2024 09/14 01:47
おぼろん
足立らどみ様
こちらこそ、お話相手になっていただけるのはありがたい次第です。
ふっと思ったのは、繰り返しは嫌いだと言いつつ、リフレインを書いてしまう、
そういった点が、足立様が詩人っぽい、あるいは詩人のなりかけっぽい、と感じるところなのかもしれません。
わたしは全然詩人じゃなかったって、このごろは言っていますが、
もちろん、わたし的に詩とみなしているものは書いてきましたし、それが詩ではないとは言っていないのですが、
やはりわたしの魂は詩人のそれではなかったんだろうなあっていうところがあって。
例えば、「読むことのスリル」にも書きましたけれど、ひだかさんのように40歳を過ぎてから詩を書き始める、
その詩が素人の趣味としてのそれではなくって、まぎれもなく詩になっている、そうしたとき、
その人は生まれながらの詩人なんだろうなあっていう。劣等感ではなくって、とにかく違うんだなって。
わたしが詩人の本能は別、と書いたのは、単純にそこから先のことを検証してみなかったからで、
なんとなく勘としてそういうヴィジョンは見えるけれど、論理にする体力は今はないなっていう、
それだけのことではあったんですが、何かひっかかるところがありましたでしょうか。
いずれにせよ、<どうしようもない衝動>の種類が、<詩人>というクラスとしてたしかにあって、
あまり認めたくないですけれど、それが<詩人>という人種が<詩人ではない>人種よりも優れている点なのでしょう。
……と書くのは、わたしが<芸術家>という人種を特別視したくないからで、
芸術家と職人とのあいだの線引きをわたしがしたくない、という事情からなのですが。
変な例えですが、ブル中野は強かったですけれど、真にプロレスラーらしかったのはダンプ松本のほうかなっていう。
わたし的には、ブル中野に憧れる面が強いのですが、
プロレスファンなら、ブル中野は邪道として、ダンプ松本を推すのかもしれず。
これも、文章にする気はなかったので、検証はしていないんですが。
それと、ネット社会は現実へのカウンターにはなり得たと思っていますけれど、
現実の本質のほうはそんなに変わってはいない気がします。
というのは、ネット社会は現実にたいするパラレルワールドであることを早々に捨てて、
現実のインフラになったのではないのかなとなんとなく思っているからで、
表現手段、または表現世界としてのネットというものも、
RPGのなかのフレーバーテキストのようなもの、その大規模なもの、
の域を出ていないんじゃないかなっていう感じがなんとなくしています。
例えば、ネット文学が紙媒体の文学に与えた影響と言えば、
横書きで書く人がすこしいること、傍点がほとんど使われなくなって、
例えば学者なんかも「これこれ」という”括弧”を使う方法で強調表現をするようになったこと、
くらいかなと。これも、傍点自体使われ始めたのは明治以降でしょうから、
文学そのものが変化したというわけでもなくって。
ただ、わたしは横書きの教科書とかのコンマとセミコロンが好きではなくって、
PCで書いていても面倒くさいですし、今は紙媒体でも、横書きのときにも日本語の句読点を使う、
という流れになってきているのは、すこしほっとしていますが。
あと、生物が遺伝子の乗り物っていう考えは、リチャード・ドーキンスなんかの主張ですが、
今はあまりメジャーな考えではないようですよ。
近年流行ったのはシミュレーション仮説で、この宇宙は高度な知性体の組んだプログラムっていう。
一見、聞いてなるほどっていう議論ではあるんですけれどね……
でも、よく考えると、そんな高度な知性が人間が組むプログラム、それもヴィデオ・ゲームそっくりな世界なんて作るだろうか?
と、考えると、ちょっと稚拙な思考法かなっていうことも見えてくる。
人間が生物以上のもの、物質以上のものだと思うことは傲慢だと、わたしも思っていますし、
今も思ってはいますが、それだけではどうしようもない生物のありよう、というのはたしかにあって、
創発、ということで、こちらも飯のタネにしたい人なんかは近年よく言っていましたが……
二値論理でどちらかに決まる、というのが、そもそも不徹底なような気がしますし。
表現にする際には、シュレーディンガーの猫のようにどちらかに収束しないといけないのでしょうけれど……
ちょっと話がずれてしまったでしょうか。
足立様がご自身が科学サイドの人間なんだろうかと思うこと、
もしや迷っていらっしゃるのでしたら、そこは迷うところでもないのかなとは思いますが……
仏典にしろ、福音書にしろ、古代で神の書と呼ばれ、現代では芸術書と呼ばれるような書物は、
いたって科学的ですし、日本で言えば言霊も陰陽道もいたって科学的だったでしょうし、
「芸術は科学を超える!」と誰かが言っているとしたら、営業妨害になりますから声高に批判はしませんが、
それはちょっと違うのかなという気がします。
中学生のときでしたか、高校生のときでしたか、読書感想文で何を読んだかで、
「2001年宇宙の旅」を選んだ人がかなり多くって、当時わたしは「それって文学?」と思いましたが、
現代の認識では文学なのかもしれませんし。
わたしの場合、子供のころ観て一番面白いと思ったアニメは「はいからさんが通る」でしたし、
一番面白いと思った本は「落窪物語」でしたから、
ふだんガンダムガンダム言っているわたしの発言としては意外? と感じられるのかもしれませんが。
まあ、全然文学には見えないものの代表として、あえてガンダムやらウルトラマンやらの話をしているだけですし……
でもまあ、芸術家という職業を目指すなら、文系なら文系で文系に投身したほうが良いのかもしれませんね。
これには否も諾も言わないです。
長くなりました。