべきだ。若者よ、付和雷同せず視ることからはじめてほしい。残念ながらおじさんは、今回もまた間に合わなかった。すまないと思う。ほんとうにすまないと思う。だから、視てほしい、この時代のこの日本のそして何よりもアメリカの生き様を。