しりとりの詩 2nd[27]
2005 05/05 22:20
蒼木りん

なぜあんなに好きだったのか思いだせないよ
いい時間だったと思う
その本のはじめには
あなたそっくりの
あの詩の作者の
写真が載っていて
だけど
あなたとは別の人生
だって
死んでしまったんだもの
その子は
青い表紙に
流れているように
紙飛行機
男の子って
もう
ママの腕にも帰れない
男の子って
長い首を
うなだれる
男の子って
嗚呼
なんて儚いの
あなたは
大人になってしまったけれど
この話をしたら
どんな気持ちになるだろう
その間
私は
学校や図書館や倉庫や
雨や焚き火の靄や
その頃の匂いをいくつも思いだせる
擽られるような
あの頃のあなたの笑顔と
だけど
なぜあんなに好きになったのか思いだせないよ
ねえ
私は二人きりでなきゃ
話しができない人なんですよ
くらい夜のひだに隠れなくちゃ
本当の正体が現せないんですよ
スレッドへ